« 2008年1月 | トップページ | 2008年3月 »

2008年2月28日 (木)

雑感

 
 二十日付けの日記。観月のお迎えですが、最後に歌った歌を「角で視ていた相手に当てつけた」内容と聞いて驚きました。
トゥルー家族のみならず魔物をも惹き付けるなんてね。
こちらに気を寄せる相手に手を繋いで帰るところを見せ付けて「興奮じゃ――(はぁと」と言い切るところに素晴らしい素質を感じずに入られません。
今まで日記が少なく実像を掴みにくかった観月ですが、この日記で私たちが惹き付けられてしまいましたよ。
ああ、そこで三女の顔を思い浮かべない。
スグニソウヤッテイウンダカラー。アハハー。
―――
早く手をつながぬか!

わらわは幼児ゆえ。
道を歩くときは大きい者と手をつなぐのじゃ。
当たり前であろ?

―――
 迎えに来るのは一人出来たくせに、帰りは手を繋がせるなんて。
照れ隠しされたり甘えられたり、とは少し違いますけどこういうのも良いですよね。
スラっと口に出て様になる。この子も真璃に負けず劣らず、人を使う立場の人間になりそうな素質満点。
なんだかこの家族って、年齢が下に行くにつれて凄い女の子が揃っているわよね。末恐ろしいやら楽しみやら。
ただ、観月は自己紹介欄でも孤高と位置づけられているのが少々気になるところですけど。
早く他の姉妹との絡みも見たいです。

 

 二十五日付の日記。二日跨いでの氷柱の日記ですが。
ツンデレ言われますけど、肝心の「ツン」の部分が殆ど感じられません。デレばっかりじゃないこの子。
流石、昔にお兄ちゃんが欲しかっただけありますよね。
照れ隠しに「妹たちの心配だけしてればいーの。私の心配なんて100年早いんだから!」だなんて。
額面通り受け取ればそうなのだけど、その内心配して欲しいって思ってるのが見え隠れするようなしないような。
そして、一番の衝撃といえばですね。
―――
私にああゆう日記を書いて、下僕にも日記を書かせたらって
こっそりそそのかしたのは――海晴姉様なんだからね!

―――
ああ、だから怒られなかったの。
これはお姉さん命令なので仕方なしに従ったようにも思えますけど、きっと自分だってそういう気持ちがあったのね。
そうでなきゃ別の姉妹に代わってもらっても(例えば麗とか)良かったのだし。(含みを持たせる発言に、代われなかった可能性もありますが)
やっぱり氷柱は良い子でデレてるわね。
そして十九日付の日記。
あれで弱みを握ったことも判明。
それで六日間あったにも関わらず、「何でも言うことを聞く」その内容が「アイスが食べたいな
えー。それなのー。
六日間一生懸命何を言うか考えて出た答えが「アイスが食べたいな」だなんて。
やっぱり良い子よね、氷柱ちゃんは。

 お兄ちゃんが書いた日記。
内容からして、誰かが茶化して「こうやって書いたら絶対氷柱ちゃん顔真っ赤にして照れちゃうよ!」とか言って
書かせたんじゃないかって思ったのだけど……そういう展開にはならなかったわね。
例の「どら焼き事件」並みの展開があると思ったのに。

 

*追記:先日のSS()をしいたけ栽培場様に捕捉していただきました。
     一言コメントも付けていただき、ありがとうございました。

 

 完全な独り言。

続きを読む "雑感"

| | コメント (0)

2008年2月26日 (火)

新婚なの! 8-6

 

「へへーん。これでもう出来ないね」
「む、むぅ。油断した」
「油断大敵あめあられ、だよ」
「くっそ~。今日は上手くいきそうだったのによ」
「えへへへ。きっとダメだと思うなぁ」
「あにがさ」
「だって。ヴィータちゃん、好きな人の前では油断しまくり、だよ?」
「す、好きだぁ!? お前、どういう意味だよ!」
「意味も何も、言葉どおり。はやてちゃんと一緒にいるのを見てれば一目瞭然」
「そ、そりゃはやての前ってなら異論はねーけどさ。どうして"好きな人"って括りなんだよ。はやてと~で良いじゃんか」
「だって」
「だってじゃない」
「私の前でもそーなんだよね? うん、そうだよ」
「はぁっ!? 自惚れんのもいい加減にしろよ! いつ、アタシがお前の前で油断したよ!」
「いま自分で言ったじゃない。むぅ、油断した、って」
「あっ……」
「認めるんだよね~? 油断したって」
「……ま、まあな」

 油断した上に迂闊だとは。くぅ、こんなの命がいくらあっても足りないぜ。

「なぁ、放せって。まだ途中なんだぞ」
「途中なのに余計なことしたのは、どこの誰だったかなぁ?」
「そ、それはお前がはぐらかして中々喋んないからだろうが」
「えー。私のせいなの?」
「そうだ」
「う~ん……分かった。じゃあ言うね。ヴィータちゃんがそんなに聞きたいって言うんなら」
「な、なんだよ。その言い方は」

 風呂上り。プリンやアイスを食べた後だというのに、なのはの体温はまだ高い。
頭に響く胸の鼓動は、だんだんとそのリズムを早くしていった。
なんだろう、そんなに恥ずかしいことなのか。
腕に篭る力と、鼓動の早さ。絶対に見られたくない顔なのだろう。
人のは見たがるくせに、自分のは見せようとしない。不公平だと思わないこともないが、今は黙っておく。

「あのね。実は……怒らないでくれる?」
「さっきと聞いてること違うじゃねーか。まあ、努力はするけどよ」
「うん、えっとね。その……ヴィータちゃんが使ってた目覚ましそのままに起きたんだよ」
「だったら時間あるじゃねーか」
「うん。それで全部の準備を終わらせてね? えっと、ヴィータちゃんに魔法、かけてたんだ」
「魔法? なんのさ。呪いの類か」
「しっつれいだなぁ。私だってれっきとした魔導師なんだから」
「割と好きな癖に……まあ良いや」
「魔法ね。首が痛いって言ってたから、治療魔法を、少し」
「お、お前! それじゃ、その時間がなかったってのは、その」
「うん。ギリギリまでしてたから朝ごはんの時間、なくなっちゃったの」

 声の調子は変わりなく、いつものように軽めに冗談っぽく。
でも、俄かになのはの匂いが強くなったように思う。体温が更に上がり、鼓動も早くなる。
照れてるんだろうことは明白だ。
そんなに恥かしかったのか。

「じゃあ、あのフワフワする感じ。お前が魔法かけててくれたからなのか」
「分かっちゃった? 首の痛みは取れたみたいだけど筋肉痛は取れなかったみたいだし……もう少し勉強が必要みたいだね」
「む、むぐぐ……!」
「どうしたの? 苦しい?」
「ちげーよ。ちょっとばかりだな、怒ってんだ」
「怒らないって言ったのに」
「努力するとは言ったけどな。怒らないとは言ってない」

 さっき考えてた通りだ。
確かに感謝してる。人を想っての――それが教導だったりフェイトのことだったり――ことで、悪さをしているわけじゃない。
だけど、そのために省みない態度が嫌なんだ。
その好意を有難く思っていると、なのははどんどん進んでいってしまう。
だから。こっちが遠慮しなくちゃならない。
自分のはただの天邪鬼っていうか、まあそんなところだけど、フェイトなんかはそうだと思う。
そうやって断った分。人を心配するいうか、そういうのを半分でも自分に向けて欲しい。
本来、自身に向けるはずのモノが自分に向いているのがイヤなんだ。
そのせいで、なのはの身が削れるのがイヤなんだ。

「教導の仕事、どういうのかアタシだって少しだけ分かってる。朝ご飯抜くなんざ問題外だ!」
「う、うぅ。だから、その」
「感謝してる。それが悪いとは言いたくない。だからな、それの半分、いや四分の一でも良いから自分を心配しろっての!」
「……はーい」
「それで若しもの事があったらどうすんだよ……」
「だったらね。それは私だって思うことだよ」
「何がさ」

