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新婚なの! 5-4 (2)

 
「こ、これが……結婚指輪、になるのか?」
「うん、そうだよ」
「へ、へ~」
「どうかな。良い感じかな」
「あ、あのさ。この、指輪のことだけどさ」
「な、なにか変なところあった? サイズが合わないとか、なんかある!?」
「い、いや。その逆。あんまりサイズがぴったりなもんで、その」
「あぁ~、良かったぁ」
「アタシの指のサイズ、いつ測ったのかなって思ってさ」
「それならね。測ったわけじゃないよ」
「じゃあさ、どうやって指輪のサイズ決めたのさ。それも、こんな正確に」
「それはヴィータちゃん。毎日触ってるヴィータちゃんの指なんだもん。ばっちり覚えてるよ」
「な、なぁっ///!?」
「特に指輪を買うこと決めた日から薬指、よく触ってたの気付かなかった?」
「全然。別に普通に手を握ったりしてるだけに思ってた」
「えへへ。それじゃ成功だね。もし気付かれちゃってたら失敗だったから」

 これは本当に気付かなかった。
なのはが手を握ってきても「ああ、またか」程度にしか思ってなかったから。
そっか。ただ手を繋いでるだけじゃなくて、色々意味とかあるんだな。
あの……婚姻届した日のこととかさ。
なのははずっとそうしてたって言うのに、アタシは全然……。ちぇ、情けないの。

「でもね。バッチリだって、自信あるって思ってても、やっぱりいざとなる緊張しちゃった」
「それでか。震えてたのは異常に緊張してたからか」
「うん。若しかしてはまらなかったらどうしようって。ブカブカだったらどうしようって」
「ふ、ふーん」
「第二間接を通ったとき。やった!って思った。上手くいったんだって」
「そか……うん。ありがとな、なのは///」
「ヴィータちゃん……うん。気に入ってもらえたようで嬉しい」
「ま、まあな。そんなに苦労したって聞かされてよ、も、文句言うほど意地悪じゃねーし」
「えー。デザインとか気に入らないのー?」
「…………」
「どうなの? これは私の趣味だから、ヴィータちゃんがイヤだって言うなら、その」
「べ、べべ別に嫌だなんて言ってねーぞ! 飾りっ気はないけどさ。その、えっと……き、綺麗で良いじゃんか///」

 なのはの顔がまともに見ることが出来ない。
礼を言うときから顔を俯きにして、視線が合わないように、なのはに顔を見られないようにしてた。
もっと素直に「ありがとう」とか「嬉しい」とか言えば良いのに。
今までそんな事したことないし、何だか恥かしくって。
でも、それでも何かなのはに言ってやりたくて。何とか「ありがと」ってだけ搾り出したかったのに。
出てきたのは変な言い訳で、全く台無しだったけど。

「嬉しい。ヴィータちゃんに綺麗だって言ってもらえて」
「へ、へん。これを作った人に対する賞賛だな。お、お前がさ、その、作ったわけじゃないし」
「そ、そだね」
「だ、だからってなのはが別に何もしてないとか、その、悪く言うんじゃなくて、えっと」
「どうしたの、ヴィータちゃん?」
「とにかく気に入った、そ、それだけ!」
「ヴィータちゃん!」
「むぎゅぅ!?」

 俯いてたから、なのはが腕を伸ばしたの全然分からなかった。
膝が動いて、どうするのか?なんて思ったときには背中まで手が伸びていて、理解できたときには抱きしめられてた。
今日はさ、スーツっぽい格好でいつもより少し胸元が開いてるんだよな。
だからなのか、いつもよりなのはの匂いが強くって、朝みたいにドキドキくらくらして堪らない。
この状況は不味い。
今日はなのはの言う通り、アタシ分を補給させすぎだ。
それに、朝もタクシーでもそうだけどよ。抱きついてると、ずっとそのままになっちまうんだ。
ここは何とか、なのはを甘やかさないように離れなきゃいけない。

「むぅ……離せ、なのは」
「やーだっ」
「やーだ、じゃない。ここがどこだか考えろよ」
「だったら。離れても良いから、一個聞いても良い?」
「何をだよ。内容次第で答えてやらないでもないぞ」
「あのね。その指輪、サイズぴったりでちょっとやそっとじゃ抜けないと思うの」
「はまったんだから抜けると思うけどな」
「だから、っていうのも変なんだけど。えっとね。ずっと私と一緒にいてくれる?」
「……なんか途中がずいぶん抜け落ちてないか?」

