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2007年11月29日 (木)

日記 イメージ

 
 バナーも貼っているLittlewitchさん発売の「少女魔法学リトルウィッチロマネスク」というゲームがあります。
そのゲームの体験版のイメージソングに、vin-PRADさんの「シェルティー・プリメイラ」という曲が使用されています。
これがとても可愛らしい曲で、リトルウィッチロマネスクのサウンドトラックにも収録されたときには、嬉しかった覚えがあります。
(同社から発売されている「LITTLEWITCH VOCAL COLLECTION」にも入っていたと記憶していますが現在売り切れ中のようです)

 その、vin-PRADさんの「Magician Roulette」がまた可愛らしいのですけど、
それだけじゃない、切ないというか片思いな気持ちが感じられる曲で、これもイメージにあうのじゃないかと思いました。
そういう事もあって、Littlewitchさんの新作「ピリオド」の中で、vin-PRADさんの曲が一つあっても良いなぁ、と。

  vin-PRADさんの曲は、muzieと言うサイトで、視聴、ダウンロード、購入が出来るようです。

 素敵な曲を聴いていると、何だかそれで一つ書いてみたくなるのですけど、いつもなるだけです。
けれど、SSを書いているときに、聴いていた音楽のお陰で少し変わったりしたことはありました。
 
 

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2007年11月28日 (水)

新婚なの! 6-8

 
 
 
「なのはの料理さ。ウソ吐いたことなんてない。アタシはお前に嘘なんてつかない」
「嘘って……なにがどう嘘なの?」
「お前の料理さ、美味しいって言ってたの。あれ、ホントだから。嘘じゃないんだ」
「えっと……どっちがどういう意味?」
「あ、あのとき本心で言ってないって言ったのが嘘……あの時言ったこと、全部」
「ぜ、全部? 全部って、どこからどこまで!?」
「お、お前の料理を美味しいって言ったのはホントだけどさ」

 背中を向けたまま、恥かしくて振り向きもせずに、でもちゃんと聞こえるぐらいの大きさで。
自分が悪いくせに。それなのに、ちゃんと顔を見ていえないなんてさ。最低だ。
でも、そのときのアタシは罪悪感っていうか後ろめたさでいっぱいで、それ以上のことが出来なかった。
情けなくて仕方なくて、ぎゅっとシーツを握っていた。

「ヴィータちゃんっ!」
「んがっ!? 急に抱きつくなって!」
「だって、だって!」
「だって言うな! そ、それに苦しいぃ……!」
「駄目! 苦しいって言ったって離さないもん!」
「ぐ、ぐぇ。こ、これじゃ続きが話せねーだろぉ……」
「じゃあ念話でして! ちょっとでも離したくないの!」
「う、うぅ……仕方ねぇ」

 まだ結論まで言ってねーのに気の早いヤツだ。
しかも、力いっぱい抱きしめやがる。これじゃ息を吸うのも一苦労。
この事態を打開するには、なのはに言う通りにするしかなさそうだ。くそぅ、手間かけさせやがって。

『おう。これで聞こえるか、なのは』
「うん。聞こえてるよ、ヴィータちゃん」
『お前には嘘吐きたくねーんだ。だから、ちゃんと不味いときは不味いって言う』
「不味いときなの?」
『……美味くない時は美味いって言わない。ちゃんとホントだ』
「だから、そういうことじゃなくて」
『……ちゃんとお前の料理は美味しいから。嘘で言ったことなんてないから』
「ほ、ホントだね! 嘘じゃないよね!」
『ぐえぇ~。だから力緩めろって! これじゃ念話も儘ならねーよ!』
「うえーん、だってぇ。嬉しいんだもん、ヴィータちゃん可愛いんだもーん!」
『……は、はぁ、はぁ。し、死ぬかと思った』
「ねぇ、もう一回言って? 私の料理、美味しいって」
『お前がしつこく迫るときもあるけどさ。それでもちゃんと正直な感想だ。ちゃんと……美味いぞ、なのは』
「……うん、うん。ありがと、ヴィータちゃん……」
『な、なに涙声になってんだよ。いつも言ってることじゃんか』
「だって、だって。さっきはホントにそう思ったんだもん。ヴィータちゃんが気を使ってたんだって思ったんだもん!」
『バ、バッカだな、お前は。気を使ったってしょうがないだろ』
「でも、いくら一緒に住んでるって言ったって、そういう事はやっぱり」
『ちょ、調子に乗んなよ。お前に気を使ったところで調子に乗るだけで意味がないってだけなんだからよ……』
「それってどういう意味なの?」
『言葉どおりだよ。お前は褒めて伸ばすタイプでも、褒めすぎると調子に乗るってこと』
「ひっどーい! ヴィータちゃんってそういう風に思ってたんだー!」
『ぐえぇぇー! 中身がでる、でる!』
「そういう酷い事を言う子には当然なの!」
『お、おおお前が悪いんだろ!』

 ぐずぐずと鼻を鳴らしながらも、アタシを離さないなのは。
言ってる内容は軽くても、涙声なもんだから普段なら爆笑してるところだった。
だけど今日は流石にそういう気分になったりしない。
フェイトにあんな表情させたのも、なのはを涙声にしたのも全部アタシのせいだからだ。
見っとも無い。情けない。
アタシは二人にこんなことをして、一体何がしたいっていうんだよ。

「じゃあ、ヴィータちゃん。私が作ったご飯、これからも食べてくれる?」
「あ、ああ。お前の料理を食いたがるような酔狂なヤツは、そうそういないからな」
「良いもん、それで良いんだもん……」
「なんだ。それで良いのか? アタシとそれに……フェイトしかいないぜ?」
「良いんだもん。二人いれば充分だから。ううん、ヴィータちゃんがいてくれれば充分……」
「…………」
「一人ね。自分の料理を食べてくれる人が、食べさせたい人がいれば充分だって――」
「それ。フェイトに言うなよ……」
「――え?」
「今日はこのままで良いから。だから、今言ったことは忘れろ。良いな」
「忘れろって、どういう……」
「いいから。お前はフェイトの一番の……親友でいてやれよ」
「…………うん」
「そんじゃな、お休みだ。なのは、明日も寝坊すんなよ」
「うん。お休み、ヴィータちゃん」

 結局フェイトに対して「親友」だとしか言ってやれないアタシの不甲斐なさに泣けてくる。
アタシの、アタシとなのはの結婚を笑顔で祝福してくれたフェイトに対して何もしてやれない。
あのとき言った「好きだ」って気持ちは嘘じゃない。
なのはを離さないってのも嘘じゃない。
だけど。フェイトには敵わないって改めて思い知らされた気がしたのも確かだ。
あの時はフェイトの意見を肯定したけど、正直自分でも疑問だ。
嫉妬はするくせに、素直に相手を好きだって言えない。
自分に好意が向いていないと不機嫌になるくせに、自分に向けられた好意を受け入れる勇気がない。
なのはがフェイトのことを嬉しそうに喋るだけでイライラするくせに。
それを正直に言えない。
なのはは今日。ホントに落ち込んでた。
アタシがフェイトに嫉妬して、なのはに嘘を言ったからだ。憎まれ口を叩いたからだ。
誤解は一応解けたけど、ホントのことを言ったらどう思うだろう。
フェイトへの嫉妬から、なのはに嘘を言ったって。
幻滅するだろうか。呆れるだろうか。
どちらにしろ碌な結果にならない。

「(何やってんだ、アタシは……)」
 
 
 新婚なの! 7-1 へ。

 

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2007年11月27日 (火)

新婚なの! 6-7

 
 
 
「はぁ……フェイトちゃん帰っちゃったね」
「仕方ねーだろ。朝一にこっちを出て行かなきゃいけないんだからよ」
「私たちだって早起きなんだから一緒に朝ごはんとか」
「わがまま言うな。アイツだって追ってる事件が山ほどあんだからよ」
「……ごめん」
「一山片付いたらよ、また来てくれるって」
「……うん。そうだよね」

 あの後フェイトの車でスーパーへ向かいパンやら何やらを買った。
すぐさま家まで車を飛ばして、夕食の準備を終えていたなのはと一緒に食卓を囲む。
せっかくフェイトが来てたって言うのに、雰囲気は悪く、なのはだけが必死に明るくしようと頑張っていた。
その後、アタシが洗い物をする間、フェイトとなのはを一緒にしてやったけど、特に会話が弾むこともなかったみたいだ。
一時間もしない内に、フェイトはなのはに惜しまれながら帰っていった。

「ほれ、なのは。明日も早いんだ、寝るぞ」
「う、うん……」

 アタシが風呂から上がってくると、ソファーで小さく膝を抱えて座っているなのは。
まるでさっきのフェイトを見ちまったような感じがして嫌だ。
こういう日はさっさと寝るに限る。
それでもなのはは、何か話題を作ろうとして、そこでまたフェイトの名前を出す。
悪気があってやってるわけじゃない。
アタシとフェイトに何があったかなんて知らないんだし、アタシがフェイトをどう思ってるかなんて。
ソファーに座るなのはを促して寝室に行こうとすると、寝巻きの裾が引っ張られた。

「……どうしたよ、なのは」
「えっとね、ヴィータちゃん。あの、その」
「なんだよ。早く言えって」
「今日。一緒に寝て、良い?」
「……はぁ。んだよ、そんなことか」
「そんなことかって、そんな私には、その」
「大体あの日一日だけだぞって約束したのによ。次の日からさも当たり前かのようにベッドに潜り込んでたじゃねーか」
「あ、あぅ……」
「ほれ。下らないこと気にしてねーで、さっさと寝るぞ」
「う、うん」