 腕に篭る力は相変わらずだが、口調の変化に伴って違う意味を持つように感じる。

「ヴィータちゃんだって、自分のこと放っておいて人の心配ばっかりしてるよ」
「なっ! ア、アタシはそんなことねーぞ。お前みたいに人のことばっか心配しねーもん」
「それって本気で言ってるの? だったら、自覚が足りないね。私と同じで」
「お、お前と一緒にすんじゃねーよ……」
「任務とかでもよく自分だけ残ったり、危険なところに一番に突っ込んだりしてない?」
「き、切り込み隊長だしよ。ランクに応じた役割があるんだから、好き好んでしてるわけじゃねーし……」
「そうかな。私の耳にはそういう風に聞こえてこないよ」
「い、いっぺん耳鼻科にでも行ったらどうだ」
「そういう評判だってこと。ヴィータちゃんは頼りになるって」
「……ふ、ふーん」
「私。鼻高々だよ。私の奥さんはこんなに慕われてるんだって」
「そりゃ、ようござんしたね」
「でね。ヴィータちゃんが私を心配してくれてるように、私が……みんながヴィータちゃんのこと。心配してるって」
「けっ。心配性なこって」
「もちろん。一番心配してるのは私だよ。うん、はやてちゃんよりそう思ってる」
「ア、アタシは……ま、フェイトの次ぐらい、かな」
「えー。一番じゃないのー?」

 話している内に気が済んだのか、口調は柔らかなモノに戻っている。
それで冗談っぽさも含みだしたかに見える中で、はやての名前を出す。
前とは違い、自信がある。冗談としても、自分がはやてより心配してるんだって口に出来る。
それに対して応えることはしない、出来ない。
自分はフェイトの次だって。
それは気が引けるとか、そういうんじゃなくて。
単に恥ずかしいから。なのはみたいに自信たっぷりに言い切るのが。
こういうとき。勝手ながらフェイトの存在が身に沁みるぜ。
何ていうか……二番手でいられる。
なのはは自分を一番だって言ってくれるのに……卑怯者だな。

「良いだろ、別に。一番と二番がちゃんと居てくれてるんだからよ」
「それじゃフェイトちゃんも家に呼んじゃう? 居てくれるーなんて言うんなら」
「なんで自分家みたいに言うんだよ。言うならアタシの台詞だろうが」
「今は結婚してるんだから、私の家でもあるんだもん。ねぇ。ちゃんと一番だって言ってよ。アタシが一番心配してるんだぞーって」
「へん。やなこった」
「もうー。意地悪なんだから~」
「意地悪は相変わらずだって、知ってるだろ?」
「そうだね。素直じゃない意地悪ヴィータちゃ~ん」
「んぐう! だ、だから抱きつくなって言ってるだろ!」
「抱きつくのも相変わらずだって、知ってるでしょ?」

 だからこうやって。
観念したように、なのはの背中に手を回すんだって。知ってるんだ、なのはのヤツは。

 

 新婚なの! 8-7 >

 

| | コメント (0)

2008年2月25日 (月)

新婚なの! 8-5

 
 
 
「ねぇ、ヴィータちゃん」
「なんだよ」
「明日からも遅かったりする?」
「ああ、どうだろうな。一週間空けてたわけだから……ちっとは遅くなるかもしんない」
「そっか。私は今日と同じぐらいだと思う」
「ふーん。今回の連中は出来が良いみたいだな」
「そーだね。特にすることがなくて私としては物足りないかな?」
「ふぅん」

続きを読む "新婚なの! 8-5"

| | コメント (0)

2008年2月24日 (日)

新婚なの! 8-4

 
 
 
「今日はヴィータちゃんの晩ご飯が食べられると思ったのにな~」
「だーかーら。悪かったって言ってるだろ」
「じゃあーねー。えへへ~」
「……ヤな顔だな、それ」
「お願い。一つ聞いてくれる?」
「却下だ」
「え、えー! まだ何にも言ってないよ?」
「じゃあどういう話なんだよ。言うからには返事が変わるような内容なんだろうな?」

続きを読む "新婚なの! 8-4"

| | コメント (0)

2008年2月23日 (土)

なのヴィカテゴリー

続きを読む "なのヴィカテゴリー"

| | コメント (0)

2008年2月21日 (木)

Baby Princess 後

 

 なにが――
どうして――こんなに気になるのかが分からない。
着信音だけじゃない。
今までになかったもの。
私たち、十九人。
洗濯が終わって畳まれた服に、並べられた食器に、歯ブラシに、靴に、コートに――
そこへ加わった二十人目。
アイツの存在を示すモノが、どこにあろうと、視界の端に映りこんだだけで――
なんてことはない。
ただ――家族が一人増えただけじゃないかって。
そのたびに自分に言い聞かせて。

続きを読む "Baby Princess 後"

| | コメント (0)

100回でも言うよ

 
 流石19人を統べる長姉よ。

 先日のバレンタインで見せたお姉ちゃん振りとは真っ向から立ち向かう如く。
可愛らしい「女の子」な部分を見せてくれるじゃないですか。
様々な面を見せては、くるくると表情を変えるお姉さん。破壊力抜群でしてよ。

     

うふふっ (はぁと
見た目通り――かな?
キミはどう思う?

     

 もう否定して欲しいんですよ。
「ううん、海晴姉さんはそんなことないよ」って。
事実余り日記が続いてなかったとしても、張り切っちゃってるのに中々書いてなかったとしても。
「海晴姉さんはしっかり者だよ」って。

     

本当?
絶対よ?
ちゃーんとなぐさめてくれるっていうなら話すわ――

     

 この辺りの聞き返す雰囲気は以前の虹子辺りに継承されているのではないでしょうか。
ここでは子供っぽくなのか、ちょっと不安そうにこちらの様子を伺うようになのか。
どちらにしろ、可愛い弟の様子を楽しんでいる気持ちを隠してですね。
この「ちゃーんと」のところに、その辺りが見え隠れしているのではないかと。


「海晴お姉ちゃんは素顔でも全然いけてるよ(はぁと」
「海晴お姉ちゃんは素顔の方が100倍かわいいよ(はぁと」
「海晴は世界で1番かわいいボクのステキなお天気おねーさんだよ」

 素顔は家族にしか見せないよ。メークするようになってからは男で見せたのは弟だけだよ。
メークした顔と素顔を比べることが出来る男の子は弟だけだよ。
一番可愛いよ。妹は18人いるけど「ボクの」ステキなお天気おねーさんって言えるのは一人だけだよ。
普段はお姉ちゃんと呼ばせたりしても、一番最後は「海晴」って呼び捨てにして欲しいよ。


 この日記。
いつもの海晴姉さんを思い浮かべて読むのだろうけど、机に向かって書いてるときはどうだったのかしら。
若しかしたら、ホントに朝の失敗で凹んでて何度も溜息つきながら、思い出しては頭を抱えていたのかも。
もう頼ってたいの。
ぎゅっと抱きしめて欲しいの。
大丈夫だよって言って欲しいの。
海晴は世界で一番かわいい「ボクのステキな」お天気おねーさんだよ。

 

| | コメント (0)

2008年2月20日 (水)

リンク

続きを読む "リンク"

| | コメント (0)

2008年2月18日 (月)

なのフェカテゴリー

続きを読む "なのフェカテゴリー"

| | コメント (0)

2008年2月17日 (日)

Baby Princess 前

 
 
 
 新しい家族が増えた。
だからと言うわけじゃないけど、私も携帯電話を持つことになった。
元々、私以下の妹達は持っていない。
綿雪以下は誰かが迎えに行くだろうし、出かけるときは私たちの誰かが連れて行くのだから必要ない。
立夏以下は必要かもしれないけど――特に麗は遠出したがるので欲しがってはいる――、流石に小学生だ。まだまだ必要ない。
蛍も氷柱も直ぐに家に帰ってくるし、本人が必要としていなかったので持っていない。
それは私も一緒だった。

