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2007年7月19日 (木)

お引越しなの!StS 10

 
 
 
「アルフさん、ここだよ」
「へー、ここがなのはの部屋かぁ。広いね~。でもさ。これだけ広いと一人じゃ寂しくないかい?」
「ううん、全然」
「あれま。なのはは寂しがり屋じゃないんだぁね」
「そうじゃなくて。……実は、フェイトちゃんと一緒に暮らす部屋なんだー。えへへ」
「おぉおおうぅ!?そりゃ本当かい!いや~、良かったねフェイト!」
「え、ああ、うん。そうだね」
「うん?そいじゃ、荷物どんどん降ろしちゃうよー」
「私も手伝うよ、と言うより自分の荷物ぐらい自分でしなきゃね」
 キャリアーに乗っかってそこからパックを餅撒きみたいに、ポイポイ投げるアルフさん。
こういう光景も見慣れたから良いけれど、初めての時は一人慌ててみんなに笑われたっけ。
しょうがないよね。輸送パックがそんなに凄いものなんだって知らなかったんだもん。
 
 
 
 
 
 
「はーい、これで最後だよー。そりゃ!」
「おっととと。ふう、ありがとうアルフさん。お陰で助かっちゃった」
「気にしなさんな。それに引越しはこれからが本番だよ?荷物をばらして並べなきゃなんないからね」
「う~ん、それは考えるだけで疲れちゃいそう。ねぇ、フェイトちゃん」
「そうだね。出来るだけ荷物は減らしたんだけど、それでも面倒には変わりないし」
 フェイトちゃんの言う通り。こっちに住むことにする割には荷物は少ない。
中央に来るって事もあって、今日みたいに現地で物を揃えるつもりだったから。
それでも代えの効かないものとか仕事道具とか他にも色々。そうしてる内にやっぱり結構な量に。
それはフェイトちゃんも同じみたい、私よりは少な目だけど。
「えいしょっと。あー、疲れた~。え~っと、あれ?」
「どうしたの、アルフ」
「そう言えばベッドはないのかい?ちょっと寝転ぼうと思ったのにさ」
「ベッドならさっき買ってきたところだよ。今日中に届けてくれるんだっけ」
「夕方までだよ。じゃあ、それまでにちょっと片付けておこうか」
「うん。よーし、もうひと頑張りだね」
 
 
 
 
 
 
 それから荷物を取り出したり大方のレイアウトを決めている内に、あっという間に陽は傾いていきます。
とりあえず、何をおいても決めたのがベッドの位置。
ベッドが部屋の中心って変かもしれないけど、多分この部屋はあまり使わない。
きっと、朝から晩まで忙しいだろうから。特にフェイトちゃんは空けることが多いと思う。
部屋にいるのは夜寝るときだけって生活になるだろうから、それを一番大切にしなきゃね。
……なんて。ベッド買うときは微塵も考えてなかったんだけど、よく考えるとそうなんだって事。
そうこうしていると、フェイトちゃんの端末が呼び出し音を発します。
「あ、シャーリーから連絡だ。荷物が届いたって」
「よーし、またここまで運んじゃうよ!」
「アルフさん張り切ってるね。よーし、私も負けてられないよ」
「ベッドは重たいからそんな張り切っちゃ危ないよ。大人しくアルフに任せて」
「そうだよ、なのは。ちょいと魔力を貸してくれれば、ちょいちょいっとアタシが運んじゃうからさ」
「さっすがアルフさん。でも、その体型で大丈夫なの?」
「ああ、能力的な問題はないよ。ただ、手足の長さとかはどうしようもないけどね」
「ふ~ん、そういうものなんだ。じゃあ、ベッドを取りに出発だね」
 
 
 
 
 
 
 意気揚々と歩くアルフさんを先頭に、裏口まで急ぐ私たち。
来た道を戻り、長い通路を抜けた先、大きな梱包材の前にシャーリーが待っててくれました。
「ふぇ~。また随分大きいのを買ったねぇ。こりゃちょっと大き過ぎるんじゃないかい?」
「う、う~ん。お店で見たときはそんな感じなかったんだけど……」
「これはかなり大きいね。入るかなぁ」
「大丈夫ですよ。一般家庭ならまだしも、ここは管理局の施設なんですから通路も大きいですし」
「それもそだね。よーし、じゃんじゃん!運んじゃうよー!」
「なら、魔力供給久しぶりに少し増やすね。……えい」
「頑張ってね、アルフさん」
「おおおー!魔力が回って力がみなぎってきたよー!そりゃー」
 何だかお店で見たときの倍ぐらいの大きさに感じるベッドを、軽々と持ち上げるアルフさん。
まるで映画の特撮みたいに、ひょいひょいっと持つ位置を変えてベッドの丁度中心辺りに。
私たちの位置からでは、ベッドが不思議に浮いているだけで、アルフさんの姿は見えません。
「それじゃ、しゅっぱーつ!」
 ベッドは微かに上下しながら動き始めました。
 
 
 
 
 
 
 今度は前がちゃんと見えるので、私たちの誘導も必要ありません。
でも、代わりにベッドより上の部分が見えなくて不注意になり易いので、その辺りは気をつけます。
私が後ろを、フェイトちゃんは前を行って念話で連絡しあいます。
ひょこひょこ揺れるベッド。何だか空飛ぶじゅうたんみたい。
昔はこういうのに憧れたな~。自由に空を飛べたらどれだけ楽しいだろうって。
だから、今みたいに自由に空を飛べる力を得たこと。凄く感謝してるし、大切にしたい。
もちろん……一緒に空を飛んでくれるパートナーのことも、ね。
「力仕事は久しぶりだけど、やっぱ大したことないねー」
「アルフもそんな遠慮しなくて良いのに。昔に比べて私も随分魔力が増えたんだから」
「駄目駄目。タダでさえリミッター掛かってるんだから、少しでも無駄は減らさないと。ねぇ、なのは」
「うん。精度とか運用である程度誤魔化せるけど、やっぱり」
「それは分かってるんだけど、家のこととか任せっきりだし、なんて言うか」
「フェイトちゃん、素直に甘えちゃったら?」
「そうそう。フェイトは何かと気に掛けすぎなんだよ。もうちょっとバーッとしちゃえば良いのに」
「アルフはバーッとしすぎだよ」
 
 
 
 
 
 
 アルフさんはフェイトちゃんの使い魔なんだけど、この性格の違いはどこから来るのかな。
長年付き合ってるけど、こればかりは分からない。ハラオウン家七不思議の一つに数えちゃおうかな。
七つって、思い浮かびそうな浮かばなさそうな微妙なラインだけど。
可笑しな事を考えながらで歩いていると、通路の角でシグナムさんとばったり。
フェイトちゃんが声をかけようとしたその瞬間。いきなりレヴァンティンが起動しました。
「フェ、フェイト!その面妖なベッドから離れろ!なのは!お前もだ!」
「シ、シグナム!?」「シグナムさん!?」
「どーしたんだい?」
「こ、こいつ!浮くだけではなく人語も解すというのか!侮れん!」
「ちち違うったら!落ち着いてシグナム!」「そうですシグナムさん、これには事情が……!」
「ねぇ、だからどうしたのさぁ?」
「う、ううおぉおお!?寄るな、寄らば斬る!」
「なのは、手伝って!シグナムを止めなきゃ!」「了解だよ、フェイトちゃん!」
「ぐ、ぐわわ、離せ、離すんだ二人とも!このような不可解なヤツを野放しには出来ん!」
「だから、どうしてっていうのさ~!」
 
 
 
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