 変なところで気を使うなのは。
でも、それだけ気にしてるってことだ。原因は分からないけどアタシが怒ってるって。
……しょうもないのはアタシの方だ。なに気を使わせてんだよ。
なるべく何とも思ってない風に振舞うけど、なのはの目には不自然に映ってるのかもしれない。
何せお互いの癖が分かるぐらい一緒にいるんだもんな。何かしら感じ取ってるんだろう。
今のアタシのこと、なのはに悟られたくなかったから、そのまま振り返りもせず寝室に向かい、ベッドに入ることにした。

「よっこらせっと。ちゃんと目覚ましかけとけよ」
「うん、分かってる。それじゃ、お休みね。ヴィータちゃん」
「……ああ。お休みだ」

 一緒にベッドに入って布団を被る。
なのははいつも通りこっちを向いて寝るものだから、アタシは何となく気まずくて背中を向けてしまった。
こんなの良くないよな。アタシが悪いんだしさ。なのはにはちゃんと言っておかないと。
あぁ……でも今更言い辛いなぁ……

「ねぇ、ヴィータちゃん。もう寝ちゃった?」
「……まだ起きてるぞ」
「それならね。あのね、今日のことなんだけど」
「なんだよ」

 布団を被って幾らか経った頃。
どのくらいか分からないけど、何時もなら寝付くぐらいの時間は経ってたように思う。
それなのに全く瞼は下りてくる気配を見せなくて、困り果てていた時。
なのはが話しかけてきた。
この状況を考えるに、寝たふりをするって選択肢もあった。
けれど、この気持ちを抱えたまま明日を迎えるのも良くないと思って。
数瞬考えた後、返事をした。

「私ね。もう少し頑張るから。ヴィータちゃんばっかりにご飯作らせないから」
「……なんのことだよ」
「はやてちゃんには敵わないけど、美味しい料理作れるように頑張るから」
「……いいんだ。そんな無理しなくて」
「無理だなんて、違うよヴィータちゃん」
「違わない。違うのはアタシなんだよ、なのは」
「え……どういうこと?」

 違う、だなんて。
確かにそうなんだけど、そう言ってしまった手前。今日のことは絶対に正直に言わなくちゃいけなくなった。
そのつもりで返事したくせに、やっぱりいざとなると怖いもんだ。
でも、そんなことも言ってられない。
背中の向こうでは、なのはが固唾を呑んでアタシの次の言葉を待ってるんだ。
それに……フェイトとのこともある。
言い切った手前。アタシはちゃんとしなくちゃいけない。
 
 
 

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2007年11月26日 (月)

新婚なの! 6-6

 
 
 
「それはね。ヴィータにお話できるのが楽しいからだよ。
 私と話してるのが楽しいよりも、それをヴィータに報告するのが楽しいからなんだよ?」
「な、なぁ……っ!」
「分かってくれた? そう言うことをしたい相手。一緒に居たいって思ったのはヴィータなんだよ」
「あ、いや、それは……」
「ねぇ。ヴィータはどうしてなのはと結婚したの?」
「い、いいっ!? そ、そりゃお前、なんつーか」
「なのはが迫ったから仕方なく? 違うよね、なのはが好きだからしたんだよね?」
「…………う、うぅ」
「もしそうじゃないんなら。私、なのはのこと盗っちゃうよ?」
「!!! …………そ、そうしたきゃそうしたら良いだろ。なのはがそれで良いならアタシは別に――」
「駄目だよ!」
「フェ、フェイト……」
「そんなのじゃ駄目! 絶対になのはを離さないって、そういわなきゃ駄目!」

 びっくりして言葉が出ない。腹の底で渦巻いてたドロドロしたモノまでが吹き飛んでしまった。
誰もいない、夜の道。街灯も少なく夜の闇が包み込む街に、フェイトの凛とした声が響き渡る。
割と長い付き合いになるけど、フェイトがこんな大声を出すなんて滅多にない事だから。
昔からなのはの事になると熱くなり易いヤツだったけど、それを差し引いても驚きだった。
街灯に照らされたフェイト。
真っ暗な舞台にスポットライトを受けて浮かび上がる金髪。
憂いを秘めていた瞳を少し細め、ゆっくりと続けた。

「ヴィータの事を好きだってなのはの気持ち。それに応えてあげたんでしょ?」
「…………」
「同じようになのはの事を好きだから結婚したんでしょ?
 お互いがお互いを想い合ってるからこそ、一緒になることを選んだんでしょ?
 それは私が盗っちゃえるような、簡単に手を離しちゃうぐらいの気持ちなの!?」
「…………違う、さ」
「そうでしょ? ヴィータがなのはを好きだから結婚したんだもん」
「……あ、ああ。そうだったな」
「だからそんなこと言っちゃ駄目。お前なんかにやらないぞって、それぐらい言い切らなきゃ」
「……全くだ」
「私。なのはがヴィータと一緒に居られることで幸せになれるなら、それで良い。
 本当はなのはの幸せと私のそれがイコールなら一番嬉しい。私は……私だってなのはのことが好きだから。
 私がなのはに幸せをあげられるなら、私と居られることが幸せだって言うなら、これ以上に幸せなことなんてない。
 でもね。何よりも一番大切なのは、なのはの幸せなだから。私自身のじゃなくて。
 それをヴィータがしてくれるなら、私はそれで構わない。だから、ヴィータがそのことで気に病むことなんて……ない」
「……そんなの、寂しいじゃん。好きな人が自分を向いてくれないってさ。お前はそんなんで良いのかよ」
「確かにちょっと寂しいかも。でもね、そうなったとしても、私となのはの関係は変わらないよ。
 なのはの親友が、フェイト・テスタロッサであること。そして……ヴィータの親友が私であることも」
「フェイト……」
「だからね。どうしてもこの一言を……私の気持ちを伝えたくてヴィータの帰りを待ってたんだ」
「な、なにさ」

 いつの間にか、いつも通りのフェイトに戻っていた。
柔らかい雰囲気も、優しい笑顔も、"いつも通り"のフェイト。
真っ暗な中に居るアタシとは対照的に、綺麗で、強くて、芯がしっかりしてる、いつものフェイト。
見てられない。でも、その"一言"を待って、なんとか顔を上げ続けた。
そして。一拍、深呼吸があって、その唇から紡がれた言葉。
 
 
 
 
 
「結婚おめでとう、ヴィータ」
 
 
 
 
 
 アタシは、フェイトの顔をそれ以上見ていられなかった。
 
 
 

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2007年11月25日 (日)

新婚なの! 6-5

 
 
 
「そ、そんなことねーよ」
「でも……」
「それを言うなら、来たくなかったのはフェイトの方なんじゃねーのか!?」
「!? ヴィ、ヴィータ」
「なんだよ。アタシが引っ越したばっかの頃はさ、ちょくちょく遊びに来てくれたのによ」
「う、うん。そうだったね」
「なのはが転がり込んできたから……ぱったり来なくなってよ」
「……」
「ホントはフェイトがアタシに会いたくなかったんだろ」

 言っちゃいけないことだ。
分かってはいたけど口にしちゃ駄目で、それもフェイトには聞かせちゃいけない言葉だった。
なのに……今日は言っちゃいけない事ばかりが口を吐いて出る。
顔を背けてるから、フェイトがどんな顔をしているか分からない。
でもきっと、眉毛を下げて"凄く困った顔"をしてるんだ。
怒ったり泣いたり、そうやって感情を強く表に出さない。どうして良いか分からない。
でも笑ったりするのは変。だから"困った顔"をするんだ。フェイトはそうしてる気がする。

「……はぁ。もういいだろ?」

 口から吐いた言葉は戻ってこない。
どうしようもなくて、少しでもフェイトと距離を取るためにまた歩き始めた。
少し早足気味に足を進める。
フェイトの横を黙って通り過ぎると、ワンテンポあってフェイトが追いかけてきた。
フェイトよりアタシの方が歩幅が狭い。同じように歩いていたら直ぐに追いつかれる。
それがまた面白くない。

「ついて来るなよ。車はどうしたんだよ」
「ちゃんとロックしてあるから大丈夫だよ」
「そういう問題じゃねー。さっさとなのはのところに戻れって」
「駄目だよ。ヴィータを一人にしておけないもん」

 どんどんフェイトの声が近くなる。
アタシとフェイトじゃ、子どもと大人ぐらいの身長差がある。
特に足の長さが違うから――フェイトは特に足が長い――歩幅に差が出る。
でも、そんなことは随分前から分かってた事だし、それが面白くないわけじゃない。
一番面白くないのは……それはアタシとなのはの歩幅が合わないってことと同じなんだ。
つまりそれは、なのはとフェイトは歩幅が合うってこと。アタシよりピッタリと。
婚姻届出しに行ったときのことだよ。
肝心なときに歩幅が合わない。
アタシの歩幅が狭いこと分かってるから、なのはに要らない気を使わせる。
同時にアタシだってそれなりに気を使う。
でもそれだってフェイトと一緒に歩くとき、なのはは気を使うことがない。
フェイトはちょっとだけ気を使ってるかもしれないけど、アタシほどじゃない。
気兼ねなく、二人で仲良く歩きながら話したり出来る。
視線だってほぼ同じ高さだ。アタシみたいに、ちょいとだけアンテナが肩口に届く程度じゃない。
普段気にしてなくたって、そういう時に現実をイヤと言うほど突きつけられるんだ。

「アタシの事なんてどうでも良いだろうが! お前は好きななのはと一緒にいろよ!」
「!!! ヴィータ。私はヴィータだって好きなんだよ」
「へん! そんなの知らないね! それに、さっきは会いたくないって言ったじゃねーか!」

