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2007年6月 9日 (土)

目を覚ましたら 12-1

 
 
 
 てくてく歩いて医務局に着いた。
シャマルに会わなくちゃいけないからな。元気になったぞって。
でもよ、一つ気になることがある。
普段、シャマルってどうだったかって事。
家にははやてがいるから、そんな意識することないし、自分が目立って何かするタイプじゃない。
なんて言ったっけな。何とかの力持ちってんだ。
まあ、そのシャマルにこれだけの事をさせるだけ心配かけたって事かも知んない。
そう考えれば別に不自然でもないし、どれだけ自分がアホだったかって話だ。
うん、そうだ。
余計なことを考えるのは止めにしよう。
ここは素直に一言言っておくべきだ。
そんな風に考えている内にシャマルのいる部屋まで、その部屋の入り口に大きな荷物を運ぶリアカー……じゃなかった、なんだっけ。
それが置いてあった。
誰か来てるのか?
入り口から顔だけ出して、様子を見て忙しくなさそうなら声、かけてみるか。

「おーい、シャマルー……って」
「あら、ヴィータちゃん」
「ヴィータ?」

 椅子に座ってるシャマルとその向かいにはクリーム色の髪をしたヤツが座ってた。
アタシの声に、ソイツ越しにアタシを見るシャマルと、それにつられるように振り向くソイツ。
ユーノだ。
よし、なら大丈夫だな。

「もう良いの?」
「うん、シャマルのお陰だな」
「そう。その様子ならちゃんとご飯は食べたのね?」
「まあな。ちゃんと全部食べたぞ」
「そう。なら直ぐに元気になれるわね」

 そう言いながらクラールヴィントをしまう。何してたんだ?
ちょっと気になったからシャマルに聞いてみようとしたところで、今度はユーノが話しかけてきた。

「久しぶりだね、ヴィータ。どうかしてたの?」
「べ、別に。最近立て込んでたから疲れてただけでよ。なんだよその顔。ウソじゃないぞ!」
「そんな疑ってなんてないから」

 手の平を見せるように、ないないをするユーノ。相変わらず押しが弱いな、お前。
確かにウソはついてないけど、全部ホントってわけでもない。
けどユーノに本当の事言うのもなんだから、半分ぐらいの本当を言っておいた。
だけど分かったのか?何かユーノの視線が気になるぞ。

「なんだよ、ジッと見たりしてさ。なんか付いてるか?」
「ううん、なんにも」
「だったら何だよ」
「あのさ、どうして髪型変えたのかなって思って」
「あ、ああ。これか……」

 ユーノに言われて思い出す。
そうだよ、これを何とかしようってのもあってここまで来たんだった。

「なあ、シャマル。髪の毛括りたいんだけどさ」
「何か括るもの?そうねぇ、残念だけどないわ。だって、ほら」

 耳辺りの髪の毛を摘みながら、髪の短さをアピールする。
そういやそうか。シャマルが持ってるわけないもんな。自分がする必要ないわけだし。こりゃ失敗だ。
しょうがない。売店にでも行って買ってくるか。

「そっか。いや、邪魔して悪かったなシャマル」
「ううん、ちょうど切りの良いところだったし、ね?ユーノ君」
「はい。だからヴィータ、気にすることないよ」
「アタシはシャマルに言ったんだ。ユーノのことなんて知らないって」
「相変わらずだな、ヴィータは」

 少し呆れ顔をするユーノを放って売店に行くためにシャマルに背を向けると、呼び止められた。

「ああ、ちょっと待って。ヴィータちゃん、ユーノ君の荷物持ちを手伝ってあげてくれない?」
「えー、なんでさ」
「荷物が多いんですって。ヴィータちゃんは今元気でしょ?ご飯も食べたばかりだし」
「そ、そりゃそうだけどさ」

 今はシャマルに頼まれると断りづらいのは確かだけど。
それでも何でと思うから、横目でチラリとユーノを見やると、確かにあんまり元気がなさそうだった。
でも、そんなこともないか。いつも元気に見えるわけじゃないし。
無限書庫に閉じこもってたりするからな。たまに長期で遺跡の発掘現場に派遣されたりすると、行き先によっては少し健康そうになって帰ってくるけど。

「ユーノ。荷物多いってホントなのか?」
「う、うん。今日はちょっと多めかな」
「ほら、こう言ってることだし。ね?」
「いや、あのさ。アタシは売店にでもだな、えっと」
「髪留めのこと?それなら書庫の女性職員さんに可愛い髪留めを分けてもらうか何かしてもらおうよ。きっとヴィータが来たら歓迎してくれるよ」
「おい、ちょっと待て。アタシはまだ何も言ってねーぞ」
「まあ良いじゃないの。たまには。気晴らしにでもなるかもよ?」
「……ちぇ。分かったよ。おい、ユーノ。それじゃ行こうぜ」
「ありがとう、ヴィータ。それじゃシャマルさん。今日はありがとうございました」
「いいえ。医務局ではいつでも大歓迎よ」

 結局ユーノの手伝いをすることになっちまった。
椅子に座って呑気に手を振ってるシャマル。
なんだよ、アタシはこれからはやてに会いに行かなきゃいけないんだぞ。ユーノの手伝いなんてしてる暇ないってのに。
ユーノなんて、もう入り口で待ってるしさ。
なんだよ、こういう時だけ押しが強いんだからな。
 
 
 
 

 つづく。

 
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