お引越しなの!2 StS 27
「今日もお星様、綺麗だね」
「うん。モニタ越しだっていうのが少し残念だけど」
「今度、許可もらって夜間訓練でもしようか。敷地内に用意できるし」
「経費の無駄遣い、怒られるよ」
部屋の照明を落とし、ベッドに対して横向きに。窓に足を向けて寝ています。
枕やクッションを重ねて少し頭を高く。
枕と言えば私はフェイトちゃんの左腕で腕枕、その腕で頭を抱いてくれているので、
私は身体の下へ通して、フェイトちゃんの細い腰を抱いています。
「でもね、フェイトちゃんの方が綺麗だよ」
「そ、そんなこと、よく言う///」
「えへへ。そうやって顔を赤くするの、可愛いよ」
フェイトちゃんの方へ身体を起こして、自分の右手へ左手を重ねるように抱きしめます。
ぐっと近づいた、紅潮する頬。照れたように少しだけ逸らす瞳。
足もちょっとだけ、右足だけを絡ませて逃げちゃわないようにね。
「でも、ホント。とっても綺麗。キラキラ透き通って金の絹糸みたいだよ」
「なのはの栗色の髪、琥珀色になってて宝石みたい」
腕枕した手で、私の髪の毛を梳き流す。
髪の毛を通して伝わってくるフェイトちゃんの指先の感覚。こんなに細やかに感じれるものなんだ。
私もフェイトちゃんの髪を触りたくて、手を動かそうとすると。
離した左手が捉えられ、しっかりと握ると指が絡まっていく。
まるでこうするように決められているみたいに。身体に沁みこんでいるように、自然に。
「なのはの手。温かい」
「フェイトちゃんの手。いつもより熱いよ。どうしちゃったのかな」
「なのはが……一緒に居てくれるからだよ」
「だったら私、もっと熱くなっちゃいそうだよ?そしたら冷やしてくれる?」
「自信ないかな。だって、なのはと一緒だと、どんどん熱くなっちゃうんだもん///」
「それなら私だって。冷やしてくれなくて良い。もっと熱くても平気だよ///」
ぎゅっと握り合う手は、ぴったりと張り付いて離れる気配がしませんでした。
「あのね、なのは。少し言い難いことなんだけど、聞いてくれるかな」
しばらく見つめ合っていた中。
蕩けるような目をしていたフェイトちゃんが、少しだけ眉をキリリとさせて、話し始めました。
思わぬ表情の変化に戸惑いも少なくなかったけど、黙って聞くことにします。
「六課が立ち上がってその後の、キャロとエリオのことなんだけど」
「うん、二人の事がどうかしたの?」
「今日のことがあったばかりで言い難いことなんだけどね。二人の事、お願いできるかな」
「お願い……どうすれば良いの?」
「あのね。私は執務官として捜査に出なくちゃいけないから、ここを空ける時間も多くなると思う」
「うん。じゃあ、その間。二人の面倒を見てあげたら良いんだね」
「出来たらそうして欲しい。歳の割りにしっかりしてると言っても、やっぱり心配で」
「そうだね。環境に慣れるまでの間は、少なくとも私ぐらいは付いてた方が良いかも」
本当に済まなそうな顔をする。
あんな、私が変な嫉妬なんかしなかったら、こんな顔させなかったのに。
改めて昼間の浅はかな自分の行動に嫌気が差します。
「そうなったら、私とフェイトちゃん。二人でお母さんだね」
「二人で……お母さん?」
「うん。フェイトちゃんの子どもだったら、私の子どもも同然だよ」
「二人が、なのはと私の子どもってこと?」
「昨日は子ども出来ちゃうかもね、なんて言ってたけど、もうフェイトちゃんにはいるんだから」
「でも、二人のことは私がしている事だから、なのはに迷惑は掛けられないよ」
絡まる指も緩み、少しだけ距離を取ろうとする。
駄目、そんなこと絶対にさせないんだから。
「フェイトちゃんがしたい事。私、迷惑だ何て思わない。思うわけない」
「でも、なのはにだってしたい事はあるだろうし、だから、負担にならない範囲で……」
「じゃあ、フェイトちゃんは私と一緒に、子ども達と暮らしたりするの……イヤ?」
「う、ううん!そんなことない!そんな事ないけど、けど……」
「私は一緒にしたいな。フェイトちゃんを盗られちゃうなんて思った手前言い難いんだけど///」
「なのは……」
引き寄せてぎゅっと抱きしめる。
肩に頭を預けて、胸を寄せた。フェイトちゃんのドキドキが薄い布越しに伝わってくる。
「二人のことだけじゃなくて。これからのことも」
「これから……他の子たちも?」
「そう。保護した子ども達の中には引き取り手を探せない子達もいるし」
「うん、私が保護者になったりは出来るけど」
「悲しいことだけど今後もそういう事が増えてくと思う。だから、一緒に。ね?」
「…………」
「フェイトちゃん?」
少しずつ瞳の色が曇っていく。
私にはそういうのに、フェイトちゃんだって辛いこととか我慢しがち。
だから、こういう時は少し強引な方が良い。
「もう決めちゃったから。フェイトちゃんと二人でしていくんだって」
「なのは」
「二人でいれば寂しい思いをさせる時間も少なく出来るだろうし、ね?」
「……うん。なのはと一緒なら。私、嬉しい」
「えへへ、私もだよ。フェイトちゃん」
笑顔が戻る。
やっぱり好きな人は悲しい顔じゃなくて、笑顔を見ていたい。
もうあんな風に悲しみに彩られるような事、しちゃいけないんだって強く思った。
「でもね、なのは。小さい子の相手は思ってるより大変だよ?キャロとエリオは少し特別」
「うぅ……それが心配の種なんだよね」
「大丈夫。なのはならきっと」
「そうかな。私はフェイトちゃんみたいじゃないから」
「ううん。なのはなら、若しかしたらなのはの方が上手かもしれないよ」
「どうして?私、そんな子どもの相手とかして事ないし」
「なんて言うか……なのはは相手がして欲しい事、分かるような気がするから」
「私が?」
フェイトちゃんの言ってることがよく分からない。
自分で言うのもなんだけど、人の気持ちを汲み取るとか余り得意じゃないと思うんだけど。
「根拠は弱いけど……ヴィータを見ててもそう思うよ」
「そ、そうかなぁ?でも、フェイトちゃんがそう言ってくれるなら信じるよ」
もしそれが違っていたって、それがフェイトちゃんの言葉なら、そのようにしなくちゃね。
至らないところがあったとしたら……お母さんに聞いたりして。
戦技教導官としてだけじゃなく、人間としても育てていかなくちゃいけない。
ただそれを、もっと自覚して行う事になった。そう思えば大丈夫。
「でも、私あまり小さい子に好かれないから」
「機会が少ないだけで、なのはなら大丈夫」
「う~ん。その点フェイトちゃんは小さい子に好かれるから羨ましいな」
「そうかな。私は……あんまりそうじゃない方が良い、よ」
「えぇー、どうして?」
「だって……子ども達相手にヤキモチ妬きたくないんだもん///」
「……!ううぅんもおおぉぉぉぉーっ!フェイトちゃんったらーっ!」
「えへ、えへへへ……///」
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