トップページ | 2006年12月 »

練習 11


 

 長門のマンションに到着。
一階フロアにいる管理人のじいさんに「両手に花ってか?兄ちゃん」などと冷やかされる。
そこまではいい、だがな。「この間のめんこいお嬢さんはどうした?」だと。
二人にいらぬ誤解を与えるような言い方は止めてくれ。
「あいつはクラスメイトですよ、ホント」
「ほーお。それにしたって3人も美人さんに囲まれて幸せじゃのー」
 じいさんはまだ何か言いたそうだったが、ここは素早く退散することにした。

続きを読む "練習 11"

| | コメント (0)

練習 10


 

 以前長門に中華を食べさせて欲しいと言われていた事について考えていた。
しかし一介の高校生にはかなり厳しい。特に俺は不思議探索で色々金を使わされるからな。
「約束は守らないとね」
 お前に言われなくても分かってる。

続きを読む "練習 10"

| | コメント (0)

練習 9

 

 朝倉に説得を頼まれ、長門の家の前にいる。
もちろん今日のことは長門には内緒だ。じゃあ、どうやってここへ来たかって?
マンションの暗証番号は朝倉に教えてもらったものだ。
これは後で長門に言っておこう。やはりこういうことは良くない。

続きを読む "練習 9"

| | コメント (0)

練習 8


 

「はぁ……」
 弁当を早く食べ終わり自分の席へ戻ろうとしたとき、誰かの溜息が聞こえた。
別に誰が溜息をつこうと、わがクラスの溜息王を後ろに抱えている俺にとっては興味も無い。
が。それが朝倉涼子ともなれば話は別だ。
「何も変化のない観察対象に私はもう飽き飽きしてるの」などと言ってナイフを突きつけてきたんだからな。
ハルヒの次の退屈にさせると大変なヤツだ。
それに今の溜息は俺に聞こえるようについた可能性がある。
ここは一つ、興味を示しておく必要があるだろう。
「どうした、朝倉。悩み事か」
 突然声をかけられた朝倉はごく自然に"驚いた"。一緒にいた他の女子同様にだ。
しかし朝倉。そんな演技では俺を騙すことは出来ないぞ。
あの長門の表情を正確に読み取れるのだからな。そんな事は朝飯前だ。今は昼飯が終わったところだが。
「そうなの。ちょっと困ってることがあってね」
「ふぅん。お前ほどのやつが困るんだから相当困ったことなんだろう」
 朝倉以外の女子は不審の目を俺に向けている。
そりゃ俺だって他の女子と一緒にいる今に聞きたくないが、放課後は部室に行くからな。
聞いて話をするには今しかないんだ。察してくれ。
「うん、それで……ねえ?ちょっとあっちに行って話しましょ?」
「あ、ああ。俺は構わないが」
 朝倉は、ちょっとごめんね。と一緒に昼食を取っていたクラスメイトに言うと席を立つ。
周りはかなり面食らっているようだ。そりゃそうだ。俺だって驚いてるよ。
「ほら、早く来て」
 急かされて行った先は、何。別に特別な場所じゃない。ハルヒの席の後ろだ。
普通教室の後ろといえば生徒の溜まり場になりそうな所なんだが、ハルヒのお陰で人は滅多に来ない。
「じゃあ聞いてくれる?」
「それは構わんが、ちと注目されてやしないか?」
「私は気にしないわよ。あ、でも涼宮さんがいないのが残念かな」
 笑顔で恐ろしいことを言う。
ハルヒの目に付くところで秘密の相談ごとなどしようものなら大変なことになるぞ。
「元々私はそのためにいるんだけど。今は良いわ、それよりも相談ごとってね?」
「早く言ってくれ」
「急かさないの。女の子に嫌われちゃうわよ?」
 女の子の気持ち、か。随分の進歩じゃないか。
「また挿しちゃおうかな?」
 すまん、それは勘弁だ。それよりもだな。
「冗談よ。じゃあ本題ね。実は長門さんのことなの」
 冗談……そう聞こえないからな、マジで。
それよりも何だって?長門がどうかしたのか。
「あら。長門さんのことだと食いつきが良いのね。妬けちゃうわ」
 頼むからそれを他の場所で言わないでくれよ。
「あのね。実はここ数日、夕食は野菜ばかりなの」
「そりゃ結構じゃないか。最近はキャベツがトレンドらしいぞ」
「それ。私の足が太いって言いたいの?」
「冗談だ」
 それに女の子なら朝倉ぐらいあった方が良いに決まってる。
いや、スレンダーな長門も好きだけどな。
「野菜っていっても大根ばかりなの。……あ、また私の足を見た」
「別に性的な意味じゃないぞ、って違う。見てない見てない」
「後で長門さんに言っておくから。それでね、大根もおでんとかじゃなくて桂剥きなの」
 桂剥きか。流石は万能文化長門有希。包丁使いもお任せだ。
「そんな悠長なものじゃないの。マスターするまで練習するって言うから、毎日キロ単位で食べてるのよ?」
「練習?お前達みたいなのは、ちょいちょいーっとマスター出来るんじゃないのか」
 俺の発言に、深く息を吐き肩を落とす。
「それだったらどんなに良いことか」
「お前が説得するなり言い聞かせれば良いだろう。能力を使ったらどうだって」
「出来ないから困ってるし、あなたに相談してるんじゃない」
 そりゃそうだ。でもな、お前に出来ないのに俺に出来るのか?
「何言ってるの?あなただから出来るんじゃない。自覚がないのかしら」
「うーむ。困ったな、これは」
「兎に角。そういう事で困ってるの。だから今日長門さんの家に行ってくれないかしら」
「ああ、分かった。そうする」
「お願いしたから。じゃあね、お願い♪」
 アゴの辺りで手を可愛らしく合わせてのお願いポーズ。普通の男ならこれで落ちるだろうね。
朝倉は満足したのか足取りも軽く、その美しい髪をなびかせて自分の席へ戻っていった。