続きを読む "Baby Princess 前"

| | コメント (0)

2008年2月16日 (土)

新婚なの! 8-3

 
 
 
 頬を撫でる空気はそれほど冷たくないのに、風が強く当たりぐんぐん体温を奪われていく。
そのせいで体感温度は実際の気温より寒く感じる。
しかし、そんな状況でも外着の有難さを噛み締めることはなかった、というより暇がない。
ピッタリとくっ付くなのはの温かさに少し汗ばむぐらいだったから。
目的のスーパーは歩いて十五分かかった。
いつもなら往復二十分ちょっとなのに、アタシの足取りが遅いためにそうなった。
ただ、なのはは一向に構わなかったようで、今日あったこと――主に教導で担当した連中――をあれやこれやと話していた。
中々有望なヤツも多いそうなので、こっちもやる気が沸いてくるのだそうだ。
余りやる気を出すと本隊に入る前に止めてしまいかねないので、程ほどにしとけよと釘を刺しておいた。
ちゃんと聞いているのか不安な態度だったが、仕事に対する姿勢が不真面目なわけではないので、それ以上は黙っていた。
こうやって夜道を歩いていて、なのはがアタシに話しかけてくれる。
どうしようもなく、あの日のフェイトを思い出すのだけど、こればっかりは面に出すわけにはいかない。
そうやって、あれこれ考えているうちに到着。
店内は暖かく上着を脱がなければならないので、仕方なくなのはを引っぺがす。
しかしめげない。手を掴むと意気揚々とアタシを引っ張っていった。

続きを読む "新婚なの! 8-3"

| | コメント (0)

2008年2月14日 (木)

六課のバレンタイン 4/4

 
 
 
「あ、お帰りー……」
「ただいま」

 久しぶりに。どれくらいぶりか正確に思い出せないほど久しぶりに昼食を共にしなかった二人。
勿論。仕事や訓練で別々になったことを除いて。
部屋着に着替えたスバルは椅子の上で小さく膝を抱えて、チラリと視線を横にやっただけ。
いつものように帰ってきたティアナに飛びつく素振りなど、全くありませんでした。

「お腹でも痛くしたの? そんな顔して」
「別に食べ過ぎてなんてないから。ティアにいつも怒られてるし」
「あっそう。だったら普段も気をつけてよね」
「……は~い」

続きを読む "六課のバレンタイン 4/4"

| | コメント (0)

今日は特別な日 5

 
 今日をありがとう。
まさかの二人組み。以前のようなママによる翻訳もなし。
しかし春風は良いお姉ちゃんですよね。本誌の方でも青空を肩に乗せてましたし。
ははぁ、しかし――

     

かわいい―― (はぁと

はやく春風もこんな赤ちゃんがほしいな――

きゃっ (はぁと
言っちゃった――(はぁと×3

     

 可愛いあさひの寝顔を見て、思わず零れてしまって一言だと!
隣に王子様がいることなんてすっかり忘れてて、「あっ、どうしよう!王子様がいたの忘れてた!」なぁんて……
ないわね。明らかに意識して口にしてるものね。
だけど、妹達にも慕われてて、お姉ちゃん分が強い春風なら、ある意味自然な一言かも。
将来図。赤ちゃんを抱っこしている自分の隣に誰が立っているのか分からないけれど。

     

ちっちゃい子たちにチョコをつけてあげてるあなたを見て――
素敵なお父さんになる人だなって思って――
春風は胸が――

きゅん―――――――

ってしちゃいました(はぁと

     

 その後の「……」間は、「春風」から「春風お姉ちゃん」に変わる間だったと思います。
しっかりとその辺りをコントロールできるのがお姉ちゃんたる由縁だと思いますが……
上にあるように、あっという間に「春風」に戻ってしまうのだから、もう!なんて可愛いの!
この「あなたを見て」の、「あなた」って言葉にどうしようもない重みを感じてしまったのですけど考えすぎです。
でも、お父さんって……むぅ

 しかし、この「きゅん―――――――」。この引きに乙女心を見て取れて。
ああ、一回で12個のハートマークを使ってしまう春風が可愛くて可愛くて、溢れんばかりの気持ちが伝わってくるのですよ。

 
 
 今日は――疲れたな。
ええ、全く。
状況を察するに、チョコフォンデュをしていた頃は一騒動治まった後と考えて宜しいのでしょうか。
さくらを心配する弟に向かって氷柱のフォローも忘れない。
フフ――いじらしいな。
そういう霙姉さんの表情は、前回のどら焼き騒動など忘却の彼方へ吹き飛ばしてくれるほど「お姉さん」なわけで。
しかし、氷柱が家族でやるパーティーだから、と
一生懸命にチョコを作っている姿など、霙姉さんに教えてもらわなければ分からなかったんじゃないかしら。

     

ほら、首筋にまで点々と――
チョコレートのしずくが飛んでいる。

なんだったら、私が一緒に行って――洗ってやろうか?

     

 不意に這わせた人差し指が
顎からツツーとラインをなぞり、首筋を通って
鎖骨の辺りに落ちていく――
そして、少し悪戯っぽく笑う霙姉さん……ココまで想像しちゃったわ。

 しかし、性的なニュアンスを含ませずにここまで大人っぽく攻める霙姉さんって、やっぱり――お姉ちゃんなのね。

     

フフ――。

気にするな。
私たちは同じ宇宙の塵になる姉弟なのだから。

     

 恋人よりも、夫婦よりも。
きっとこの家族の絆は何にも負けないほど、強いんだって。
でも、これって――プロポーズでも良いんじゃないかしら。

 
 
 秘密よ。
締めを飾るのは、一日の最後を飾るのは長姉たる海晴姉さん。
お風呂上りで寝る前なのだから、きっといつもと違った雰囲気満点でしょう。
そして「うぅん――なんでもないの。」なんて言いながら、どぎまぎした弟を見つめて。
そんなこと言って、ハートマーク使ってるようじゃ説得力ないじゃないって。

 だけど、やっぱり一番しっかりと家族のみんなのを見てて
やっぱり一番上のお姉さんなんだなって
ただでさえ19人もいきなり姉妹が出来ちゃって、戸惑い気味の弟に「今日私たち姉妹は世界一幸せな女の子だわ」って
これだけでどんなに幸せだろうって
自分がいるだけで。ただそれだけで誰かを幸せに出来るのが、どんなに素敵なことか――

最初の自己紹介と随分違って見えちゃうというか、このどちらもが海晴姉さんなんだわ。

     

あなたがまだ小さいウチに出会えていたら――
私たち、一緒に育っていたら――
きっと、もっとこんな風に――
ぎゅう――って、
いっぱい手を握りあって育ったかもしれないね。

     

 たまらなく寂しくさせる。
ママもいて、家族が20人いて。
海晴姉さんは、なにかどこかで弟の寂しさを分かっていたのかしら。
両の手に包まれて、どうしようもなく温かくて。
どんな顔をしてたのかしら。
でも「もっともっと甘えていいんだからね?」なんて、一人きりの王子様を霙姉と違った包容力で――
一人、歳の離れたお姉さんは、素敵なお姉さんなのでした。

 ところで。
これはあなたと私の2人だけの秘密よ。」って、ねぇ?
一人距離を置いているようにも感じられて。
だけど、その後のアレにかかる言葉だったのなら。
他の姉妹たちだって(特に年少組は)たくさんしてるのに、あえてそれを秘密にするんだから――
意味はきっと違ったりしちゃうのかしら?
 
 

| | コメント (0)

今日は特別な日 4

 
 待ち伏せ
なんて心躍るタイトル! しかも

     

おっにいちゃん――
はーやく、かえって
こーないかなー♪

ま・ち・ぶ・せ
攻撃~!