 振り返ってキツイ調子で言う。
こんなのフェイトにしたら完全な八つ当たりされてるだけだ。
それなのに、フェイトは相変わらず"困った顔"をしているだろう。
どうしてだよ。アタシが悪いんだ。怒鳴り返すなりしたら良いじゃねーか。
それなのに、フェイトは非難するでも何を言うでもない。
流石にアタシだって二の句が継げなくて、二人の間に深い沈黙が横たわる。
どんどん膨れ上がって二人を包み込みそうな勢いのソレに、どうしたら良いものかと思った矢先。
フェイトが先に口を開いた。

「……会いたくなかった訳じゃない。ヴィータは大切な親友だし」
「そうかよ」
「ホントは……ホントはね? なのはに会いたくなかったの」
「な、なのはに!? お前がなのはに会いたくないって、それ」
「うん。だって、ヴィータの隣で嬉しそうにしてるなのはは……見たくなかったから」
「……フェ、フェイト」
「なのはに笑顔をプレゼント出来るのはヴィータなんだって分かったから。
 そんな現実を目の当たりにしたくなくて……逃げ出したって言うのが正解なのかな」
「な、なに言ってんだよ。お前……さっきのなのは見てたろうが!」
「うん、ヴィータが帰ってくるまで一緒にいたよ」
「それなら分かるだろ? お前と一緒にいるときのなのはがどんだけテンション高いとか!
 アタシが帰ってきてからもお前の話ばっかりじゃん! ずっとニコニコしてたろ! これはどう説明すんだ!?」
「ヴィータ……」
「お前の勘違いなんだ! ホントはお前と一緒にいるのが楽しいんだ、好きなんだ!
 昔から変わってない! アイツの一番はお前なんだ! だから黙って帰ってりゃ良いんだよ!」

 思わず声を荒げる。
ホントは涙が出そうだった。自分の惨めさに。
だけどこう言った手前そんな顔も出来なくて、勢いで睨んでやれば、やっぱりフェイトは困った顔をしていた。
いや、寧ろ悲しげな色を瞳に湛えていた。
悲しくて泣きたいような意味じゃなくて、ただ悲しい、寂しいって。
そんな顔見たら、これ以上なにも口から出てこなかった。
悲しげな瞳でアタシを見つめるフェイト。
そのままアタシが何も言えずに黙っていると、ゆっくりと質問に答えてくれた。
 
 
 

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2007年11月24日 (土)

新婚なの! 6-4

 
 
 
「待って、待ってヴィータ」

 家を飛び出し、セキュリティーを解いてる内に追いかける足音。
なのはの足音と違う、他のこと考えたくなくて兎に角走ってもそれぐらいは分かる。
エレベーターの前で階数を示すランプが降りてくるのを待っていたところだった。

「な、なんだよフェイト」
「私も行くよ。なのはに聞いたら少し遠いって言うから」
「そんな遠くもねーよ。いつも買い物はそこなんだからよ」
「でも、夜も遅いし……」
「良いから! お前はなのはと一緒にいてやれよ!」
「あっ! ヴィータ!」

 エレベーターで二人っきりなんてゴメンだ。
もう直ぐ到着しそうだったエレベーターを放って横にある階段から降りていくことにした。
直ぐに足音が追いかけてくる。
一段二段と階段を飛ばし、少しでも距離を取ろうと走る。
だけどそれはフェイトも同じようで一向に離れる気配がない。
夜も遅くなって静かな階段に二人の足音が響き渡る。
反響に反響を繰り返した足音に、どちらの物か分からなくなって追って来るフェイトの位置が分からない。
そうなれば気にすることも出来なくて、ただひたすら階段を降りつづけた。

「ったく。要らない体力使っちまったや」

 一回に降り立ち、ロビーまで走ったところで足音が追いかけてこない事に気付いた。
延々一本の階段だ。離れるわけがない。
じゃあ諦めたか? どうかな、それは分からない。
なのは並のしつこさを発揮するときもあるかと思えば、肝心なときに黙ってしまうのがフェイトだ。
そうなら諦めたと考えることも出来るけど……いや、今はどうでも良いや。
玄関フロアのセキュリティーを解き、マンションの外に出る。
階段を随分な勢いで降りたお陰でちょっとだけ早い。
時間が欲しいって思ったんだ。
夜風に当たりながら、ゆっくり歩いて頭を冷やすとするか。

「……ふぅ」

 全身の力を抜いてダランと、街灯の少ない夜道をトボトボと歩く。
夜の空気は流石にヒンヤリとしていて、風も丁度心地よいぐらいに吹いては、アタシの頬と髪を撫ぜていく。
この調子なら、買い物の往復で何とか頭を冷やせそうだった。
今はなるべく何も考えないで、頭を空っぽにしてこのイライラを追い出さないと。
余り一人で考え込むのはド壷にはまりかねない。
努めて頭を冷やそうとしていれば、頬や髪を撫ぜる風が冷たくなってきたように感じた。
さっきはカッカきてたから丁度良く感じただけで、実際は結構寒かったのかもしれないな。
だけど今更引き返せない。
早足で済ませようにも、それじゃ飛び足してまで作った時間の意味がない。
部屋着に一枚羽織っただけじゃ凌げない感じ。
上着を取りに返れないし、このままでいると体調を崩しそうだ。
かと言って急いで帰っちゃ何のために二人の制止を振り切ってまで走ったか意味がなくなる。
そうならないように心掛けたくせに、既にド壷にはまり掛けている。
結局どうしようもなくて、二進も三進も行かなくなっている所に、後ろから車のエンジンの静かな唸りが聞こえた。
その聞き覚えのあるエンジン音を無視していくけれど、あっという間に追いつかれてしまう。
追い抜きざまに減速し、アタシに横付けするように停車しハザードランプを点灯させる。
中から顔を出したのは当然―――フェイトだった。

「ヴィータ。送ってくよ」
「……良いって。そんなことしなくたって」
「そういう訳にもいかないよ。夜も遅いんだし」
「ふん。アタシは腐っても管理局の航空隊で教官資格だって持ってんだぞ。そんじょそこらのヤツに後れを取るかよ」
「市街地での戦闘。それ以前にデバイスの使用許可が下りないよ」
「……真に受けるなって」
「ほら、乗って。なのはも待ってるから」
「……それなら家で一緒に待ってりゃ良いだろうが」
「どうしたの? なんだか変だよ。今日のヴィータ」
「アタシはいつも通りだ。それに会うの久しぶりだろ。なんでそんなこと分かんのさ」

 フェイトの言ってることは正しい。アタシのは単なる言いがかりだ。
何してんだ。なのはに嘘ついて、フェイトに言いがかりをつけてさ。
くそっ。
イライラするから態度が悪くなって、そんな自分に腹が立って余計イライラする。

「ヴィータ。……やっぱり来ちゃ駄目だったかな」

 そっぽを向くアタシに埒が明かないと思ったのか、車を降りてくるなりとんでもない事を言い始めた。
アタシはそんなの無視してさっさと行っちまえば良かったのに、とても無視なんて出来なかった。
それは、見事に今のアタシの本音を言語化したものだったから。
久しぶりに会うフェイトに余所余所しくして、テンションの高いなのはにイライラして。
それは"今はフェイトに会いたくなかった"からだ。
 
 
 

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2007年11月23日 (金)

新婚なの! 6-3

 
 
 
「あっ、ヴィータちゃん。あのね」
「どうしたよ、呼びつけてさ」
「直ぐに来てくれるなんて珍しいね。いっつもそうじゃないのに」
「うっせ。文句言うなら戻るぞ。それに、いっつも言うほどやってないだろ」
「待って待って。あのね、あっちのお鍋の様子を見て欲しいんだけど」
「鍋の様子か……ああ、良いぞ。そのぐらいならな」
「やった。手伝ってくれないって言うから駄目かと思っちゃった」
「あ、う……んで。鍋の様子を見たら良いんだな?」
「うん、お任せね」

 ガス台には中くらいの鍋が火にかかっていた。
脇から踏み台を持ち出して鍋の中を覗き見ると、何か嗅いだことのない匂いがした。
カツオとかワカメとか……うーん、見た目は普通っぽいけど……何だこれ。

「中身、気になっちゃう?」
「あ、ああ。まあな、見たことない料理だし。お前、こんなの作れたのか?」
「ううん。実際作るのは初めてだよ。でも大丈夫だから」
「いや、意味分かんねー。なんで初めてなのに自信あんだよ」
「えっとね、ほら。リンディさんのレシピがばっちりあるからだよ」
「ふーん、リンディさんのレシピね。また紙のメモか」

 なのはがエプロンのポケットから取り出した一切れの紙には、丁寧な文字が並んでいた。
そして、その文字の丁寧さ同様に書いてある内容は素晴らしかった。
……「適当」の文字が多すぎる。
些細な調味料からメインの材料まで、全部。
コレは一体どう解釈して良いものやら。

「きっと私好みにして良いっていうことだと思うよ」
「……ま、まあそういう解釈しかないだろうな」
「大丈夫。フェイトちゃんもヴィータちゃんも私の味付け好きでしょ?」
「……別に」
「そうだった? いつも美味しいよって言ってくれるのに」

 なんでだ。なんでそこでフェイトの名前が先に出てくんだよ。
最近ずっと一緒にいるのはアタシだろうが。アタシの方がよくお前の料理の感想言ってるだろ。

「いつも? いつも言うほど作ってないだろ。嘘言うな、嘘を」
「嘘じゃないもん。私が作るときはちゃんと"美味しいぞ"って言ってくれてるもん」
「……そ、そりゃお前が言うまでしつこく迫るからで。べ、別に本心から――」
「言ってくれてなかったの?」
「う、うぅ……」

