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新婚なの! 5-1 (1)

 
 
 
「ヴィータちゃん、起きて~」
「…………んん~、なんだぁ?」
「何だ、じゃないよ。朝だよ」
「朝ぁ? ちょ、ちょい待ち……」

 枕に顔を埋めたまま、もそもそと布団の中を移動する。
いつもならちょっと手を伸ばしたところに目覚ましを置いてるんだけど、今日はベッドを半分移動しなきゃならない。
あの日以来、ここ二日。なのはの寝てるせいで時計が置いてある反対側で寝る羽目にあってるから。
だからその分、余計に移動しなきゃならなくて。
なのはの使ってたクッションに頭を移して、布団に潜ったまま手を伸ばす。
やっとのことで目覚ましを手に取ることができたアタシは、眠気眼を擦りながら時計の針を確認した。

「……なんだよ、まだ七時じゃんか」
「もう七時、だよ」
「今日は休みなんだから、もうちょっとゆっくり寝かせてくれよ……昨日は最後の追い込みで忙しかったんだ」
「だめだめ。昨日、早く行くから準備しててくださいって言ってあるんだから」
「……ったく。なんでそんな事言うんだよぉ……今日取りに行きますだけで良いじゃんか……」
「だ~め。いつ取りに来るか分からないなんて迷惑じゃない?」
「……そりゃそうだけどよぉ。面倒なヤツ」

 自分の枕に戻ろうかと思ったけど、何だか面倒になってそのままクッションを抱え込む。
二日使っただけなのに、なのはの匂いがしっかりと鼻の奥まで届く。
別に刺激的な匂いじゃないし、それで目が覚めたりすることはないけどさ。
ぼんやり頭で、このクッションも洗濯して良い匂いの柔軟材かけてやるなんて考えてた。
そうやってると、布団を引き剥がされ身体を持ち上げられると、ベッドの上でひっくり返された。
まだクッションを抱えたままで、目の前は真っ暗。
直ぐにベッドが跳ねるようにして、アタシの周りが沈み込む。
なのはが覆いかぶさるように四つん這いになってんだな。
今起きると面倒だから、クッションを抱えたまま返事をした。

「……なんだよ、そんな事したって起きないぞ」
「だったら……こうしちゃうからね!」
「!!! んひゃ!? あにすんだよ!」
「ほぅら起きた。えへへ、おはようヴィータちゃん」
「あ、んぐ……ああ、おはようさん」

 何するかと身構える暇もなく、ヘソの辺りに顔をくっつけて鼻先でくすぐる。
それと同時に脇腹も摘まれちゃどうしようもない。
ここで文句言っておかないと調子に乗っていつまでもやるから、クッションを放り投げて怒ってやった。
それなのに本人は全然効いてない顔。ニッコリ笑って、朝の挨拶。
その顔を見てたらこれ以上怒るのも馬鹿らしくて、仕方なくアタシも返すことにした。

「もう。そんな怒るぐらいなら初めから素直に起きたらイイのに」
「へん。毎朝アタシに叩き起こされてるヤツのセリフとは、到底思えないな」
「ヴィータちゃんに起こしてもらいたいんだもん。さ、朝ごはんの用意するから。早く起きてね」
「ふぇ~い、分かりましたよ~」

 ニコニコと笑いながらアタシの頭をひと撫ですると、部屋から出て行った。
去り際になんかトンでもないこといった気がするけどさ。まあ、聞かなかったことにする。
戸も開けっ放し出て行って、後姿をボーっと眺めていると部屋着のままな事に気付いた。
さっきは確かエプロン着けてたよな。
早く出かける為に朝の用意をする気満々ってことか。
と言うことは、なのは。結構先に起きてたってことだよな?
それにしても……

「何時起きたんだ? 全然気付かなかったぞ」

 なのはが寝ていた場所を手でなぞってみる。
布団を捲ってそれ程経ってないのに、すっかり冷たくなってる。
冷たくなったシーツに、なのはが寝ていたという痕跡を確認できない。
やっぱり随分先に起きたみたいだった。
それだけ早く出掛けたいってことか。
なのはの気持ちを確認したアタシは、思い切り伸びをするとベッドから降りてなのはの待つリビングに足を向けた。
 
 
 


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