なぁんだっ(はぁと

     

 このウキウキした気持ちを如実に表した、読んでいるこちら側も思わずリズムよく口ずさんでしまう言葉遣い。
玄関の前で、今か今かと待ち構えている様子が手に取るように分かるじゃないですか?

     

待ってたよぉ―――!!
今日は、夕凪が1番乗りだ~(はぁと×3

     

 堪えていたものが爆発したかのような、玄関扉を開け放つ夕凪さんが間の前にいるかのよう。
しかも、「今日は」。
いつも玄関では誰が一番にお迎えするか熾烈な争いが繰り返されているのでしょう。
そして今日の勝者は夕凪――
もうおにいちゃん大好きってオーラが止め処なく溢れるハートマーク三連撃。
今日はバレンタインデー。
女の子は待ってられないのですよ。

 

 ビックリした…
こちらがビックリですよ。
しかも夕凪からの続きだなんて
ああ、そういうオチ……夕凪がヒカルの腰辺りにガッチリ抱きついて呪文をかけられそうになってる所を想像してますよ、うん。
しかし
“ハートを独り占め”にされるところだったよ――
あくまで夕凪の態度を大切にするお姉さんぶりを発揮するヒカル。
そんな夕凪をみて

     

ふふ―― (はぁと
夕凪、かわいいよな。

     

 そんな顔して、ふふ――なんて笑われて、どんな顔して返事したら良いのよ。
そういうヒカルが一番可愛いよ、って。同意を求めるでなく、でも自分の妹は可愛いんだぞって。
やっぱりそんなヒカルが一番可愛いよ。

     

……うん。
でも――
今年は――な。

みんな作る方ですごく楽しんでるしな。
女の子だもん、もらうより――
作る方がいいに決まってるよな。

うん。

     

 重ねられる語尾に、確認を取るように頷いて。「女の子だもん」って。
そして最後にもう一度、自分に頷いて――
ああ、なんてヒカルは「女の子」なのかしらって。
そうだよな、やっぱりそうだよな。自分のこの気持ちは間違ってないよな、って確認を取るように。
良いのよ。その気持ちを素直に出してしまって良いのよって。
合間合間に、二度置かれた間に、ヒカルは何を思っているのかしら。
深呼吸したり、高鳴る胸に戸惑ったり、ちょっとだけ不器用そうに、でも素直なヒカルはやっぱり「女の子」だって。


 ハッピーバレンタイン!
タイトルで騙されたわ!
いきなり戸惑う氷柱に始まって、泣いちゃう綿雪に、そんな目で見る蛍。
氷柱はとっても優しい子だから姉妹の涙には勝てないのにね。
悲しげにこちらを見るその視線に耐えられない。
ヒカルとは違ったベクトルで家族が心配な氷柱の一幕が見れたことは良いんじゃないかしら。

     

私たちの、お―――
お―――

オニイチャンと初めてのバレンタインデーと――
楽しいパーティーに――

     

 「オニイチャン」に込められた……ひょうちゅうちゃんかわいい!(こちらまで思わず
しっかりとバレンタインデーを先に持ってきたり!
あのね、「私は――ともかくとして」なんて、念を押すから余計に怪しいのよ。別にこちらからは何にも言ってないのだからぁ。
本当にみんな――ちっちゃい子たちまで一生懸命作ったんだから。あなたのためにって。
きっとニコニコしながら、妹達のことを話すときは本当に素直に笑顔を向けてくれる氷柱。
ホント、トゥルー家族って素晴らしい。

 あのね、下僕扱いって一番の独占欲の表れなんですって。

| | コメント (0)

今日は特別な日 3

 
 
 風邪をひいたんじゃないかしら?なんて思ってごめんなさいね。

 久方ぶりの登場である観月。
「もそっとちこう寄ってたもれ?」なんて、あの容姿で言われたりしちゃったらもう。疑問系なのがもう!
そんな観月の日記ですが

     

鈍くて良かったな(はぁと

     

 どんな表情でハートをつけたのかしら。
くすっ、とある種妖艶な雰囲気を醸し出しているのか、単純に安心してニッコリ、と笑ったのか。
この子も年不相応な雰囲気を纏っている子なのですから、私個人としては後者の方が好みなのですが。

     

わらわから愛の贈り物じゃ――ふふ(はぁと

     

 兄のことを「そち」と呼ぶ子から愛の贈り物だなんて。
言葉遣いから気高い雰囲気を纏っている、疑問系ながらも拒否することを許さないその言葉。
トゥルー家族は年少組のほうが明らかに危うい空気を漂わせているように思えます。

 しかしフレディといいキュウビといい、新たな生態が明らかになったバレンタインデー。

 

 ただいまかえりました!
ホタの行ってまいります、に通ずる丁寧さ。
しかもさくらは小さいの。このくらいの年齢の子が口にするこの言葉は、また違ったミリョクがあるのではないかしら。

     

って言ってくれるかなって――
思ったんだもん(はぁと

     

 お兄ちゃんに褒められる自分を想像しながら、思わず身体をくねくねさせて、きゃー!って言ったりしちゃダメよ。
この「だもん」に込められた気持ち。
語尾に「はぁと」がついているのですから、ちょっとだけ自信ありげに、頑張ったんだよって誇らしげなさくらが可愛い!

 しかし、この後のナイショ話がどういう意味を持つのか。誰も気付かないのでした。

 

 あててごらん?
のっけからこの挑発的な態度……!
しかしその裏に隠された「私のフェルゼンなら出来るわよ」という信頼の証……!
一見無理難題に見えたとしても、その真意を読み取って遣って退けてこそのトゥルー家族!

     

私たちの愛はこのお家の中いっぱいにあふれてて――
家族よりも大切なものなんてこの世にないのよ(はぁと

     

 マリーの口から発せられたこの言葉。
こちらが――きゅん、となってしまうような愛にあふれた言葉ですけど……
春風さんの言葉だと思うと
その……途端に重さが10倍ぐらいになるような気がするのは気のせい、よね。

 そして最後に「マリーの作ったチョコレート――
真璃自らが手を動かして作ってくれたチョコレート。
それを当てられなかったら「おしおきよ?」だなんて。
その言葉に、全幅の信頼を感じるのです。マリー、あなたの期待を裏切ったりしないわ、と。
 
 

| | コメント (0)

今日は特別な日 2

 
 このタイトルだけで心配になってしまうのだけど。
自己紹介で「ユキがいなくなっても、冬になって雪が降ったら――」なんて言ってた子が……

     

あっ。

いけない。
これって内緒なんでした!

うふふ――

     

 よりによって「うふふ――」だなんて!
思わず笑みが零れてしまうその様子。幼稚園に通うような年の子が零す笑みじゃないの。
虹子とは別の意味でおしゃまというか、氷柱と一緒にいる分、少しお姉さんなのかもしれません。
ああ、あんな儚げな子が、こんな風に笑ってくれるだなんて――
やっぱり今日は特別な日、なんだねって。

     

今日は、なんだかわくわくした気持ちです!

だってこれからとっても素敵なことが起こるから。

     

 微熱とはいえ、普段から身体の弱い子が発熱をするのって悲しい気持ちにさせられちゃいます。
それなのに。
きっと昨日から。「がんばりすぎちゃっただけなんです。」なんて言ってるこの子が。
胸躍らせるの。今日、この日のことを思い浮かべて。
まさにトゥルー家族じゃないかしらって。
 
 

 年少組にして、お姉さん達に負けないおしゃまさん

     

ね?
ね?
ね??

     

 この「ね?」攻勢。
こっちの手を握って足元でぴょんぴょん跳ねながら、そして最後の「ね?」でおしゃまに小首を傾げたりして……
この子、お願いの仕方を知ってる――!