 そうじゃない、そうじゃないんだ。
いくらしつこく言われたからって、こいつにウソなんか言ってもしょうがない。
ちゃんと言っておかないと、直さないまま作り続けるからさ。
だから……嘘なんて言ってない。ホントに美味いときにしか「美味い」って言わない。
違うんだ、違うんだ。なのは。

「……そっか。じゃあ、今度からもう少し練習するね」
「あ、ああ。アタシは厳しいからな。覚悟しろよ」
「うん。……えへへ。やっぱりはやてちゃんには敵わないね」
「……まあな」

 包丁がまな板を叩く音がゆっくりになる。
やっぱ落ち込んでるよな。アタシが嘘言ってたって分かってさ。
なんでさ。なんで正直に言えないんだ。
なのはが作ってくれるときってさ。良いことがあったときとかさ。まあ、気が向いただけって時もあるけどよ。
それに流石桃子さんの娘だけあってさ。美味いんだ、嘘じゃないんだ。
だから嘘じゃないって……今までのアタシは嘘ついてたって事になっちまった。
ホント、なんでこんな事になっちまったんだよ。

「……ねぇ、ヴィータちゃん」
「ど、どうしたよ。なにか手伝って欲しいことでもあるのか?」
「ううん。そうじゃなくて。実はさっき戸棚を見たらね」
「戸棚……なんかあったか?」
「実はパンにカビが生えてたの。だから」
「明日の朝食分がないのか」
「うん。どうしようかなって、今思い出したの」
「ふぅん……」

 全くこっちを向かない。
アタシの機嫌が悪いとでも思ったのか、様子を窺うように話しかけてくる。
事実機嫌は良くない。
自分のいい加減さに勝手に嫌気が差して悪くなってるだけで、なのはは何にも悪くないんだ。
だから、そういう態度を取らせてしまった事が嫌でしょうがない。
少しだけ機嫌よく振舞ったつもりだけど、返って不自然になっちまった。

「おい。準備に後どのくらいかかる」
「準備……ご飯がどのくらいで食べられるかってこと? それなら後20分ぐらい、かな?」
「20分か。わかった、ちょっと出かけてくる」
「い、今から? 疲れてるんでしょ?」
「でもよ。飯食っちまったら出かけるの嫌だしよ。朝はちゃんと食べなきゃ駄目だ」
「それなら、この間買ってきたゼリーのヤツでも」
「あれは急いでるときだけ。良いから、お前はそのまま準備を続けてろ」
「あ、ヴィータちゃん!」

 20分なら近くの深夜営業やってるスーパーを往復出来そうな時間だ。
ホントはなのはの言う通りにしても良かったんだけど、今は少し時間が欲しかった。
ほとぼりが冷めるほどの時間は取れないけど、兎に角離れたい。
今のままじゃ、余計になのはを落ち込ませたりするだけだ。
踏み台から飛び降り、呼び止めるなのはの声を無視して家を飛び出した。
 
 
 

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2007年11月22日 (木)

新婚なの! 6-2

 
 
 
「あ、ヴィータ。着替え終わったの?」
「お、おう。ところでフェイト、その格好じゃ肩凝るだろ。待ってろ、今ハンガー取って来てやるから」
「大丈夫だから気にしないで。ほら、一緒にテレビでも見てようよ」
「ん? 相変わらず人の家だと遠慮すんだな」
「そういう訳じゃないんだけど……」
「良いからそこで待ってろって。直ぐに戻ってくるからさ」
「大丈夫なの?」
「ああ、前とは違うからな」

 リビングに戻ってきてみれば、フェイトが居場所なさげにソファーの端っこで小さく座ってた。
行儀が良いというより、知らないところに連れてこられた子どもみたいだ。
何をこんな遠慮してんだろうな。知らない仲じゃねーのにさ。
でも。今は何となく、それがありがたかった。
そんなフェイトを置いてアタシはまた部屋に戻った。

「ほれ、フェイト。なのはのハンガーだ」
「そっか。今はなのはのハンガーがあるんだったね」
「んー……。前はアタシのしかなくてサイズ合わなかったからな」
「そういえば、そうだったね」

 ハンガーを貸してやると、やっと上着を脱ぎ始めた。
執務官の黒い制服の前を外すと、ホッと一息つくように大きく息を吐く。そして深呼吸。
呼吸のたびに上下する胸は、何だかボリュームが増したように見えた。
上着にぎゅっと押し込められていたせいで、窮屈してたんだな。
しっかし相変わらず大きな胸だ。
いつの間に大きくなったんだろうな。確か、はやてが中学上がる頃には大きかった気がするけど……
その大きさたるや、おっぱい魔人とか散々からかったシグナム並じゃねーか。
でもさ。幾ら大きくなったって、フェイトにはそんなことしないけど。
そりゃ家族じゃないってのもあるし、何よりそんな事したら悪いじゃん。
シグナムならよ、レヴァンティン振り回して怒るだけだけどさ。
フェイトだと気に病んで寝込んじまいそうだし。
なのはの爪の垢でも飲んで、もう少し図太さを身につけた方が良いと思うんだ。
そんでなのはにはフェイトの爪の垢を飲んでもらいたい。
もう少し控えめというか、御しとやかにだな。

「えっと、どこに掛けておいたら良いかな」
「お、おう。そうだな……あそこなら大丈夫だ。ほれ、貸してみろ」
「良いよ、それぐらい自分でするから」
「今日のお前は客なんだし、立ってるついでだ」
「う、うん。ありがとう、ヴィータ」

 ハンガーにひっかけた上着を受け取ると、足早にそこを離れた。
受け取った上着からは微かに甘い香りがして、鼻腔をくすぐる。
これも相変わらず。思わず抱きしめたくなるような匂い。一体どういう香水使ってるんだろうな。
そういや、これ。なのはも同じようなの持ってたよな……
普段洗濯干しなんかに使うレールに吊るして、フェイトの待つソファーに戻った。

「ごめんね、ヴィータ」
「一々謝るなって。もうちょっと楽にしてろ」
「う、うん」

 まだ畏まってソファーに小さく座ってる。
居場所なさそうに、視線を泳がしながら。
こんな状態じゃお互い空気悪い。それに、今日は何だかフェイトと普段のように接することが出来ない。
たぶん、疲れてるせいだと思うけど……そうだ、疲れてるからだ。
このままじゃいけないと、仕方なくテレビを点けた。
これで何とか間が持つ。
黙って見るも良し、映ってるものをネタに話すのも良し。
フェイトの視線がテレビに移ったことを確認して、ソファーに腰を下ろす。
ぴったり隣も変だし、だからといって余り間を空けるのもアレだ。
だから、この二つのどちらでもない、なんとも言えない間合いを確保した。

「…………」
「…………」

 大して興味もない番組が画面に映し出されてる。
それもあるけど、隣のフェイトが気になって内容がさっぱり頭に入ってこない。
テレビの音が小さいせいなのか、台所からの音がやけに大きく聞こえてくる。
フェイトはどう思ってるか知らないけど、アタシは気まずくてたまらない。
テレビを点けたから大丈夫かと思って座ったけどさ。余計手詰まり感しかしない。
どうするよ。今更席を外すのも何か変だし、かといって夕飯の手伝いはしないって言っちまったし。
いやだ、空気が悪い。

「……ねぇ、ヴィー……」「!? っ」
「ねぇ、ヴィータちゃん。ちょっと良い~?」
「ど、どうしたよ、なのは!」

 幾らかそのままでいて、テレビがCMに入ったとき、フェイトが何か言いかけた。
どうしようかと一瞬で思考を巡らすが、そんな状態で良い考えが浮かぶはずもない。
その間一秒もないぐらい、タイミングよく台所のなのはから声がかかった。
助かった、グッドタイミングだ。
これならフェイトに怪しまれずに席を外すことが出来る。
嘗てない素早さでソファーから腰をあげ、台所に向かった。
 
 
 

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2007年11月21日 (水)

新婚なの! 6-1

 
 
 
「今日は久しぶりに遅くなっちまったや」

 出来の悪い同僚に付き合ってダラダラと仕事を片付けてたら、すっかり街は夜の風景。
別に残業代なんてそんな出ないって分かってるんだからよ。今度こそ、アイツが何を言おうと先に帰るんだ。
……こうやって何回思ったか分かんなくなってるけどさ。
マンションのセキュリティを解いて入ると、既になのはが帰宅しているのが分かった。
これも何回言ったか分かんないけど、帰るときになったら連絡しろって。
夕飯の用意とか色々あるんだからよ。
肝心なときに捕まらないし、端末持たせてる意味がねーじゃんか。
どうせ帰るなり開口一番「お腹空いたー」とか言う憎らしい顔を想像しながら階段を上る。
自分の住んでる階に到着し、人気のない廊下を歩いて行って玄関の鍵を開ける。
鍵じゃなくて生体認証とかいうんだっけ。便利だよな、これ。
分厚いけど見た目より軽い玄関ドアを開けると、そこには見慣れた靴が……二足あった。

「おっかえりなさーい! ヴィータちゃ~ん」
「お、おう。なのは。今帰ったぞ」

 リビングから顔を覗かせたのは、もう見飽きるほど見た栗色の髪をしたなのはと。

「こんばんわ、ヴィータ。久しぶりだね」
「あ、ああ。そうだな」

 相変わらず人の目を牽く、キラキラと透き通るような金髪をした……フェイトだった。
 
 
 