 別にその抜けた途中が聞きたいわけじゃない。
聞いたところでなのはの結論が変わるわけでも、アタシの結論が変わるわけでもないから。
アタシの気持は、きっとどうこう言われたぐらいで変えるつもりはないから。
それなのに、何故か知らないけどそんな事が口を吐いて出た。
何でだろうな。
今日は、というか、なのはと一緒にいるとそんなのばっかりだ。
自分のことなのに全然分かんねーや。けど、若しかしたら何も考えずに出た行動が本音だったりするのかな。
……もちろん、そうじゃないときだってあるだろうけど。

「え、え~っと……。私との結婚指輪、付けてくれてる間は私のお嫁さんなんだから」
「おい、ちょっと待て。アタシはお前の嫁なのかよ」
「じゃあ、ヴィータちゃんが私の旦那様? そうするとヴィータちゃんは私をお嫁さんだって思ってる?」
「う、う~ん。それは何か違和感あるな……」
「今の時点じゃどっちでも良いけど。でね、その結婚したっていう証の指輪が外れない限り。
 滅多なことで外れないと思う指輪がね、ヴィータちゃんの薬指に納まってる限り。……私と一緒にいて欲しい」

 抱きしめる腕に力が篭る。少し肋骨辺りが痛いぐらいに。
これは、アタシにお願いしながらも絶対に離さないって意味なのか、離れないで欲しいって意味なのか。
そのどちらの意味なのか。今のなのはからは後者だって感じがする。まあ、それは別にどうだって良いや。
そんな事ぐらいでアタシは結論を変えたりしない。
割と見た目どおり、アタシは決意が固いんだ。
これはさっきから同じだ。

「へん。アタシも意外に信用ねーのな」
「ヴィータちゃん?」
「この指輪一つで縛り付けれるほどアタシは安くねーってこと」
「…………何が足りない?」
「そういうんじゃない。確かに指輪があればさ、なのはと結婚したって周囲に分かる。
 この前みたいに不便することだってなくなる。それはアタシも望んだ事だけどさ。
 でもさ。そんなの無くったって、アタシとなのはが結婚したって事は変わらない。
 周りからどう思われようと、それは動かしようの無い事実なんだからさ。
 だから、そんな指輪が外れたとかそんなこと形だけの話で、もっとアタシ自身のこと信用しろ。
 指輪が外れたって、余程なのはがアタシに愛想尽かさせるようなことしない限り離れたりしないってこと」
「ほ、本当……?」
「か、勘違いしてるみたいだけどな。今の話は一番最後の部分が重要なんだぞ」
「分かってる。分かってるよヴィータちゃん」
「分かってねーな。アタシに愛想尽かせるようなことするなって言ってるんだぞ?」
「うん、そうだよね。ちゃんと"ヴィータちゃんの言いたいこと"。分かってるよ」

 相変わらずアタシを抱きしめる腕の力は変わらない。
けど、今度は身体全体がぴったりとくっ付く感じ。
今度は分かる。これは「絶対に離さない」っていう抱きしめ方だ。
胸に当たってる顔に伝わってくる鼓動の早さ、一層匂いたつ頭をクラクラさせる香り。
さっきまでは離れようと思ってたけど、そうしなくて良かった。
こんな恥かしいこと、なのはの顔を見ながら言ったり出来るかよってこと。
この位置からだと、アタシの旋毛とアンテナしか見えないはずだ。
今自分がどんな顔してるかなんて想像もつかないし、したくもない。
どうせ、見たこともないほど見っとも無い顔してるはずだから。

「……ふん。そうやって好きなように解釈してりゃ良いさ」
「うん、そうするね」

 敵わないな。
朝のことも、も、勿論アタシのこと一番分かってるのは勿論はやてだけどよ。
それ以外って言ったら、下手をするとなのはかもしれないって思う。
シグナムとシャマル、ザフィーラとはしっかり覚えてないぐらい長い付き合いなのによ。
それなのに、ここ数年のなのはの方が詳しいだなんてさ。
ホント……敵わねーの。

 
 


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