     

だって――
にじこピンクのハート、
もうかいちゃった――。

     

 そういえば、虹子の日記は今日という日に余り関係ない内容では、と思えました。
途中でトゥルー象であるフレディーの驚異の生体について記されていますし。
でもこれ、今になって思えば夜に行われる「特別なこと」の準備だったんじゃなかったのかしらと。
パーティー会場を彩る飾りの数々は、非凡さを伺わせる虹子によって描かれている――それがピンクのハート。
チョコ作り以外にも頑張った虹子を想像するに、頬の緩みが抑えられないじゃないですか?
そして――

     

にじこ、ウェディングドレスはピンクがいいな

     

 きっちりお嫁さんになるという主張を忘れない。
これが、ライバル――いえ、夢見る女の子ではないかしら。
 
 

| | コメント (0)

今日は特別な日

 
 
 今日はどういう日がご存知?

 ふ、ふふ。
まさか7:30にくるだなんてね……

     

お願い――してもいいですか?

     

 ああ!
きっと上目遣い!
するだけならタダなのよ、蛍!
可愛い、まだ少しの距離感を覚えさせる絶妙な言葉。
精一杯踏み出したその一歩!

朝早く学校へ行く前に家事のお手伝いもあったことでしょう。
お願いするために、特別な日のために普段より身支度に時間をかけたり――
きっと寝不足。
寝癖はついてないかな。リボンは曲がってないかな。なにか、なにか変じゃないかな――鏡の前で。

     

本当はこのままずっとお兄ちゃんと一緒にいたいけど――

     

なんていじらしい!
トップバッターに相応しい可愛らしさ!
控えめに、だけどちょっぴり本音を覗かせるのは前回同様。
「行ってまいります」
ああ、後ろ髪引かれながら、それでも普段見せないような軽い足取りで玄関を開ける様子が見えるようだわ。

ああ、今日は素敵な一日になりそう……
         ・
         ・ 
         ・ 
 素敵な一日ってレベルじゃない!
なにこれ。一時間ごとに日記を書いているじゃないの。
まさにリアルタイムで家族の日記が書かれていく様子を体験しているのね。
今日は2・14、バレンタイン事変ね……!
 
 
 そして1時間後
立夏ちゃん、完全に遅刻よ。
しかも「ゲッ」だなんて。
でも、立夏ちゃんだからこその語感なのかも。

     

でも、リカ、こんなことで負けない!
リッカの辞書には後悔の文字はないのだ!!

     

 リカとリッカ、「リッカ」というところに強い意志を感じるのです。
グッと拳を固めている姿が力強くも愛らしい。そんな立夏ちゃん。

     

たーすーけーてー(はぁと

     

 ここでハートを使うセンス……!
スカートにベルトが引っかかってる姿であるにも関わらずお兄ちゃんに助けを求めるの。
きっとウインクしながら、小悪魔的(自分ではそう思っている)表情だったりしちゃったりなのかしらね。
 
 

| | コメント (0)

2008年2月13日 (水)

六課のバレンタイン 3/4

 
 
 
「それで相談って、なにかな」
「あ、あのぉ……」

 一日の勤務も終わり、各自が部屋へ戻っている時間。
ティアナは一人、フェイトの元を訪れていました。
真っ暗な部屋の中、モニタだけが煌々と光を放っています。
一旦仕事の手を休めてくれたフェイトに対し、ティアナは要点だけを掻い摘んで説明しました。

続きを読む "六課のバレンタイン 3/4"

| | コメント (2)

2008年2月12日 (火)

六課のバレンタイン 2/4

 
 
 
 寒さも一層厳しくなり、随分と寝坊になってしまったお天道様を恨めしく思う早朝訓練。
終了する頃には十分身体が温まりながらも、かじかむ手足に変わりはなく、かいた汗で風邪をひいてしまわないよう素早く引き上げます。
その中で一人。眠そうに欠伸をかくスバル。
何かを思い出したかのように、訓練が終わると隊舎へ駆けていきます。
普段からお腹ペコペコ~などと言っては、元気なスバルですがここ数日は少し様子が違うように思われました。

続きを読む "六課のバレンタイン 2/4"

| | コメント (0)

この直系

 
 
 はっぴーらっきーはねむーん(はーと

 ついに本気を醸し出してきたの。
今日は十一女、夕凪さんです。
ハートマークにこの人あり。そう、公野櫻子さん本領の一端ではないでしょうか。
   
どうしよう――
夕凪わかっちゃったよぉ
   
 このときの表情を想像するに、頬を染めならが上目遣いにチラチラとこちらの様子を伺うかのよう。
これを、年少でありながらも「女の子」していると受け取るのか、それともある人の直系、影を見るべきなのか……
髪や瞳の色からして……そうですよね。
可愛らしいお姉ちゃんに憧れちゃって知らぬうちに影響を受けている、当然ありえます。
それと、このテンションの高さ。
立夏を思い浮かべた方も多いと思います。
もしや、夕凪の魔法使いたる由縁は立夏にあったのでは……このファッションセンスといい。
でも、この二人がテンション高く構って光線を出してくる光景こそ、トゥルー家族としての腕の見せ所ではありませんか。

   
今日は蛍お姉ちゃんのお誕生日だから――
あとで、蛍お姉ちゃんにもやってあげよぉっと!
   
 魔法が効いたことに気をよくしたのでしょう。
このくらいの年頃なら嬉しくて周囲の人たちに成果を言いたくなるものです。
でも、ホタの意中の人は誰なのか。
それを分かっているのか、いないのか。
お兄ちゃんだと分かってやっているのなら、微笑ましいのですけど、また別の可能性も……
いえいえ、ここは素敵な魔法使いさんと一緒に誕生日を祝うことにしましょ。
 
 

| | コメント (0)

2008年2月11日 (月)

六課のバレンタイン 1/4

 
 
 
「なのはさ~ん。一体何をしているんですかぁ?」
「ああ、スバル。おはよう」

 空は澄み渡り、凛とした空気が張り詰める。吐く息の白さにはしゃぐ様な年でもなく、何もかもが億劫になるこの季節。
温まりすぎた身体に湧いた汗を流し、デスクワークを片付けようとしたスバルは、何か雑誌を広げるスターズ隊の隊長を見つけるのでした。
片付ける素振りもなく、首だけ向けて挨拶を返すなのは。
珍しい行動に興味を引かれるのでした。

続きを読む "六課のバレンタイン 1/4"

| | コメント (0)

2008年2月 9日 (土)

新婚なの! 8-2

 
 
 
「な、なんとか。近くのコンビニぐらいはいけそう、か?」

 このまま寝ていると、なのはが帰ってくるまでこのままで居てしまいそうだった。
それは幾らなんでも避けなければいけない。自分を奮い立たせ、何とか着替えを済まし家を出た。
昔、まだはやての足が完全に治る前。
バレないように魔法で地面から数ミリ浮かせて、いかにも歩いてる風に見せてた時がある。
分かりやすいようにいうと、某青たぬきロボット方式だ。
その方法を使っても良かったかもしれないけど、こっちの世界は市街地での魔法使用は厳しく制限されている。
バレなければ良いという発想は民間人のもので、自分のように局務めのモノには厳禁だ。
便利な方法があるのに、それを使うことが出来ない。なんと苦痛なことか。
二つの感情が頭の中でせめぎあう中、軋む身体を引きずってなんとかコンビニへたどり着いた。

続きを読む "新婚なの! 8-2"

| | コメント (0)

誰のセンス

 本日は、このようになっております。
ちょっぴり誕生日パーティーの様子を綴られるのではないか、と期待が無かったわけではありませんが……

   
あなたがきて――
すっかり。
頭に春風が吹いちゃってるのよね。
   

 上手いこと言った  
これが小学生のセンス……!
素晴らしいんじゃないかしら。小学生にしてこの言葉遣い。
麗より上を見ても、こういう事を言いそうなのは……海晴姉さま?
「お姉ちゃん」ではなく、「姉さま」扱いな辺りに他の姉妹に対する距離感が違う様子が伺えます。
それも含めてあり得るのかも……
だけど、海晴姉さまの場合、駄洒落のような気がしないでもない、かな。


 前回の日記では「私が大人になるまで待ってて欲しいの。」と言っていた麗。
ただ背伸びしたいのではなく、純粋に思い人へ届かない手の、小さな自分へのもどかしさから紡がれた言葉。
しかし、今日の日記では「私、大きくなんてなりたくないわ。」ですって。
春の陽気に  「まだ2月だってば!」と突っ込み入り  浮かれるような女にはなりたくない。
麗の憧れであろう海晴姉さまはそうじゃないのかしら。
若しくは、春風姉さんの変わりよう(そんな人じゃないと思ってたのに)にガッカリしたのかも。
それも本気ではなくて、ある程度冗談を含んだと言うか。
それは
   
ね?