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2007年11月19日 (月)

近所?のネコ

 

 家の庭にはよくネコが来るのですけど、人が近づいてもあまり逃げません。
例えばこんな風に歩いているところを撮ったとしても。(ガラス越しなのでうっすら私の足が写っています)

Dscf0271_

そのままジッと見ていると目の前でしゃがみ込んでしまいました。
でもやっぱり気になったのか、こちらをジッと見つめ返してきました。

Dscf0274_

この子はよく来ます。
もう一匹この子によく似て倍ぐらい大きい子がいるのですけど、写真が嫌いなようです。
 
 


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2007年11月18日 (日)

一周年

 
 ブログを開設して今日(18日付)で一周年になります。なるはずです。
これまで一年間多くの方に閲覧して頂いてありがとうございます。
宜しければこれからもご愛顧賜りますよう、お願いいたします。

 思えばリリカルなのはに出会ってから二次創作を始めてブログを持ち、先日は合同誌のお誘いまで頂いて。
まさか一昨年の今頃は、まさか今頃こんな事になっているとは夢にも思いませんでした。
「魔法少女リリカルなのは」という作品に出会えてよかったと思えます。

 
 11月前半分のweb拍手に返事をさせて頂きました。
 

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2007年11月17日 (土)

新婚なの! 5-14

 
 
 
「……もう、起きなきゃね」
「ああ、そうだな」
「今日は……朝ごはんいらないから」
「…………」

 目覚ましを止め、のそのそと腰をあげてベッドから降りる。
横を通り過ぎるなのはが、凄く小さく見えた。
別に可哀想とか思っちゃいない。
そう。これは、最後にはなのはの為になるんだから。
変に甘い考えを出しちゃいけない。
アタシのためにしてくれたってのは分かってる。
昨日の為に頑張ってたのも聞いた。相手の為に頑張ってるのを無下にする気はない。
でも、それで助け舟を出すのは違う。これはなのはの為なんだ。
ここらで一つ、ビシッと注意しなくちゃいけないんだ。…………いけないんだ。

「……おい。朝ごはんは食ってけ。力でねーぞ」
「それなら冷蔵庫にあるの飲んでくから」
「悪い。それならアタシがこの間飲んじまった」
「……そうなの?」
「お前がいないときにな。時間がなくてさ」
「そっか。じゃあ、行く途中でなにか買ってくよ」
「……なんだよ。誰も作ってやらないとは言ってねーぞ」
「でも、今からじゃ間に合わないよ」
「弁当は厳しいかもな。でもよ、朝ごはんぐらいは何とかなる。それに」
「それに?」
「お、お前のヤツ。勝手に飲んじまったからな。それのお返ししねーと」
「良いよ別に。そんな高いものじゃないし」
「こういうのは値段の問題じゃない。だからさ」
「???」
「……お前の口座番号。置いとけ」
「…………えっ?」
「だから。お前が口座番号を書いた紙をテーブルの上に置いとけっての」
「え、でも、なんで……?」
「だ、だから、そうすりゃアタシが勝手に振り込んどいてやるって言ってんの」
「で、でもさっき」
「銀行で手続きとって、アタシも口座に触れるようにしとけ。分かったな?」
「あ、あの、えっと……ヴィータちゃん?」
「なのはが勝手に指輪買ったりドレス注文したみたいに、アタシが勝手に口座に振り込むだけだからな!
 別にお前に貸したりとか! アタシの為にしてくれたからちょっと何かしないとなとか! 全然そんなことねーぞ!」
「ヴィ、ヴィータちゃん……」
「そ、それに! どうせ返すつったって、お前の節約って言うのはアタシの出費なんだからよ!
 貸さないってのはそういう意味! どうせアタシが払うことになるだけだから、別に面倒にしないってだけのこと!」
「う、うん……」

 振り返らない。誰も居なくなったベッドに向かって大きな独り言。
背中になのはを感じるけれど、絶対に振り向いたりしない。
そうなんだ。結局はアタシがなのはの出費を一緒に払ってるみたいなものなんだ。
それが返ってきたところで、別にアタシの懐が温かくなるわけじゃない。
元々、今回のことだって転がり込んできてから貯めたお金なんだ。
だからアレは貰ったんじゃなくて自分のなの。
なのはが買ってきただけで、アタシが自分でお金を出して自分で買ったようなもんなんだ。
そうだ、そう考えることにした。そう納得した!
後ろで今一要領の得ない感じだから、もう一回独り言を言ってやる!

「分かったらさっさと顔洗って着替えてこい! そ、その間に朝飯用意しといてやるからよ!」
「……うん! ありがとう、ヴィータちゃん!」
「ば、ばか! 朝から抱きつくんじゃねーって!」
「えへへ~。今抱きつかなくて、いつ抱きつくっていうの~?」
「そんなこと言って毎日抱きついてるじゃんかよ!」
「うん、うん……!」
「だから勘違いすんなって言ってるだろ! 別にお前のことなんてこれっぽちも心配してないんだかんな!」
「分かってる、分かってるよヴィータちゃん」
「けっ。ホントに分かってんのかよ」
「…………ホント、ゴメンね。ヴィータちゃん」
「……謝ってる暇があったら顔洗って来いって言ってるだろ」

 弁当の準備が出来なったどころか朝食すら食べ損なった上に、二人で髪のセットもしないまま家を出る羽目にあった。
 
 
 

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2007年11月16日 (金)

新婚なの! 5-13

 
 
 
「ふぁ~あ。……ったく。昨日は疲れたぜ」

 まだなのはが寝てるベッドから身体を起こし、一人台所に向かう。
今まで別に寝てたしよ。余り気にしなかったけどさ、疲れた時に手足を伸ばして寝るやつは邪魔でしょうがない。
はやてとかフェイト見たいに大人しく寝てくれよ。全く。
気持ち良さそうに眠る顔を思い出しながら、エプロンを手に取ったところで電子音がピコンと鳴る。

「う、うん? なんだ……これ」

 テーブルの上に浮かび上がる封筒の形したモニタ。
エプロンを付ける手を休めて覗き込む。嫌な気がするけど、急な知らせかもしれないしな。
モニタに書かれた文字を見るに銀行からだった。しかも2通。
なんだろな。保険の勧誘でもないだろうし……若しかして請求書か?
最近そんな大きな買い物もしてないし、カードの請求日はもうちょい先だ。
もう一度見てみると、宛先はなのはになっていた。

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2007年11月15日 (木)

新婚なの! 5-12

 
 
 
「えっへへー」
「んだよ。気色悪ぃ笑い方しやがって」
「だって~」

 写真も撮り終わり、家に帰るところ。
結構時間がかかったのか、随分陽も傾いて街はそろそろ夜の準備を始めようという時間。
赤みがかった街の風景はいつ見ても寂しげで、肌を撫ぜる空気以上に寒く感じる。
こういう景色の中にいればさ、何だか家に帰るのも寂しくなるってもんだ。
すっかり別の顔になった街の景色に、全部楽しかったことが幻だったかのような感覚に囚われる。

「うわ、な、なんだよ」
「なんだか寒そうだったから。上着、持ってくればよかったね」
「あ、うん、まあ」
「それどころじゃなかった? ヴィータちゃんにしてはちょっと迂闊だったね」

 肌寒さを感じていた腕に、ふと温かみが宿ったかと思えば、ぐいっと抱き寄せられる。
抱きつくってほどじゃないけど、身体を殆どなのはに預ける形になっちまった。
文句言おうと思ったらさ、上機嫌ななのはの顔。
別に寒いなんて一言も言ってないのにさ。何で分かったんだろうって。
それにこんな格好じゃ上着っていうか、何か羽織るものを持ってくるのが普通なのに忘れたのは確かに落ち度だ。
珍しくまともなこと言うし、何でそんな基本的な事忘れたのかって悟られたくなかったのに。
上手く言い訳できなくて口ごもってると、見事に言い当てられた。

「う、うっせーよ。お前が遅いから、その、アタシが準備する時間が減ったんじゃねーか」
「そうだったっけ。私より早く用意してたよね。そんな事なかったんじゃないかな」
「う、ぐぅ……」
「えへへ。珍しく全然だね、ヴィータちゃん♪」
「ふ、ふん。黙ってろよ」

 ホントなのはの言うとおりだ。全然調子出ない。
出かける時から主導権握られっぱなしで、なのはに言い負けてばかり。
知られたくないことばっかりバレちゃってさ。
お陰でどんどん調子に乗りやがる。
今だってこうやって、さも自然に抱き寄せやがって……

「あ、あー、んだよ。いつまでくっ付いてんだよ」
「くっ付いてるのはヴィータちゃんでしょ? 何時もみたいに離れないんだもん」
「う、あ、そ、それは別に」
「……うふふ。やっぱり寒かったんでしょ?」
「……ま、まあな」

 あんまり自然なもんだから、すっかり離れるの忘れてた。
調子乗るのかと思ったら、ちょっと考えてアタシにくっ付いてられる口実を言ってくれる。
余裕あるのか気遣ってくれたのか。
アタシなら別にくっ付かれても嬉しくないからさ。そんな気遣いしたりしないけど。ホントだぞ。
寒かったのは事実だし、なのははくっ付いてくれてた方が嬉しいんだろうし。
偶々両者の利害が一致しただけなんだ。他に理由なんてないんだからな。

「まだ寒い?」
「当ったり前だろ。どんどん陽が暮れてくんだからさ」
「そうだね。いくら季節が良いって言ってもやっぱり夕方は寒いよね」
「そゆことだ」
「そうだね。私は暑いぐらいだけど」
「じゃあ離れようか?」
「ううん。もっと暑くても良いぐらいなんだから」
「……あ、あっそ///」

