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新婚なの! 7-4 (3)

 四日目の朝。
レーションで食事を済ませ、決まった手順でジャングルの中へ転送してもらい、昨日、最後にいた地点から再開をする。
三人で範囲の絞込みをかければいくらか効率が良くなる。
無線が届き、直ぐに合流できる範囲から徐々に狭め、絞っていく。
どこから届いているのか分からない、鬱蒼とした感を醸し出している光の中、銀棒がボンヤリと光る。
登録された魔力の持ち主、若しくはその通った後(時間が経つと臭いのように薄れていく)に近づけば強くなる、という仕組み。
そうやって三方向から寄っていき、かち合った場所で目を皿のようにして足跡を探す。
闇雲に足跡を探すよりはマシだと思うが……

「ヴィータさん」
「どうした。分からないことは先に聞いとけって言ったはずだぞ」
「こちらへ来てから、随分早起きみたいですけど?」
「……隊長だからな。色々準備とかあるんだよ」
「そうでしょうかしら。そのような事も含めての設定がなされているはずですが」
「う、むぅ」

 散開の合図にメンテだけ動かない。
何か言いたいのかと待っていれば、案の定口を開き、つまらないことを言う。
早起きしてしまっているのは本当だ。昨日と同じで、なのはのことが気になってさ。
ちゃんと起きてるだろうか。朝ごはんは食べてるだろうか。遅刻しないで出勤できてるだろうか……そんな感じに。
こっちとミッドの時間はずれているから、起きた頃にはすっかりその時間は過ぎているのだけど。
しかも、二日連続。寝しなにメンテが余計な話をするのも原因だ、と思う。
なのはに、フェイトのこと。
ちゃんとケジメをつけないまま出てきちまったのも手伝って、余計頭にこびり付いて離れない。

「体調が気になりますわ。タダでさえ最後まで起きていらっしゃるのですもの」
「だ、大丈夫だ。ちゃんと管理できてるよ……」
「ならば宜しいのですけど」
「……もう良いだろ。ほれ、早く行け」
「うふふふ。もう少し長く寝てくださいましね」
「……?」
「こちらの都合ですから」

 訳の分からぬことをいう。
心配しているのかと思いきや、自分の都合だと言い出したり。
任務に集中させたいなら、なのはの事とか余計な口出ししたりすんじゃねーよ、と言いたい。
お陰で意識しないようにしてるのに、左手の薬指がムズムズしてくる。
協力すると言いながら、その実邪魔してるだけねーか。
 
 
 
 
 
「ヴィータさん。ビンゴですわよ」
「マジか。でかしたぞ」
「ちぇっ。またお前かよ……」
「良いじゃねーか別に。手当ての額に影響するとでも思ってるのか?」
「そういう意味じゃなくてさ(ブツブツ」
「ほれ、行くぞ。グタグタしてる暇なんてないんだからな」

 一人離れていたメンテが足跡を見つけたようだ。
これで今日中に二匹目を確保できるよう願うばかりだ。そうなりゃ後一匹だ。
早くなの……いや、こんな暑苦しいところにお去らばできる。
キビキビ動いて合流する。グタグタしていると、徐々にやる気を削がれていく。この暑さにな。
アタシの身長より、頭一つぐらい背の高い木の根や草なんかを避けながら、草の合間からひょっこり頭を出すメンテに合流した。

「どっちの足跡だ?」
「こっちですわよ。ですからちょっと手間ですわね」
「ヴィータ。有効範囲ってどのくらいだ?」
「そうだな……結構広いぞ」
「昨日は結局足跡で見つけたからな」
「無線あるけどあんま離れるなよ。直ぐに集まれる範囲だ」

 メンテの言ったのは銀棒のほう。つまり足(魔力)跡ってわけだ。
昨日は言葉どおり足跡で見つけたから、こっちでの探し方は初めか。
反応する範囲の広い狭いは、対象の魔力の大きさが影響する。
でかけりゃ遠くまで届くし、弱けりゃ近くまで行かないと分からない。
範囲が広いから、まず反応で探って、それから痕跡なんかを探して絞っていく。
だけど、結局はそれを使わずじまいだったんだけどさ。

「う~ん、なんだかアベコベだな」
「どうした、ヴィータ」
「何だか上手くいかないってこと」
「珍しいな。お前が文句言うなんてさ」
「ふん。ほれ、手休めてないで動け」

 ただ、反応があったってことは本体が近い。若しくはさっきまでこの辺りに居たってことだ。
アタシらに反応がなくメンテにあったと言うことは、今はもう移動しちまってるんだろう。反対側にな。
早く絞り込んでいかないといけないな。
二人は中腰になりながら、アタシは周囲を警戒しながら範囲を絞り込むために銀棒を揺らす。
最後には足跡やら実体のある痕跡が決め手になるとはいえ、まだその時じゃない。

「こんだけ草が生い茂ってると、邪魔でしょうがねーや」
「魔法で草刈でもしたらどうですの?」
「俺はそんな器用な真似は出来ないの。大体射撃魔法でどうしろって言うんだ」
「……航空隊の名が聞いて呆れますわね」
「うっせ。空を飛ぶのが仕事なんだ。草刈なんて習わなかったろ」
「邪魔だとは思うけど、不要に刈ったりするなよ」
「いいよな。ヴィータは地面が近くてよ」
「お前は遠くが見渡せて良いじゃねーか。何か? ギガントに括り付けられて鳥の餌にでもなってみるか」
「鳥葬は勘弁してください。ヴィータ隊長」

 コイツが面倒に思うのも分かる。
背が高いからな。いくらアタシが警戒してると言っても気になるだろうし。
それで首を上げたり下げたり、草が邪魔で億劫にもなるだろう。
そういやメンテはどうやってるんだろうな。
こっからじゃ見えないけど、屈んだまんまでやってそうだ。
……っと。アタシが警戒怠っちゃヤバいな。
アイゼンにも周囲の探索任せよう。いざって時に間に合わないってのは勘弁だ。
―――そう。この辺りはまだ大きなヤツを含め、しっかり分かってないことが多い。

「分かってない、ってのは気持ち悪い、な」

 左手に銀棒、右手にアイゼン。
両手で握るような事態に遭遇しなければ――それ自体が危機が迫ってない証拠だけど――おっさんに指摘された弱みを見せずに済む。
一旦意識し始めると、どうしようもなく存在感をアピールする。
それらを振り払うように周囲に意識を飛ばし、自分の仕事に専念した。


 


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