あなたもそう思うでしょ?
   
あくまで同意を求めるその姿。
「オトコなんて  」といい、彼がやってきたことを決して好意的に思っていないのよ!という素振りを見せているのに。
昨日の日記の「勘違いしないでよね!」というお決まりの言葉よりも、何倍もグッとくるのです。
初めに「~が好きなら見所あるわ」といい、自分を認めて欲しい、あなたを認めてあげるわ、と言った気持ちが見え隠れするのです。

 海晴姉さまは詳しく、そのキャラの輪郭がぼやけている部分があるように思えますが、麗の目からはそういう、憧れるべき素敵な女性に映っていることが伺えるのではないかしら。
決してオトコなんかに現をぬかすような、春風ちゃんみたいな女じゃないのよって。

 
 青空にシールをあげたこと。
幼児の行動の無謀さ、無軌道さ。
これは兄弟姉妹がいる人なら実感のともなう恐怖じゃないかしら。
彼にシールをあげてしまい、こんな事ならあげなきゃ良かった、なんて思ったり。
やっぱり、もったいなかったかな、と思ったり。
それでも、代わりの可愛いシールを買ってきてあげようなんて思う辺りに、素敵なお姉さんの片鱗を伺わせるの。
以前の日記にもある「家族」を大切にする気持ち。
それは彼にも向けられている、麗はきっと容姿にともなう素敵なレディーになるんじゃないかしら。

 
 以前のヒカルSSをしいたけ栽培場さまに補足していただいていました。
海晴姉さまの呼称を間違えたりと(ご指摘ありがとうございました)、内容も拙いものでしたが、一言のコメントも付けていただき、ありがとうございました。


「別にそういうんじゃない。」

「流行りモノ」

「落ちてる」

| | コメント (1)

2008年2月 7日 (木)

新婚なの! 8-1

 
「―――ちゃん」
「……」
「―――タちゃん。うーん、起きないなぁ」
「う、う~ん……?」
「あ、起きた?」
「……な、なんだ? なのは、か」
「おはよう、ヴィータちゃん」

 耳に馴染んだ声に呼ばれているのは分かっていたけど、中々意識を持ち上げることができなかった。
持ち上げると言っても沈んでいる訳じゃなくて、浮いているというか、寝てしまう寸前の何ともいえない浮遊感というか。
どこまで沈みこむ中で、浮くような感覚―――であるのは確か。
そんなどっち付かずな感覚に、身体はまだ眠ったままなのか、全く言うことを聞かず動く気配がしない。
この感覚。どこかで覚えがあるんだけど……なんだったか思い出せない。
それでも声の主を何時までも待たすわけにいかず、なんとか動かすことが出来そうな口だけで応答することにした。

「……おはよう。……いま、何時だ。もうそんな時間か?」
「え~っと……半前だよ」
「九時か、十時か?」
「そんな時間だったら大遅刻だよ。もちろん、七時、のだよ」
「七時…………ん? どうしてそんな早起きなんだよ、なのは」
「どうしてって。これから出勤だよ。今日も頑張ってお仕事なの」

 目はまだしっかりと開かない。
そんな寝ぼけ眼のぼんやり視界の中で、栗色の塊を認識することが出来た。
こりゃ、なのはの髪だろうか。
いくら休暇とはいえ、余りダラダラと寝ているのも良くない、とはアタシの台詞だけど、それでなのはが起こしてくれたのか?
そう思いきや、返答は全く予想外のもので、普段どおりの出勤時間――より気持ち遅め――だった。
驚いているはずなのにリアクションがとれない。
瞼が堪らなく重く、差し当たって大した抵抗も出来ないまま目を閉じてしまった。

「書置きでも良いかなって思ったの。ヴィータちゃんが余り気持ち良さそうに寝てるから」
「……あ、そう」
「でも、それだと起きた時に寂しがるかな~って心配になったから起こしたんだけど……どうかな」
「どうかなも何も起きちまったんだからよ……ふ、ふぁ~あ」
「それじゃ行ってくるね。帰りはたぶん昨日と同じぐらいだと思うから」
「昨日って……どのくらいだっけ」
「七時前だったと思うよ。しっかり覚えてないの、ごめんね」
「ふぅん、そっかぁ」
「早くに起こしちゃってごめんね。疲れてるんだろうとは思ったんだけど」
「……別に構やしねーって」
「それじゃ、ヴィータちゃん」
「……むぅ」

 前髪をかき上げてくれる。
思ったよりもヒンヤリとした手は気持ちよくて、ベッドに沈み込んでいく意識が少しだけはっきりした気がする。
その、はっきりした意識の殆どは、その冷たさに向いてしまう。こんなに冷たかったろうか、と。
そう考えているうちに手は離れ、名残惜しく凸に意識を集めていれば、待っていたものとは違う、なにか柔らかなモノが当たる。
先ほどとは違う、僅かばかりに温かな、何か。
それも一瞬。ほんの一瞬だけ。声を上げる間もなくそれは離れていき、空気が動いてなのはの香りが鼻をくすぐる。

「……んだよ。人が動けないと思って」

 行って来ます、のチューだった。
 
 
 
 
 
「う~。身体中が痛ぇや」

 意識して、いつもみたいに胸が早鐘を打つように跳ね、身体中が熱くなるのかと思いきや。
はっきりとしたと思っていた意識はまたも沈み始め、身体は相変わらず言うことを聞かない。
思考ははっきりとしていると思っていたのは間違いで。
あっという間にベッドに飲み込まれていった。
それも一瞬、また直ぐに目を覚ましたと思ったときにはすでに三時間が経過していて、目覚まし時計の針は十時を半分以上過ぎていた。
流石に起きなければならず、寝返りを打つようにベッドから脚だけ下ろす。
次いで上半身を布団から引きずり出し、頭を上げようとした時。勢いあまって尻餅をつく。
身体が重いとは思っていたけど、こりゃ酷い筋肉痛ではないか、その時初めて思い至った。
軋む、強張った足を引きずって何とか部屋を抜け出した。

「遅ぇけど、朝飯食べなきゃなぁ……」

 のそのそと腰を曲げて歩いていけば、綺麗に片付いたテーブルが目に入る。
ガッカリしてないと言えば嘘になるけど、どうせそんなもんさ、と自分に言い聞かせて台所へ向かう。
乾燥棚へ行く途中、流し台を横目で見やれば、そこは綺麗に片付いていた……が。
それは片付いていたというより、使っていないが為の綺麗さだった。
少なくとも昨日の晩、なのはが片付けたときから使われた形跡がない。
不振に思いながらも、ここで足を止めてしまえば再度動く保証もなく。仕方なく後回しにする。
乾燥棚を開けたところで、今度こそガッカリと肩を落とす羽目になった。

「……なんもねーじゃねーか」

 見事に片付いていた。
買いだめしてある調味料などの類はあるが、パンやその場で直ぐ食べられそうなものは皆無だった。

「はぁ。どうすりゃ良いんだよぉ」

 力なく扉を放せば、音もなく、静かに閉じられる。
こうなれば、少しでも腹の足しになるものを。冷蔵庫ならば何か入っているはずだ。
微かな希望を胸に冷蔵庫の扉に手をかけるが、そこで基本的なことを思い出した。