 その後も、ずっとくっ付いたままタクシーを待って、乗った後もずっと。
タクシーの中は少しだけ空調が効いてて、別に寒くも何ともなかったんだけどさ。
なのはの奴が「ちょっと暑くなってきたかなー?」とか三回ぐらい言った気がしないでもないけどさ。
そんでも寒かってくっ付いたのは事実だし、何だか離れるタイミング逃したっていうか。
なのはにくっ付いてる場所が、この上なくアタシに現実を認識させてくれる。
夕暮れに染まる街を眺めて、すっかり寂しくなってたのなんかバカみたいだなって。
なのはにそれを気づかれてくっ付かれたのが悔しくもないけど、偶にはこう言うのも良いかって。
だから、ずっと家に帰って着替えるまでくっ付いてた。
 
 
 

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2007年11月14日 (水)

新婚なの! 5-11

 
 
 
「は、はぇ~……」
「大変お似合いですよ。私どももお客様のイメージ通りに出来たのではないかと自負するところです」

 店員の言う通りに着付けてもらって出来上がったウェディングドレス姿。
今日は割りに派手なワンピース着てたから、装飾やら頭の飾り以外ではイメージそんなに変わらないけど。
それでも、正面の鏡に映る自分は今まで見たこともない自分で、ただただ声にならない声が漏れるばかりだった。
 

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2007年11月12日 (月)

新婚なの! 5-10

 
 
 
「ありがとうございましたー」「ました」
「さて。行こうか、ヴィータちゃん」
「お、おう」

 タクシーから降りたアタシ達の前のある建物。
そこの入り口上に掲げられた看板を見て、なのはがしたいことは大体分かった。
アタシはなのはが楽しみにしてる事を無下にしたりするつもりはないし、それは分かってるだろうと思うけど。
こういうやり取りも、二人で生活していく上で大切なことだって思ってるから気にしない。
だからか、アタシが逃げないように腕を掴んで後ろからグイグイと背中を押す腕にも、それほど力は入ってない。
それに対して、一応嫌だの止めろだの言いながら、店の中に入っていった。

「予約の時間に間に合ってよかった」
「タクシーが随分急いでくれたからな。それに信号でも捕まらなかったし」
「うーん。流石にそこまで影響力ないかな~」
「……お前さ。すげー怖いこと言ってるぞ。頼むから余所で言わないでくれ」
「分かってる。まだはやてちゃんに教わってないし」
「は、はやてがドンドン悪い人間になっていく気がする……」
「うそうそ冗談。はやてちゃんも交通局までには影響力ないから」
「勘弁してくれ。あんま冗談に聞こえないからさ」
「……そだね。私もそう思う」

 入り口で待ち構えていた店員の案内に従って奥へ入っていく。
視界の端で、なのはの手が行き場のなさそうにわきわきしてたから、仕方なく握ってやった。
いつもより汗ばむ手の平。やっぱり緊張してたのか。
意外に……と言っちゃ悪いけどさ。さっきの指輪といい、表に出さないだけで心配性だ。
いつも人の世話ばっか焼いてる気がする。
それで全然自分は大丈夫だって顔するくせに、本当のところは寂しがりだったりするし。
まあ、これはなのはに限った話じゃなくて、はやてもフェイトも同じだと思う。
もう、大概大人だし、アタシや周りの人間が心配する歳でもないってのは分かってるけどさ。
それでも心配なことには変わりないし、変に溜め込む性格なんかも含めて。
下手すりゃ3人ともギリギリ倒れるまで頑張ったりする。
流石にそうなった方が迷惑が大きいって分かってきてるんだろうけど、そうじゃない時は本当に大変だった。
だから、そういう三人にはアタシが気をつけてやらなきゃ駄目なんだ―――というのは偉そうかなと思わないこともないけど。

「でもね。そうやって思ってくれてるヴィータちゃんのことが私たち、一番心配だよ?」
「……うっせ」
「ねぇ、ヴィータちゃん。私たちね、ヴィータちゃんが……」
「良いよ。そんなこと言わなくてさ。分かってる」
「自信満々だね」
「お前ほどじゃねーですよーだ」

 嫌味が通じる相手だとは思ってないけど。一応。
真横に並んで歩いてるから顔は見えないけど、だらしない顔で笑ってるだろう事は容易に想像できる。
普段ならこの辺りでお尻の一つでも抓ってやるんだけど、ここじゃ無理だ。
ため息一つ。店員の後ろをついて、結構奥まで進むんだなって思った矢先。店員がこちらです、立ち止まる。
その先にある部屋は、見渡す限り衣装が並んでて、見てるだけで嫌気が差すほどだった。

「ヴィータちゃん。衣装も予約してあるから。後は着替えて撮影するだけだよ」
「撮影? 何をするのさ」
「それはね~…………花嫁衣裳だよ。ウェディングドレス!」
「ウェディングドレスぅ!? なんでそんなの今アタシが着るんだよ」
「だって。お嫁さんだし。お嫁さんはドレス着るんだよ」
「違うって。そういうのは式挙げるときに着るもんじゃないのかってこと」
「じゃあ式挙げる? みんな呼んで。局の同僚の人とか」
「あ、あぅ」
「ヴィータちゃんはそういうの嫌かなって思ったから、こうしたんだけど。そっか。そんなに式を……」
「あ、ああー! いやいや、そんならそんで良いんだ! 全く。そうだ、うん」
「あれ、いいの? 私はヴィータちゃんの好きなようで良いんだけど」
「いや、ここで着るので良い。式なんて勘弁してくれ!」
「そう? ならここで新婚写真撮っておこうねー」
「あ、ああ……ぐぅ。まんまとはめられた気がするぞ」
「そんなことないよー♪」
「ギギギ……!」

 余裕綽々のなのはに、歯をぎりぎりと言わせるアタシ。
その様子に店員は心配そうな顔するものだから、なのはが何やらフォローしてたみたいだ。
納得した店員に手を引かれ、そこでなのはと別れた。
そのまま衣装室の奥へ進んでいくと何人か店員が準備万端とアタシを待っていた。
一言二言挨拶すると、奥のケースを開く。
中からは、なのはが言ったとおり。ウェディングドレスがお目見えした。

「あの。これってサイズとか合わせなくて良いんですか?」
「いいえ。すでにお客様からデータは承っておりますが」
「は、はぁ?」

 店員の一番偉そうで年上そうな女の人が、一瞬不思議そうな顔をしたのを見逃さなかった。
どういうことだ? アタシの身体のサイズが店にちゃんと渡ってるって。
まさか指輪の時みたいに、抱きついたときに覚えてたのを……って訳でもないだろ。
それは流石に無理ってもんだ。
そんだけ覚えるのが無理臭いし、それにその……そこまでべたべた触られた覚えないし。
しょっちゅうアイツが抱きついてきたりしてたのはあるけどよ。流石にそれはないと……思う。
ふぅむ。一体どうやったんだろうな。
 
 
 

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2007年11月10日 (土)

本部外広報 3

 
 
 
ヴィータ合同誌

 ついに明日。
11月11日のリリカルマジカル3にて販売される「ヴィータ120%フルドライブ」の宣伝です。
紹介ページが更新されましたので、この機会にもう一度。
サンプルページが出来ていますので、宜しければご覧ください。

 私が書かせていただいたSSの扉絵、挿絵は主催の月咬洞さんが描いてくださいました。

 
 

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2007年11月 9日 (金)

新婚なの! 5-9

 
 
 
 あまりにアタシ達が暴れてるもんだから、心配になった店員が様子を見に来た。
その瞬間に、なのはのヤツがアタシを抱きしめてたもんだから、ただイチャイチャしてただけって映ったらしい。
よく訓練された店員でも流石に堪え切れなかったのか、口の端をにんまり緩めて引っ込んでいく。
アタシとしては誤解を解きたいところだったけど、なのはが離さない。
結局そのまま店員の誤解を解くことなく、アタシ達は店を出る羽目になっちまった。
 
 
 
 
 
「ねぇ。まだ怒ってるの?」
「あったりめーだ。人前であんな事しやがって。アタシがあの店でどう思われるかと思うと……」
「どうって。それは私のお嫁さん♪ に決まってるよー」
「(ムギュ)」
「い、いったーい! どうして抓るのー?」
「なーにが"お嫁さん♪"だ。そういうんじゃねーだろ」
「じゃあ、何だって言うの~」
「何って。そりゃあんな店の中でもくっ付いてるようなアホな、その……」
「その、なに?」
「ア、アホな……新婚だってよ///」
「大丈夫だって~! どこも新婚さんならこんなものだよ~(ムギュ~)」

 歩道でタクシーを待っていると、またなのはが抱きついてくる。
これじゃさっきの二の舞三の舞いだ。いい加減一度ビシッと言っておかないとな。
何事も初めが肝心だ。
ここでしくじると後で面倒なことになる。
……まあ、今更って気がしないでもないけどな。
三つ子の魂百までって言うし。家に転がり込んできてからずっとこんな調子だしさ。

「だ、だから! こういう事を外でやるなっていうんだ」
「どうして。みんなしてるよ?」
「お前の皆ってのは当てに出来ないね。大体アタシはそんな新婚見たことねーぞ」
「そ、それはヴィータちゃんのアンテナが低いだけだよ」
「お前はこの立派なアンテナが目に入らねーのか!?」
「そ、そういう意味じゃなくて……」