 その後、谷口を適当にあしらい、クラスメイトの好奇の視線を無視するのは大した事無かったが
昼休みが終わる頃戻ってきたハルヒに事情を説明するのが一番大変だったことは言うまでもないだろう?

 

| | コメント (0)

練習 7

 

 クッキーの箱を両手に持ち、交互に首を振る姿を見て思わずくだらない感想が口から漏れた。
「なんだか怪しげな宗教みたいだぞ」
 幸い俺の戯言は3人の耳には入らなかったようだ。
しかし、何時も思うことだがハルヒのあの自信は何処から来るんだろうね。
まさかこんな下らない事で何かトラブルを起こしたりするんじゃないだろうな。

続きを読む "練習 7"

| | コメント (0)

練習 6

 いつものように部室に集まり古泉とボードゲームをして時間を潰している。
ハルヒはパソコンに向かい、なにやら難しい顔をしている。何をそんなに考えることがあるというんだ。
朝比奈さんはそんな団長様に甲斐甲斐しくお茶などを注いでいる。
そのお茶を入れる様はメイド服も相まって堂々としたものだ。普段の積み重ねの賜物だろう。
ただ、この成果を披露する場所が他に用意されていないだろう事が残念で仕方がない。
そして長門は、全くいつもと変わりなく、何時もの位置でハードカバーのページを一定の速度でめくっている。
そんな何も変わらない部室の一シーンだったわけだが、今日は少し違った。
突然ドアをノックする音が聞こえたのだ。
「だれ?開いてるわよ」
 パソコンのモニターから覗くようにハルヒが扉の向こうの人物に対して声を掛ける。
すると、ドアは音もなく静かに開いた
いや、本当に音がしなかったんだ。ドアノブを回す音すらしなかった。
「長門さん。差し入れを持ってきたんだけど、いる?」
 ドアの向こうに立っていたのは大きなダンボールを抱えた朝倉だった。
そのダンボールには中身を特定させるような文字は書かれていなかったが、大方食べ物だろう。
以前にも持って来たことがあるし、何より「長門への」差し入れだ。
食べ物に決まってる。
「失礼なことを言われた気がする」
「うわっ!?」
 いつの間にか俺に後ろに立っていた長門。
なんだ。俺のモノローグを読み取ったというのか?
「顔に書いてあった」
 マジですか長門さん。相当分かりやすい顔をしてたらしい。こりゃ気をつけないと駄目だな。
「大丈夫」
「うん?」
「きっと私にしか分からないほどだから」
 長門は俺の表情ソムリエだとでも言うのか。
うーん。普段俺はこんな恥ずかしい台詞を言ってたのか。こりゃ自重する必要がありそうだ。
「しなくていい」
 長門はそれだけ言うと朝倉の方へ行ってしまう。
朝倉のところには既にハルヒがいて、ダンボールの中を覗き込んでいた。
「朝倉、これはどうしたの?有希への差し入れってどういう事?」
「ああ、これはね。知り合いの人から格安で譲ってもらったの」
 知り合い、ねぇ。
普通の人間なのか自分と同種のやつなのか。これはちょっと興味があるな。
普通の人間なら朝倉お得意の「お願い♪」でもやって分けてもらうんだろう。
