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新婚なの! 4-2 (2)

 正午のチャイムを聞いてから席を立つ。
今日は弁当持参じゃないから、チャイムと同時に飛び出して食堂へ行くぐらいの事が必要なんだけど。
そんなの、どこの腹ペコ学生だよって話だ。
管理局の食堂はでっけーんだ。昼休み終わってからでも充分ランチにありつく事は出来る。
流石昼休みだ。往来激しい通路を縫うように歩いて食堂を目指す。
小さなモニタを呼び出して今日のメニューを眺めながら歩いていると、ふいに呼び止められた。
「んー、なんだ」
「相変わらず随分な挨拶だな」
「お前なんかにはこれぐらいで充分だ。で、何か用か」
「九日十日、ってね。それに、声をかけたの俺だけじゃないぜ?」
「これからお昼ですの? ヴィータさん」
「ヴィータ、一緒に食堂まで行こうよー」
「なんだよ、4人で雁首並べて。学生じゃないんだから食堂ぐらい一人で行けって」
「ヴィータが食堂に行くなんて珍しいじゃな~い」
「だから偶の食堂ですもの。一緒でも悪くないのではなくでして?」

 ハッキリ言って珍しすぎる4人組だ。同じ部署ってだけで他に共通点が見つからない。

「……別にいいぞ。勝手にしろ」
「では勝手にさせて頂きますですの」

 アタシを先頭にゾロゾロと食堂まで歩く。
こっちに来てからあんま食堂使う機会もなくなったけど、システムも変わったわけでなく順調にこなす。
健康に気をつけなきゃいけないからな。ここ2,3日横着したから体調を整えるってのが売りのランチセットにした。
いち早く受け取ったアタシは仕方なく5人分の席を確保した。

「遅れて悪かったな」
「待ってらしたの? そんなお気遣い宜しいですのに」
「何言ってんだ。こういうのが大切なんだぞ。食事はみんなで取るもんだ」
「そう言っていつも弁当持込じゃねーか」
「他にも弁当のヤツは居るから、一緒に食べてんの。おかずの情報交換したりな。
 それと、昼休みに誰も居ないわけにもいかねーだろ。そんでちゃんと数人残ってるようにしてんじゃねーか」
「そうだったんだぁ。私もお弁当にしようかな」
「そうやって親に作ってもらう気なんでしょ」

 全員揃ったところで頂きますだ。
例の3人組は仲良く同じランチセットだ。違うの頼んで交換した方が楽しいのにな。
最後の一人はスタミナランチだ。こんなの昼から食ったら胃にもたれて仕事になんねーだろうに。
怠けたりしたらアイゼンで叩き起こしてやるからな。覚悟してランチ食えよ。
全員で揃ってランチを食べ始める。
3人組は仲良く、仕事の話から趣味の話に最近の噂話など、取り留めのない話をしながらランチをつついている。
もう一人は、大盛りのスタミナランチをひたすらガッついてる。
お前。みんなで一緒に食べてる意味ないだろ、それじゃ。
そんな4人の食べっぷりを見ながら、アタシはふとコイツ等と話してたことを思い出してた。

「(昨日といい今日といい。なのは絡みだよなぁ……)」

 そこで何を話してたかと思えば、なのはとの関係を否定するような事ばっかりだった。
右の頬っぺたの事を何でもないとか、昨日のロビーでは何でもなかったーとか。
その言動は、今までのアタシにしてみたら別になんの変哲も無いっていうか、普通の反応だと思う。
そんな、なのはとチューしたなんて他のヤツにバレたりしたらイヤじゃん。
だけどさ。よく考えてみろよアタシ。
いや、考えるまでもないって言うかさ。アタシとなのはは結婚したんだぜ。
だから、今までと違って、何もそんなに否定したりする事なかったんじゃないか?って。
そのさ、えっと、なのはの言うには結婚したら普通はするって言うんだし、別に問題ない……と思う。
問題ないんだ。うん。
だけど、なんだか何時ものノリっていうか、そういうので否定しちまったって言うか。

「ヴィータさん、私の顔に何かついていますですの?」
「……い、いや? 別に、ただ何となく」
「そんな……ヴィータさんには高町さんという方がいらっしゃると言うのに///」
「ま、待て待て。そんな意味じゃねーって。顔赤くすんな!」
「じゃあさ。そんな意味ってどんな意味?」
「……あんま冗談ばっか言ってると仕事増やすぞ」
「横暴!」
「一言多いんだからぁ、ね?」

 キャッキャッと楽しそうに笑う3人。
今一こういう女の子然とした付き合い方っていうのが分かんない。
ただ、悪気があってやってるわけじゃないってのだけは伝わってくるから、嫌な気分じゃないけどさ。

「なぁ、お前等の聞いた噂ってさ」
「なになに、やっぱ気になる?」
「どの辺まで広まってるもんかなってさ」
「そうね。この辺り本局ではみんな知ってるんじゃない?」
「…………ま」
「マジよ」

 うーん。
でも、なのはは別に迷惑しないか。どっちかと言うと願ったり叶ったりなのかもしんねーし。
そうだな。なのははそっちの方が…………待て。
いや、そうやって人を疑うのは良くない。
なのはがアタシを策略に嵌めたとか考え……まさか。はやてじゃあるまいし、流石にそこまではしないって。
……信じてるぞ、なのは。
しかし本局中となると……当然アイツの耳にも入ってるって事になるよな。

「それでね。ヴィータが否定したってこと、同じぐらい広まってるわよ」
「どういう意味だ?」
「今の噂が随分尾ひれが付いちゃって、ヴィータが否定してたって事」
「ふ、ふーん。そか」

 今日は朝から、なのははこっちにいない。
アイツの耳に届くのは少しラグが出てくる。アタシが否定したって事が。
そうなったら……どうだろ。どう思うかな。
アタシが必死に否定したって聞いたら。きっと寂しく思うだろうな……
昨日と今日の、アイツの嬉しそうにしてた顔が不意に思い出された。

「どうしましたんですの?」
「いや、別に……なんでもねー」
「のんびり食べてると時間なくなりますよぉ」
「ああ、分かってる」
「そんな急いで食べなくたって。待っててあげるからさ」
「ごっそさんでしたー!」
「……!」

 今まで黙ってモリモリとランチを食っていたヤツが、大声でご馳走様をする。
この色々な意味で全く空気を読まない行為に、流石にアタシたち4人は固まった。

「なんだヴィータ。全然食ってないじゃないか。うん? 食欲ないのか?」
「デリカシーがないったらないですわね」
「最っ低だね」
「本当ぉ、こういう人に捕まっちゃ駄目よ。ヴィータ」
「まさか。こっちから願い下げだ」
「??? 一体なんの話してんだ、おまえら」
 
 
 
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