 抱きつかれたまま、なのはを見上げて説教するのは何だか説得力に欠ける行為だけど仕方ない。
諦めたと思われるのも嫌だから、一応はグイグイと手で押しながら文句を言う。
そうしたら、なのはのヤツは言うに事欠いてアンテナが低いと言いやがる。
この頭の天辺ちょい手前で、ぴこぴこ揺れるのが目に入らないって?
これははやても可愛いなって言ってくれたんだぞ。
それを低いだの何だの言いやがって。何てヤツなんだ。

「じゃあどういう意味なんだよ」
「ええっと。情報のアンテナって意味でね。決して頭に生えてるアンテナって意味じゃないんだけど……」
「……マ、マジかそれは」
「うん。大マジですますだよ」

 なんてこった。
怒ったのはアタシの勘違いだって言うのかよ。
てっきりアンテナ言うと、頭のアンテナのことだと思ってた。情報のアンテナって言い方もあるんだな。
そういや、テレビの映りが悪いときもアンテナがどうこう言ってたっけ。シャマルが。
あの日は台風のせいで風の強い夜でさ。夜中に屋根に登って大騒ぎだったんだ。
アタシを叩き起こして、テレビの前で映ったの映らないだの実況させやがってさ。
はやては「明日すずかちゃん家で見せてもらうわぁ……」とか言って寝ちまうし。
本当ならシャマルと一緒にテレビを見るつもりだったのかな。
その前にシャマルのヤツ。アタシのところに来たときには頭にでっかいタンコブ作ってたな。
どうせシグナムに頼んで殴られたんだぜ。
こればっかりは同情できねぇや。結局寝不足で酷い目にあったし。

「ど、どうしたのヴィータちゃん」
「なんでもねぇ。アンテナって言葉でちょっと嫌なこと思い出しただけだ」
「そ、そう」
「……はぁ。まあ良いや。そんで、なのは」
「うん? どうしたの、ヴィータちゃん」
「こっからどこに行くんだ?」
「それはね~。えっへへへ、秘密だよー」
「何でだよ。もったいぶらずに教えろって」
「だって。教えたら逃げ出すかもしれないし」
「逃げ出すって。お前な、アタシを逃げ出したくなるようなところへ連れてく気なのか?」
「だから、かもしれないって言ったの。そうじゃないかも知れないけど」
「物は試しだから言ってみろよ」
「えー。あっ、タクシー来たよヴィータちゃん。早く乗ろう?」
「お、お前! 話を逸らすんじゃない! まだ終わってないぞ!」
「だ~め。お店には予約してあるんだから早く行かないと。随分時間をロスしちゃったから」
「そりゃお前のせいだろうが! アタシは知ったこっちゃねーって!」
「我侭言わないのー」
「そりゃこっちの台詞だ!」

 まだ話はついてないって言うのに、なのはに抱きかかえられてタクシーに連れ込まれた。
こうなるとタクシーの中で口論するわけにもいかなくて、仕方なくタクシーの中では黙ってることにした。
 
 
 
 
 
「……おい。いつまで抱きついてんだよ」
「あれ? ヴィータちゃんが抱きついてるんじゃないの?」
「バッカ言え。お前に抱きかかえられてタクシーに乗ったんだろうがよ」
「そうだったっけ。あはは、ごめん」

 今度はこいつの思い通りになるものかと、意を決して胸を押して引き剥がした。
しかしこの狭い車内だ。逃げるだの離れるだのは余り意味を成さない気がする。
それでもアタシの意思を示しておく事は大切だ。なのはを甘やかしちゃいけない。

「そんでさ、どこ行くんだよ」
「だから。内緒だよ」
「へっ。そうは言ったってよ。タクシーのおっちゃんに行き先言わなきゃいけないんだぞ?」
「ふっふっふ。それは甘いよヴィータちゃん。タクシーのおじさん!(ババッ! クィクィ、ミヨミヨ~」

 なのはは運転手のおじさんに向かって、何やらブロックサインを送る。
なんだ。そんなテキトウな事したって通用しないぞ。アタシをおちょくるのもいい加減にしろ。

「大丈夫だって。通じたみたいだよ」
「マ、マジでか」
「うん。ホント言うと半信半疑だったんだけど、はやてちゃんの言う通りで良かったみたい」
「は、はやてぇ~。なにしてんだよぉ~」
「えっへへー。はやてちゃんったら何でも教えてくれるんだよー」
「あ、あぁ……あんまなのはに変なこと教えないでくれよ……」

 はやて。なんでタクシー業界のブロックサインなんて知ってんだよ。
ニコニコ満足顔のなのはとすっかり頭を抱えたアタシを、乗せてタクシーは静かに目的地へ向かった。
 
 
 
 新婚なの! 5-10 へ。

 

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2007年11月 8日 (木)

新婚なの! 5-8

 
 
 
「ねぇ、ヴィータちゃん。お願いついでなんだけど」
「なんだ、言って見ろよ。言うだけならタダだぞ」
「うん。えっとね、私にも指輪。つけて欲しいなって」
「なんだ、そんなことか」
「う、うん。そんなことなの。お願いできる……?」
「ア、アタシにもしてくれたからな。ちゃんとよ、お返ししてやんねーと」
「じゃあ、今すぐね!」

 ゆっくり身体を離したかと思うと、いきなりそんな事を言う。
別に断る理由なんか無いし、なのはのヤツも妙なところで控えめだな。
……分からなくもないけどさ。
アタシがウンというと、直ぐにもう一つのケースを差し出してくる。
中には、自分の薬指に納まっているのと同じ、少しだけ大きさの違う指輪が入ってる。
指輪を取り出し、なのはがケースをテーブルの上に戻す。

「ほれ、左手出せ」
「う、うん。これで良いかな」
「よ、よし。はめるぞ」
「お願い、します」

 ヤバイ。やっぱり手が震える。
コレは分かるぞ。なのはの手も震えてるかもしんねーけど、確実にアタシの手が震えてる。
うぐぐ、こりゃ上手くはめてやれないかもしんないぞ。
いいや、そんなこと言ってる場合じゃないや。
ここは深呼吸一つ、落ち着いてするしかない。

「ヴィータちゃん、そんな緊張しなくたって」
「ば、ばっか言え。お前だって今のアタシ以上に緊張してたじゃねーか」
「えへへ、そうだったっけ」
「けっ、よく言うぜ。倒れちまいそうな顔してたくせによ」

 また、えへへーと笑うなのは。
さっきもそうだけどさ。こういう笑顔に敵わないの。
なんだかさ、ある程度のことならこれで許してやるかって思っちまう。
あんまワガママ言うようなら駄目だけどさ。それほどでもないし、これからも許したりすることになりそうだ。

「よ、よし。指、通ってく……って、あれ。どうなってんだ、これ?」
「どうしたの?」
「どうしてもこうしたも。第二間接から先に入っていかねーって」
「そ、そんなことないったら。私はちゃんとお店の人に測ってもらったんだもん。ほら、力が足りないんじゃないの?」
「お前さ。そんな力いれて捻じ込むもんじゃないだろ。ほれ、どうだ。ぐ、ぐぬ!」
「いた、いたたた! ど、どうしよう。本当に入らないよ」
「つーかさ。これ、第一間接通ったときからキツかったぞ?」
「えー。どうしてだろ……うーん、うーん。…………あっ、分かった」
「な、なにが原因だ」
「えっとね。多分ヴィータちゃんを力いっぱい抱きしめてたせいだと思う」
「なんでそうなるんだ?」
「力入れてるとそこが太くなったりしない? 一時的なことだけど」
「朝と夕方で背の高さとか足の大きさが違うようなもんか?」
「うん。多分そんな感じだと思う」
「そか。うんなら今は諦めるか? はまらないんじゃ仕方ないしよ」
「えー、やだ!」
「やだ!じゃない。……あー、そんな顔すんな。分かったよ。しょうがねーな」
「どうするの?」
「こうやって指をマッサージしてだな。こうだろ、こうして……最後に唾でも付けときゃ入る」
「あっ……!」
「こ、これでどうだ。ぐぬ、ぬぬ!う~ん……よし、入ったぞ。どうだ、なの……ってどうした」
「あ、えっと。その、それ」
「それってどれだ」
「いま、ヴィータちゃんが……キスした」
「は、はぁ!? そんなのしてねーだろ。唾つけただけじゃん!」
「だって口で直接に指を舐めたよ!」
「な、なな舐めたのとキスは別だ、別! その辺のとこ間違えるんじゃない!」
「でも、そんなこと言ったって舐める前に唇が、チュッて当たったよ」
「わざわざ効果音つけるな! そんな風に触ってないだろ!」
「そんなこと言ったって事実は変わらないもん。えへへー、ヴィータちゃんのキス~」

 こうなるとアタシの話には全く耳を貸さなくなる。
ニコニコじゃなく、だらしなく顔を緩ませて指輪をあちこちから見ている。
さっきのアタシと同じ風に。
何だか自分の行動を客観的に見せられてるみたいで、目を逸らそうとした瞬間。
とんでもないことしやがった。

「(むちゅ~)……んっ。ヴィータちゃんからこういう事してくれたことなかったもんね」
「だ、だから///! そういうんじゃないって言ってるだろ///!」
「照れない照れない。普段だって間接キスの一つや二つや三つぐらい普通じゃない」
「そうやって意識するのが変だろ!」
「どうして?」
「どうしてって、そりゃ。その……一緒に暮らしてて一々間接キスがどうとか言うかよ!」
「そう? 私はするな~。いつもしてたよ? 今、間接キスだなって」
「~~~///」
「でも、これからはあんまりしないようになるかもね」
「ど、どうしてさ」
「だって。結婚したんだもん」
「あ、あっそ///」
「もう~、照れない照れない。それともこれからも意識してほしかった?」
「そ、そういう自信満々なところがムカつくって言うんだよー! ぎゃー!」
「いた、痛い! そんな叩かないでったら~」
「あほ、ばか! なのはのバカたれ!」
「えへへ~、痛いな~。ヴィータちゃんったら~」
 