同種のヤツなら……どうやって分けてもらうんだ。まさか「長門さんのお世話があるから」でもないだろう。
「じゃあ有希への差し入れってのは?」
「うーんとね。お裾分けってこと」
 おいおい。それはおかしいだろ。
それなら何故長門の家に持っていかないのか。お前らは同じマンションに住んでいるんだろう?
それはハルヒだって知ってるんだぞ。
「なるほど。流石朝倉ね!」
「そう?ありがと、涼宮さん」
 それで良いのかハルヒ。
そりゃ突っ込まれりゃ困るだろうが、いざ無視されると何だか詰まらない様な何というか。
取りあえずは安心したと言っておくか。
「ねぇねぇ。ダンボールの中を見ていいかしら?」
 俺の心配を他所にハルヒはダンボールの中身に興味心身だ。
父親が仕事帰りに買ってきたケーキの箱を覗き込む子供みたいに目をキラキラさせてる。
こんな単純なことで喜ぶんだから、恒例の不思議探索ももっと簡単なことで喜んで欲しいね。
朝倉はダンボールを長机の上に置くと、机はその重さにぎしぃっと音を上げた。
よく考えると結構重いんじゃないか?
それをいつもの微笑顔で持っているのにハルヒは怪しむそぶりを見せない。
いくら何でも変だろ。気にしろよ。
「良いかしら、長門さん」
「いい」
「じゃあ開けるわよ!」
 ハルヒのことだから勢いよく千切って開けるかと思いきや、交互に組まれた上部分を丁寧に開けていく。
意外と女らしいところがあるんだな。
「このダンボールは後で使うからよ!」
「何に使うんだ、何に」
「分かんないけどきっと後になったら私の判断が正しいことが証明されるから見ておきなさい!」
「そうなると良いな」
「さーて。何が入ってるのかしらね」
 無視かよ。
「わー!クッキーじゃない!」
 ハルヒは感嘆の声をあげた。
両手にクッキーの箱を持ち、交互に見比べている。
そんなハルヒの左隣では長門も同じようにクッキーの箱を持ち、ハルヒのするように交互に見比べている。
そして朝倉といえば、そんなハルヒと長門を交互に見て満足そうだ。
「よくやったわ朝倉!いつも差し入れを持ってきてくれるなら、あんたをSOS団の特別団員にしてあげる!」
「あら本当?涼宮さんの楽しいことに入れてもらえるなんて光栄ね」
 ハルヒ。もう少し考えて口を開いてくれ。
そうやって行き当たりバッタリで行動していると、団員の胃に穴を開けることになるんだぞ。
「おや。ボクの心配をしてくれるんですか?」
「自分の胃の心配をしたって良いだろ」
 当然お前の心配もあるが、口に出して言うのは勘弁してくれ。
「素直じゃありませんね」
 勝手に言ってろ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

練習 5


 

「長門。美味しいか?」
「……」
 長門の口は動き続ける。
質問に答えるまでもない、ということなのだろう。
「そりゃ結構」

 

 

続きを読む "練習 5"

| | コメント (0)

練習 4


 

