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新婚なの! 6-2 (3)

 
「それはね。ヴィータにお話できるのが楽しいからだよ。
 私と話してるのが楽しいよりも、それをヴィータに報告するのが楽しいからなんだよ?」
「な、なぁ……っ!」
「分かってくれた? そう言うことをしたい相手。一緒に居たいって思ったのはヴィータなんだよ」
「あ、いや、それは……」
「ねぇ。ヴィータはどうしてなのはと結婚したの?」
「い、いいっ!? そ、そりゃお前、なんつーか」
「なのはが迫ったから仕方なく? 違うよね、なのはが好きだからしたんだよね?」
「…………う、うぅ」
「もしそうじゃないんなら。私、なのはのこと盗っちゃうよ?」
「!!! …………そ、そうしたきゃそうしたら良いだろ。なのはがそれで良いならアタシは別に――」
「駄目だよ!」
「フェ、フェイト……」
「そんなのじゃ駄目! 絶対になのはを離さないって、そういわなきゃ駄目!」

 びっくりして言葉が出ない。腹の底で渦巻いてたドロドロしたモノまでが吹き飛んでしまった。
誰もいない、夜の道。街灯も少なく夜の闇が包み込む街に、フェイトの凛とした声が響き渡る。
割と長い付き合いになるけど、フェイトがこんな大声を出すなんて滅多にない事だから。
昔からなのはの事になると熱くなり易いヤツだったけど、それを差し引いても驚きだった。
街灯に照らされたフェイト。
真っ暗な舞台にスポットライトを受けて浮かび上がる金髪。
憂いを秘めていた瞳を少し細め、ゆっくりと続けた。

「ヴィータの事を好きだってなのはの気持ち。それに応えてあげたんでしょ?」
「…………」
「同じようになのはの事を好きだから結婚したんでしょ?
 お互いがお互いを想い合ってるからこそ、一緒になることを選んだんでしょ?
 それは私が盗っちゃえるような、簡単に手を離しちゃうぐらいの気持ちなの!?」
「…………違う、さ」
「そうでしょ? ヴィータがなのはを好きだから結婚したんだもん」
「……あ、ああ。そうだったな」
「だからそんなこと言っちゃ駄目。お前なんかにやらないぞって、それぐらい言い切らなきゃ」
「……全くだ」
「私。なのはがヴィータと一緒に居られることで幸せになれるなら、それで良い。
 本当はなのはの幸せと私のそれがイコールなら一番嬉しい。私は……私だってなのはのことが好きだから。
 私がなのはに幸せをあげられるなら、私と居られることが幸せだって言うなら、これ以上に幸せなことなんてない。
 でもね。何よりも一番大切なのは、なのはの幸せなだから。私自身のじゃなくて。
 それをヴィータがしてくれるなら、私はそれで構わない。だから、ヴィータがそのことで気に病むことなんて……ない」
「……そんなの、寂しいじゃん。好きな人が自分を向いてくれないってさ。お前はそんなんで良いのかよ」
「確かにちょっと寂しいかも。でもね、そうなったとしても、私となのはの関係は変わらないよ。
 なのはの親友が、フェイト・テスタロッサであること。そして……ヴィータの親友が私であることも」
「フェイト……」
「だからね。どうしてもこの一言を……私の気持ちを伝えたくてヴィータの帰りを待ってたんだ」
「な、なにさ」

 いつの間にか、いつも通りのフェイトに戻っていた。
柔らかい雰囲気も、優しい笑顔も、"いつも通り"のフェイト。
真っ暗な中に居るアタシとは対照的に、綺麗で、強くて、芯がしっかりしてる、いつものフェイト。
見てられない。でも、その"一言"を待って、なんとか顔を上げ続けた。
そして。一拍、深呼吸があって、その唇から紡がれた言葉。
 
 
 
 
 
「結婚おめでとう、ヴィータ」
 
 
 
 
 
 アタシは、フェイトの顔をそれ以上見ていられなかった。
 
 
  


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