 
 

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2007年11月 7日 (水)

日記 SSとかweb拍手とか

 
 
 昨日までの「甘く慰めて それから」はweb拍手お礼画面に載せていたモノに加筆したものです。
以前に「色々思うところがあって」と書きましたが、一番のきっかけはこちらの少女ブランさんのところへのコメントでした。
書いたときはそれほどでもなかったのですが、レスにて「素晴らしい言い方だと思います」というのを拝見して、何だか胸がモヤモヤとしたからです。
「そんなSSが書けたら良いなぁ」と。
当初の思惑とは外れてしまった感がありますが、次に繋げれば良いなと思っています。

 
 
 遅ればせながら10月下旬分の拍手レスを書かせていただきました。
 

続きを読む "日記 SSとかweb拍手とか"

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2007年11月 5日 (月)

甘く慰めて それから 後

 
「お疲れ様、なのは」

 午後の訓練を終え、汗も流してさっぱり。
なのははキャロとエリオの訓練を担当した上に、今日の訓練の書類作りなんかで遅れて帰ってきた。
自動扉が音も少なく開いて顔を出したなのはを、にっこり微笑んで出迎えた。
疲れた様子も見せず、なのはもニッコリと微笑み返してくれる。
上着を脱ぎながらこっちに歩いてくるなのはから、上着を預かってソファーへ座るよう勧める。

「フェイトちゃんこそ。高速機動の訓練、大変だったでしょ?」
「前ほどじゃないよ。あの子たちもずっと強くなってるんだから。それほど調節しなくて良いんだもん」
「それもそうだね」
「うん。それに、あれだけの事件を戦い抜いたんだから」
「JS事件……六課にあの子たち来てから随分経っちゃったんだね」

 なのはが腰掛けて休む間に上着をハンガーに掛け、なのはの元へ戻る。
今日の私はティアナとスバルを相手に高速機動の訓練をした。
以前は少しスピードを上げるだけでついて来れなくなっていた二人も、今は見違えるほど強くなった。
装甲の薄い私だとその内落とされちゃうかも、それも全くありえない話ではなくなっている。
感慨深げななのはの言葉に、それだけの時間が経ったのだと改めて実感を深めた。
六課の試験運用期間は一年。
それだけの時間が経ったということは……

「でも、時間がそれだけ経ったってことは……六課解散の時も近づいてるってこと、だよね」
「うん。もう、こうしてフェイトちゃんと一緒に居られるのも少しだけ」
「……なのは」
「フェイトちゃん……やっとフェイトちゃんと気持を通じ合わせられたのに、離れ離れになるのは寂しいよ」
「私だって。でも」

 隣に座るなのはが、その蒼色の瞳に悲しげな色を宿す。
ソファーについた手にそっと自分の手を重ねてくれる。
この温かさとは裏腹に、なのはの心は温かさを奪われていってしまっているのだろうか。
離れ離れになるのは寂しいよ、その言葉を更に強調するように重ねた手に力が篭る。
私も身体をなのはに向けて左手を上から重ねる。肯定の意味を込めて。
だけど、それは仕方がない、予め分かってたこと。
本心じゃなくても「でも」という否定の言葉が出てしまう。

「そんな。そんな物分りの良いフェイトちゃん、ヤダな」
「……残りの時間。ずっと一緒にいよう? ここ数日頑張ったから余裕あるんだ。朝からずっと一緒にいられるよ?」
「本当?」
「うん。それに離れ離れになったって、なのはの気持ち。私のここに繋がってるから」
「フェイトちゃん……うん。私も。フェイトちゃんと気持ち、繋がってる」

 拗ねたようななのは。
勿論無理だっていうことは分かってる。それでもなのはは我慢できない。気持ちをしまい込んでしまわない。
そんななのはに私も応える。
計算していたわけではなくて偶然なのだけど、なのはから逃げていた数日。仕事漬けだった。
そのお陰で随分と余裕が出来た。当分は六課から動かなくても良い。
朝も昼も、なのはと一緒にあの子達に訓練をつけてあげられる。
朝ごはんもお昼も晩ご飯も一緒に出来る。
"一緒にいられる"って言葉、それだけじゃない。
なのはと通じ合わせた心。離れていたって大丈夫。
前みたいになのはが見えなくて、なのはから私が見えなくて不安になることもない。
この胸に宿った温かさ。そこになのはを感じる。
なのはも、私と同じ場所に私を感じてくれる。

「なのは……」
「フェイトちゃん……大好きだよ、フェイトちゃん」

 不意に抱き寄せられる。
でも驚きはしない。何となくだけど、なのはがそうするって分かったから。
もしなのはがしなかったら、私がしてたから。同じことを考えてたんだ、二人で。
お昼と違って、なのはが力いっぱい抱きしめてくれる。
そのまま押される格好で、ソファーに倒れこむ。
身体を抱きしめる腕の力に、圧し掛かる体重になのはの存在を強く感じる。
同じように私を感じてほしくて、なのはの背中に腕を回す。
ゆっくりと瞳を閉じれば、なのはの体温と髪から漂う香りが私を包み込んでくれた。

 

 

「フェイトちゃ~ん♪(ベタベタ」
「えへへ、なのは♪(イチャイチャ」
「…………あー」

 一夜明けて翌日。
朝食を食べ終え、部屋に戻るところ。
昨日の午後の訓練は随分頑張らせちゃったから、今日は少し遅めの開始。
なのはにベッタリ抱きつかれながら歩いていると、後ろから聞きなれた声がします。
振り返ってみると、そこには昨日よりは顔色がちょっと良くなった気がするはやてがいました。

「あ、はやてちゃん。おはよう~」
「おはよう、はやて」
「……おはようさん。昨日の午後は普通やったみたいやね」
「うん。はやてちゃんに言われた通り、ちゃんと。ね、フェイトちゃん」
「そうだね。なのは」

 はやてに心配掛けないよう、ちゃんとしてたのを見ててくれたみたい。
肩が触れ合う距離に、視界いっぱいに映ったなのはが私に同意を求める。
勿論、そうだねって答える私。
この年になって人の言いつけを守ったぐらいで何を得意げに、なんて思わないこともないけど。
それでもニコニコとするなのはを見れば、疑問なんてどこか遠くへ飛んでいってしまう。
そんな私たちにはやては、相変わらず表情が優れない。
どうしたのかな。まだ何か問題でも……

「はぁ……ホント仲エエね、二人とも」
「そう見えちゃうかな? えへへ、何だか照れちゃうね///」
「う、うん。そんなつもり全然ないんだけど」
「("全然"、ねぇ。自覚ないって怖いわ、あ~あ)」
「どうしたの、はやてちゃん」
「えっと、まだ直さなきゃいけないところがあるなら教えて。あの子達にも悪いから」
「はぁ……せやね。あんまイチャイチャせんよーに。風紀が乱れたらアカンしね」
「は~い、はやてちゃん」
「ま、それも六課におる間だけや。今すぐはないと思うけど、二人が結婚式挙げるときは私等もちゃんと呼んでな(嫌味」
「け、結婚式ぃ!?」

 きっとまだ直さなきゃいけないところがあるんだろうって思ったのに。
今一表情の優れないはやての口からは、予想だにしなかった言葉が飛び出てきたのでした。
な、なんでまた、けけ、結婚式だなんて。
どうしてかな。急にそんな、私、結婚だなんて考えたこともなかったよ。
身体中を駆け巡る血液は、まるで沸騰したみたいに熱くなって物凄い速さで駆け巡っていく。
ガクガクと震える膝で何とか姿勢を保ち、同じように震える身体でなのはを見る。
すると、なのはは相変わらずニッコリ涼しい顔で、はやてに続いて予想だにしない言葉を口にします。

「そうだね。六課が解散しちゃったらフェイトちゃんと結婚しちゃうのも良いかなぁ。ね? フェイトちゃん♪」
「あ、あわわわわわ! わ、私が、な、なのはと、け、けけけ結婚……!」
「……(全然嫌味通じてへんし)」
「フェイトちゃんはお嫁さんだから……フェイト・高町・ハラオウン? それともフェイト・テスタロッサ・高町?」
「お、およおよお嫁さんだなんててて……! ―――きゅ~(バタンッ!」
「フェ、フェイトちゃんっ!?」

 結婚って言葉だけで倒れてしまいそうな私に、追い討ちをかけるように"お嫁さん"だなんて。
脳裏にフラッシュバックするように現れる、ウェディングドレスを着た私とタキシードで決めたなのは。
ああ、そんな。格好良すぎるよなのは。素敵だよなのは……
手を引かれて抱き上げられる私。若しかしてこれは、所謂お姫様抱っこ!?
女の子のロマン、お姫様抱っこ。でも、よく思い出してみると一度してもらったことあるんだ。
ああ、そっか。あの時から私はなのはの事が好きだったんだ…………
薄れゆく意識の中で、なのはが必死に呼びかけてくれてるような気がする。
なのは。もう私は駄目みたい―――ガクッ

「あ~。頭から煙吹いてるわ。こりゃ結婚するにしても当分先になりそうやね」
 
 
 
―――おしまい。
 
 
 
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2007年11月 3日 (土)

甘く慰めて それから 前