「ちくわ ちくわ~ ど~して おあながあいてるの~」
 長門はちくわを持ち上げながら。
「むこうをのぞいてみるためよ~お みるためよ」
 歌っている。しかも最後は歌詞の通り律儀に向こう側、つまり俺を見た。
「そんなにちくわが気に入ったの?」
 朝倉の問いかけに、ちくわで覗いたまま肯定の意を示す。
お前がちくわを好きなのはよく分かった。だがな、ここは一言言っておかなきゃならないことがある。
「食べ物で遊ぶんじゃありません」
 ちくわの向こうに見える長門の目が悲しそうに閉じられる。
済まん。俺だってそんな顔をさせたくて言ってる訳じゃない。しかし、最低限守らなくちゃいけないこともある。
「あなたも覗いて見れば印象が変わる」
「そういう問題じゃない。朝倉、お前からも言ってやってくれ」
「長門さん。彼に嫌われちゃうわよ?」
「分かった」
 素直にちくわを皿に戻し、箸で摘み直すと大人しく食べ始めた。
ふぅ。まさか同級生にこんな事を教える羽目に会うとわな。まるで父親みたいだ。
「さんしゃい」
「駄目です」
 2ミリほど眉が下がる。
大体だ。高校生でなく3歳というなら余計に躾をしっかりしておかなくちゃいけないだろう?
長門にはハルヒみたいに非常識に育って欲しくないからな。
「あら。涼宮さんは一番の常識人よ?」
「そうか?」
「だって。敢えて常軌を逸する行動を取ってるのよ?出鱈目に動いてるわけじゃないわ」
 そう言われてみれば古泉にも似たようなことを言われた気がするな。
以前マンションに忍び込んだときなんか良いとこのお嬢さんみたいな立ち振る舞いだったし。
「そういう事」
 流石ハルヒを観察してるだけあるぞ、朝倉。
「キョン君に褒められちゃった♪」
 おいおい。そんな頬を染めながら言わないでくれ。
「良いじゃない。褒められて嬉しくない人なんていないわ」
「そんなもんかね」
「そうよ。さ、おでんつけてあげるからお皿貸して?」
「ああ、頼む」
「どれが良い?長門さんと同じのでいいかしら」
 朝倉は俺が返事もしない内に、おでんの具を付けはじめる。
やはり土鍋の中にはそれほど珍しいものは入っていない。好みは別として違った構成にはならないだろう。
「はい、どうぞ」
「ああ、すまんな」
「うふっ。こうしてると何だか夫婦みたいね」
 ビシィッ!
土鍋の上で皿を受け取ろうとする格好のまま止まってしまう。
今聞こえた音はなんだ?
なんと表現していいか分からん。空気が割れるような音とでも言えばいいのか?いや、この表現もどうかと思う。
兎に角、空気と言うか空間に亀裂の走ったような音がした。
それとも俺の空耳だったのだろうか。
ちらりと朝倉を見やる。にっこり委員長をスマイルを……いや、これは引き攣り笑いだ。
ヒューマノイドなんたらも、引き攣ることなんてあるんだな。
さて。気を取り直しておでんでも食べようとするかね。
「……あの、長門さん。動けないんですけど」
「知らない」
「朝倉?」
「……」
 皿を渡す格好のまま固まっている。
これはアレか。いつか俺が朝倉に動けなくされたアレと同じだな。
ははは。まさか人生で2度もこんな金縛りに会うとわね。
何故か全く他人事のようにしか感じられない。これはな、アレだ。死ぬかもしれん。
「……」
 長門は全く表情を変えることなく、おでんを食べている。
朝倉につけてもらった皿も空になると、今度は自分で付け始めた。
きんちゃく、ごぼう巻き、がんもどき、さつまあげ……さっきとは一つも被ってない。
朝倉も随分と頑張ったもんだ。うん、良いお嫁さんになるぞ。

 結局。俺たちの金縛りが解けたのは土鍋も殆ど空になろうかという頃だった。


「今日のおでんは美味かった。良かったらまた誘ってくれ」
「そうね。今度はもっとたくさん用意しておくわ」
 殆ど空。とは言ったがその残りでも充分俺は満足できた。
普通おでんは一食で食べきる量で作ったりせず、かなり多めに作るだろう?
その上に長門が一緒に食べることを考えて作った量の残りだ。「殆ど」と言っても結構な量が残っていた。
「いや、今回のは量の問題じゃないだろ」
「ばいばい、キョン君。また明日会いましょう」
「……ああ。またな、朝倉」
 委員長スマイルで手を振る朝倉。その隣には無表情な長門が立っている。
「長門。また明日、部室でな」
「わかった」
 こういう時は、また明日。とか言うもんだ。
「わかった」
 長門に手を振りながら静かにドアを閉めた。