「あに言ってんだ。今日、なのはと買い物行くって言ってたじゃんか」

 しかもそれを言っていたのは、他でもない自分自身。
この分では昨日と変わらない冷蔵庫には、目ぼしいものは何もなかったはずなのだ。
冷蔵庫の扉を開けることなく、その場から引き上げる。
テーブルの横を過ぎ、ソファーに倒れこもうとする。ふと壁にかけたカレンダーに目が留まった。
日付に印がついており、そこには「ゴミの収集日」とあった。
そうか。すっかり忘れてたけど今日はゴミの日なんだ。
なのはは忘れずに出しただろうか。
いや、幾らなんでも出しただろう。
自分の出張中に一回、それから一週間近く経っている。
その間一人暮らしとは言え、ゴミは少なからず出る。出してなきゃ今頃ゴミ箱はいっぱいだ。

「……まあ、今更言っても遅いけどな。とっくに時間過ぎてるしよ」

 確かめることもなく、そのまま倒れこむ。
足の裏、ふくらはぎ、太もも。腰にわき腹に背中。肩に首。
ギシギシと、音を立てそうなほど硬くなった足ではもう歩きたくない。
膝を突いて身体をくの字に曲げ、みっともない格好のまま正午を知らせる鐘の音を聞くことになった。
 
 
 
 新婚なの! 8-2 へ

| | コメント (0)

2008年2月 6日 (水)

どうなのかしら。

 本日は「マリー・アントワネットの生まれ変わり」こと、真璃の日記です。
 
 この子も年不相応な言葉遣い、その態度。
しかし、その端々に見え隠れする「女の子」らしさ。
年上の男の子を「そなた」、今日の日記では「フェルゼン」と呼ぶ、尊大といっても構わないの。
しかも好きなお菓子はクグロフだなんて言ったりして。

 そのくせ「おきゅうしょく」なんて可愛らしく、丁寧に言ったりするものだから。
この使い分け  これは無意識に行われる  が真に小悪魔的というか、男の子を落とす術を"分かっている"のだから恐ろしい……!


 今日の日記で「ホント、男の子って単純よね?
これはヒカルも同じようなことを言っていたと記憶しています。
ヒカルと仲が良いのでしょう。
今までの家族において「王子様」的ポジションだったヒカルですから、真璃が何かしら懐いていて、言動がある程度影響を受けているのじゃないかしら。
それがお兄ちゃんが来て、本物の王子様が現れたわけですから  
これはヒカルのみならず、春風と壮絶な王子様争奪戦が!

 おませさんたる最大の「ちゅうりっぷ組のオトコどもなんてつまらない」と言い切ってしまうなんて。
女の子は生まれたときから「女の子」
マリーのフェルゼンにしてあげる
あくまで上からのその態度にお兄ちゃんはメロメロなのかしら……?

 

| | コメント (0)

2008年2月 4日 (月)

足りない

 先日は節分でしたね。
こちらでも節分をしたみたいで、推定三歳児のさくらの日記になっています。
こういう子の日記は代筆でしょうか。
しかし、だからと言って平仮名ばかりでも読み辛いですものね。

 
    引用開始

みんなにわからないように
いっしょうけんめいふきふきするけど――

いつもよけいに広がっちゃって…う、う、う…

    引用終わり

 
 ちっさな女の子が、誰かに怒られたわけでもなく「きれいなテーブルクロスを汚しちゃった」とか。
長女辺りと比べて手の平より少し大きくなったぐらいの、小さな手で拭いている姿は微笑ましいです。
しかし。
「みんなにわからないように」と言っていますが、バレないわけ無いと思うのです。
ですから、きっと誰かが食事の終わった後に片付けているはずなのです。
誰でしょう。
面倒見の良さそうな、しかもさくらに内緒でしてあげるお姉さん。


 こぼさなくなるのが先か、誰かが片付けてくれていたのに気づくのが先か。どちらになるでしょうね。
そのどちらにしても、もう少し「お姉さん」になっている頃だろうと思うと楽しみです。
 

 年の離れた姉がいると、下の女の子達はどうしても「おませさん」になり易かったりするのでしょうか。
今日の日記でも、端々に三歳児とは思えないような「女の子」な面を覗かせています。
それも、冗談と言うかお姉さん(海晴お姉さん辺り?)の真似っ子をして、お兄ちゃんを悩ませるのではなく。
ナチュラルに、内面から零れでる生来、女の子なら誰しもが持ち合わせた「女の子」たる部分。
それが長姉辺りにあてられて、どんどん引き出されていく……お兄ちゃんは大変です。

 
 だとすると、春風は自然に引き出されたのかもしれません(年の離れていない海晴に霙。王子様幻想)
一転、ヒカルはその春風に隠れてしまって(若しくは反動?)姉妹の中では立ち遅れているのかもしれません。
同年代かといった彼が家にやってきたことで、そのブレザーの下に潜ませた「女の子」が顔を覗かせる日が来たり   
ジムに行くのが億劫になったり  こんなに筋肉ついてる子はイヤかな  とか
「不埒なことするなよ」と言って守る側に立っていたことを寂しく思ったり  

 
 無いかしらねぇ、そういうの。

 

| | コメント (0)

2008年2月 3日 (日)

節分

 

アギト「年齢分食ったら腹壊しちまうよ!」

ヴィヴィオ「ヴィヴィオは一個だけ~?」

 

                             

*お知らせ
     先日の「別にそういうんじゃない。」
         「流行りモノ」
         「落ちてる」


 この三つの記事は「Baby Princess」のSSになります。
   

| | コメント (0)

2008年2月 2日 (土)

新婚なの! 7-28

 
「お風呂気持ちよかったね」
「ああ、やっぱ自分家のが一番ってことだ」

 夕ご飯を食べ終わり、ソファーに腰掛け休憩を取った。
二人とも薄着だったし(特にアタシは)空調は効いてたけど、言われるがまま膝に抱えられた。
風呂場と同じような格好だけど、普段しないような格好に妙にドキドキとした。
悟られやしまいかと心配になったけど、後頭部に伝わる鼓動はアタシと同じかそれ以上。
何だかんだ言いながら、なのはも結構なもんじゃないかと思えば心も軽くなり、目を閉じてゆったり身体を任せることにした。

「向こうではどうしてたの? 陸のことはあんまり詳しくないから」
「良い装備があってさ。ジャングルの中とは思えないほどの風呂だったぞ」
「ふーん……で。そのお風呂、一人で入ってたんだよね?」
「どうしてそんなこと聞くのさ」
「だって。髪の毛の感じが違ったんだもん」

 倒れちまったせいで、もう一回入りなおした風呂。
しっかり湯舟に浸かって身体を温めなおし、十分にしたところで頭を洗ってもらう。
アタシ達二人とも長いしさ。二人ではいる時は交代にしないと洗ってる方の身体が冷えちまう。
分かっていても、なのはは洗いたかったらしくアタシも首が痛いのも手伝って今日ばかりは大人しく従った。
自身も長くしているためか、洗う手は慣れたもので順序良くこなしていく。
そのとき、フェイトとも一緒に風呂に入って髪を洗ってやっていたという話が頭を過ぎった。
こういうところ。なのははマメだな、と思いながらも、大人の姿でシャンプーハットをつけているフェイトを想像しては笑いを噛み殺した。

「使ってるシャンプーとか違うからじゃねーか?」
「そういう感じじゃなくて……なんだか他人の臭いを感じる」
「臭い? あんなの標準装備でみんな同じ臭いだろうに。違うか?」