「キョン君も帰っちゃったし、洗物を済ませたら私も帰るわ」
「朝倉涼子」
「なーに?長門さん」
「おでんの作り方を教えて欲しい」
「教えてもらわなくても他に方法があるでしょ?」
「駄目。インチキでは意味が無い」
「(自分の能力を使うんだからインチキじゃないと思うんだけどな)うん。良いわよ」
「今度は二人で食べる」
「あらあら。妬けちゃうわね」
 長門は満足そうに奥へ引き返していった。
「ふぅ。今日はちょっとやり過ぎちゃったみたい。でも、キョン君と夫婦で長門さんが娘ってのも良いわね」

 ビシィッ!

| | コメント (0)

練習 3


 

 結局今日も何をするでなく、部室で古泉のニヤケ顔を見ながらボードゲームをして過ごしたわけだ。
合間合間に出される朝比奈さんのお茶がなければ、途中で投げ出してるところだったぜ。
そして何時ものように長門がハードカバーを閉じる音を合図に解散。
ハルヒは「明日こそ見つけてやるわ!」と決意を新たに帰っていく。
お前毎日そんな事言ってないか?そりゃ部室に引き篭もってちゃ見つかるものも見つからんぞ。
いや、決して平日から外へ出かけようと言ってるわけじゃないからな。勘違いするなよ。
朝比奈さんの着替えのために一足先に部室を後にする。
ここまではいつもの通り。変化のない日常ってところだ。
しかし、今日は違った。
ドアに向かってお辞儀をする俺の袖を引っ張るヤツがいる。
十中八九長門だ。これがもし古泉なら一目散に逃げ出す。
「どうした長門」
「今日。私の家に来て欲しい」
 マジか、長門さん。こりゃ一大事だ。
今日は体育もあったしな。汗臭いかもしれん。一度家に帰ってシャワーの一つでも浴びた方が……
「大丈夫。夕飯をご馳走するだけ」
「さいですか」
「さいです」
 がっかりした様な、ほっとしたような。
ただ何といっても長門からの正式なお誘いだ。以前のような呼び出しではない。ここで行かなきゃ男が廃るぜ。
「廃る」

 

 

続きを読む "練習 3"

| | コメント (0)

練習 2


 

 ホームルームが終わり、俺は素早く教室を飛び出す。
後ろでハルヒが何かを言っていたような気がするが、とりあえず無視だ。
どうせ部室で会うんだからな。どうせ掃除を手伝えとか何かだろうし。
素早く動くのは教室を飛び出すまでだが、その後も部室まで小走りで行く。
それは勿論、既に部室で待っているであろう長門に会うためだ。
別に二人っきりの部室で何かをするって訳じゃない。
決してだ。なんだ、その不審の目は?
俺と長門は決してそういう関係ではないぞ。
そんな誰に言うでもない言い訳を考えている内に旧校舎の部室の前に辿り着く。

続きを読む "練習 2"

| | コメント (0)

練習 *一部修正


 

 今日も近所のファミレスに来ている。
「も」と言うのは長門と図書館帰りの恒例行事になっているからだ。
目の前の長門は注文したミートソーススパゲッティをまるで見本のように綺麗に巻き取りながら食べている。
スピード、テンポは完璧に一定であれよあれよと言う間に一皿食べてしまった。
普段の長門なら朝比奈さん級の特盛りを食べるのだが、ここはファミレス。
流石に大盛りもなく、一皿を平らげるのに時間はかからなかった。。
「何回もお替りすれば問題ない」
 長門は全てにおいて頂点に立つ女だが、それには色々とエネルギーがいるらしい。
その為に大量の食料が必要で……最近はそれらに関係なく食べているような気がするのは俺だけか?
「お替りを申請する」
 そんなこんなであっという間にミートソーススパゲッティは長門の可愛らしい口に消えていった。
まるで小動物のそれを思わせる食事の様子を見たいのは山々なのだが、俺も懐が寂しくてな。済まん。
「自分で注文する」
 そうしてくれると助かる。今度団長様主催の不思議探索で奢らされないよう気をつけるとするか。
「して」

 結局4皿目に突入した長門。
俺の奢りでないとなった途端、食べる速度が普段より上がった気がするのは俺だけか。
まぁいい。ところで長門さんや。そんなに同じものばかり食べてて飽きませんかね。
「本物に飽きはこない」
 そうだな。それは長門を見ていれば分かる。
「私は本物」
 ……ん。そうだな。長門はいくら見ていたって飽きそうにない。
「そう」
 おや。何だか食べる速度が上がりましたよ?
「気のせい」
 そうだな。気のせいだな。

 しかし上手に食べるものだ。
フォークを突き刺しグルグル巻き取っていくのだが、それが毎回同じ量なのだ。
流石だ長門。スパゲッティに食べることでも……
「頂点に立つ女」
 済まん。今日2度目のネタだ。
さて。俺はコーヒー1杯で粘っているわけだが、いい加減限界が近い。
それに外も暗くなってきたしな。長門。それを食べ終わったら帰る……ん?
「……(ベタベタ)」
 ―――俺は疲れているのだろうか。長門の口の周りが洗剤のCMに出てくる幼児のように汚れている。
さっきまではそんな事はなかったぞ。一瞬目を離したうちに一体何があったんだ。
そんな俺の困惑を他所に長門は食事を続けている。
先ほどまでと変わったところはなく、見本のようにフォークに巻かれた一口大のスパゲッティを。
やっぱり変だろ?アノ様子ではとても口の周りが汚れるとは考えられん。
「……」
 長門は俺をスーパーのお菓子売り場にある、戦隊モノのおまけが付いたお菓子を見るよな目で見ている。
それは、その……期待しているのだろうか。
長門は中々に頑固で言い出したら聞かないところがあると思う。
ここで俺が動かなければ、そのままにしているかもしれん。
「ほら。そのナプキンをかしてみなさい」
 長門にナプキンを受け取り隣に移動して、口の周りを優しく拭き取ってやった。
むむ?こりゃ結構頑固な汚れだ。そりゃこんな物が衣服に付けば取れないのは当然だ。
今度から制服が汚れないように、ちゃんと胸元に付けさせる必要があるやもしれん。
「CMに出てくる幼児のような真似はしない」
 なるほど。で、そのお口の周りの汚れは何ですか?
「……」
「(あら。吹いて貰っている時の長門さんの表情。気づかなかった?)」
 うおっ!?今の天の声はなんだ?
「(私よ、私。忘れちゃった?)」
 全く。驚かせないでくれ、朝倉。
そりゃ少し嬉しそうにしているのには気づいたがな。どうしてか一応聞いてみたくなるだろう?
「乙女心は複雑」
 口の周りを拭かれながら、いつも通りの変わらぬ表情に似合わぬ台詞を吐く。
「そうか。俺もまだまだ勉強不足ってことか」
「不足」
 綺麗に拭かれた長門が僅かに顎を引く。そんな長門を可愛らしく思った俺は伝票を持って立ち上がった。
「悪かった。お詫びに今日は俺に奢らせてくれ」
「それならもう一回お替りをするべきだった」
 "乙女心"と言って舌の根も乾かぬうちにそれか。やれやれ、長門の乙女心とやらは大変だな。
「大変」
 大きく一つ息をつき、レジに向かうことにした。

 

| | コメント (0)

趣旨

 某掲示板で「魔法少女リリカルなのは」というアニメを題材に色々している人たちがいます。
そこで文章や絵が投下(投稿する事をこう言っています)されたりしながら、毎日笑ったり冷や汗をかいたりしているのです。
そんな文章書きの人たちに触発されてブログを持ってみました。
こちらでも少しずつ何かを書いていけたら良いな、と思います。

| | コメント (0)

ブログ始めました。

はじめまして。
明日から暇を見つけては色々書いてみようと思っています。
何とぞよろしくお願いします。

| | コメント (0)

トップページ | 2006年12月 »