 タオルで髪をまとめ、なのはが洗い終わるのを待つ。
教導が終わった後に風呂に入ったらしいので、さっと汗を流すだけ。
それも殆ど気持ち程度で、そんなだったら一緒に入らなくても良かったじゃん、余計な汗をかくだけだろうに。との言葉は飲み込んだ。
元々アタシ一人で入ってりゃ首も痛くならなかったのに、と思わないこともないけど過ぎたことは仕方ない。
洗ったばかりでフワフワする頭に、湯船に軽くなる身体。だるいさの抜けない手足に立ち込める湯気。
浴室の雰囲気に、なんだか考えるのが面倒に感じられてきて、思考の定まらない頭でボンヤリなのはを眺めていた。

「―――あ、そういや」
「なに?」
「その臭いってのは分かんねーけど、何日目だったかな。一緒だったヤツに洗ってもらったな」
「……へー」
「ソイツもお前みたいに強引なヤツでさ。言い出したら聞かないんだ。それで」
「……ふーん」
「そういう事を言いたいのか? いや、最後の日は一人で入ったし……おい、どうしたよ」
「……べっつにー、なの」
「???」

 風呂場であったことを思い出していると身体が浮き上がるような感じがした。
何のことかと思って目を開けてみれば、なのはの後姿。
ついで冷蔵庫を開ける音。なのはがペットボトルを手に戻ってきた。
当てるだけで見事に水分を奪っていくバスタオルで頭を纏めたまま、未だに湯舟に浸かっているようにフワフワする感覚に身を任せた。

「なあ、こっち向けったら。どうしたんだよ」
「さぁ。しーらない」
「知らないことないだろ。おい、普段は言われても引っ付いてくるくせによ」
「普段はあっち行けっていうくせに」
「あ、あぅ……」

 熱さも抜け、その間になのはは明日の予定を確認したりと珍しく仕事をしていた。
明日は雨でも降るんじゃねーの、とからかって見せれば、雨天訓練もしなきゃいけないねー、などとマジで返しやがる。
嫌味の通じないヤツだ、と思いながら教導官の顔つきになっている凛々しい横顔を眺めていた。

「……」
「……」
「……なぁ、なに怒ってんだよ」
「別に。怒ってないなの」
「その言い方は怒ってるだろ。なんだ、言えよ」
「……分かんないかな、ヴィータちゃん」
「分かんないから聞いてんだろ」
「そういう言い方、ヤだな」
「わりぃ」
「……ふう。あのね、ヴィータちゃん。誰かと一緒にお風呂、入ったんでしょ?」
「初めからそう言ってなかったか? 無理やりだって。……も、もちろん女だかんな! 勘違いすんなよ!」
「そんなの問題じゃないよ!」
「へっ?」
「どーして他の人とお風呂入っちゃうのー! 私とは全然入ってくれないくせにー!」
「むぎゅっ!」

 眺めていたのに気づいたのか、はたまた有能な相棒が告げ口したのか。
にっこり笑うなのはにソファーからすくい上げられた。
びっくり驚いている間に、しっかりとお姫様抱っこされ寝室に連れてかれる。
もう仕事は良いのかと、やっとのことで切り出せば無言で時計を指差す。
針の短針は日付変更間近と言うところまで来ている。
珍しく全てが早く済んだんだ。偶には早く寝ようということか。
アタシも酷く疲れてたし、起きてたところですることはない。
特に抵抗などもせずに、そのままベッドまで運んでもらうことにした。

「ひどいよー! そんな他の人とはお風呂するんだもんー!」
「そ、そういうことか。いや、それはなんつーか、その……悪かった」
「むー! そんなだけじゃ許してあげないんだから!」
「そ、そんなこと言ったってよ。こっちにも……いや、とにかく悪い」

 ベッドに放り投げられ覆いかぶさってくるなり、わーわーと文句を言う。
そういえばメンテと一緒に風呂入ったんだよな。そのことを気にしてたのか。紛らわしい聞き方するものだから分からなかったぞ。
聞けばそれが原因となって、なのはは不機嫌に。
普段なにかと理由をつけては拒んできたけれど、こんなにへそを曲げてしまうなんて。
ここは謝っておいた方がいい。
なのはにしてみれば大問題なんだろう。こりゃ不味ったな。
しっかしメンテのヤツめ……もう絶対に一緒しねーぞ。

「もー! ヴィータちゃんのバカ!」
「ああ、悪かったよ。ホント、迂闊だった」

 まだアタシを抱きしめる腕の力を緩めようとしない。
顔を動かすと胸が当たるからジッとしてどうしたものかと考えていると、そもそもどうして一緒に風呂に入ったのか思い出した。
あの日は血塗れになっちまって、それでだったんだよな。
今にしてみれば腰抜かしたんだろうか。
その後も調子悪くて、さしたる抵抗もないまま一緒した気がする。
うぅむ。説明すれば納得してくれそうだけど、そんな危なかったって言いたかない。
指輪のためにそういう目に遭ってたって聞きゃ、また要らぬ心配かけちまうだろうし、それに……
やっぱここは嵐が過ぎ去るのをジッと待った方がいい。

「うぅん……簡単には許してあげないんだからね」
「……分かってる」
「分かってるんだったら、そういうことしないの」
「……分かってる」
「もう。……ヴィータちゃんの、バカ」
「……ああ。そうだな」

 普段バカバカ言ってるのに、まさか自分が言われる立場になるとはさ。
そんでも。悪い気はしない。
なのはにこんなにも心配かけたり泣かせたり不安にしたり。
ホント、そうだなって。自覚せざるをえないんだ。

「もう。今日はこのまま寝ちゃうんだからね。…………休み、ヴィータちゃん」
「ああ、お休みだ。なのは」

 どのくらい。久しぶりというか、何年もしてないかのような錯覚さえ覚える。
はやてにするよりも、こっちの方がしっくりきちまう日がくるかもしれない。
その時は……まあ、はやては特別だ、特別。比べたり、そういうことするような事じゃない。
なのははなのは。はやてははやて。全く別なんだ。
それに、どっちにしろアタシは悪い気がしない。
こうやって。
背中に回す手の、何ともいえない抱き心地に。
 
 
 
 新婚なの! 8-1 へ

 

| | コメント (0)

2008年2月 1日 (金)

新婚なの! 7-27

 
「ごめんねー。私もここ二日ぐらい忙しくて」
「まあそんなこったろうと思ってたからよ。意外にしっかりしてて驚いたぞ」
「意外に?」
「出来るとやるは別だかんな。お前は出来るくせに、ちっともやらないからよ。そういう意味で意外だっていったの」
「そ、それはヴィータちゃんのお仕事取っちゃ悪いかなぁ~って」
「ふざけんな。お前の分、アタシの仕事は増えてんだぞ。取られて良いから自分の分は自分で片付けろよ」
「ああ~ん、そんな意地悪言わないで~」
「ったく。洗濯は全自動なんだからよ。アタシがいない時でもちゃんとしろっての。一人暮らししてた時はどうしてたんだ?」
「えへへー。は~い」

 とっぷりと日も暮れて、窓の外はすっかり夜の風景。
事前に空調を点けておいたのが功を奏したのか、風呂上りのまま碌に身体を拭かなかったのに寒気はしない。
ただ、着替えを急ぐ必要が無いものだから、なのはは本当にアタシを放そうとしない。
なのははワイシャツ一枚のままで、そういえば寒くないアタシは一体どういう格好してんだと、今更ながらに考えた。
薄目を開けて見てみれば、抱きついて二人の間にバスタオルが一枚。申し訳程度に挟まっているだけ。背中は丸出しだ。
こればっかりは見過ごせない。
背中に回していた手で脇をこそぐれば、不屈のエースも流石に放さずにはいられない。
身を捩ったところで重力に任せて脱出。
ゴロリと転がり、鈍い音を立てて床とキスする羽目になったけど気にしない。バスタオルがついてこないけど気に……しない。
そうやって脱出したまでは良かったけれど、直ぐに元の木阿弥。
クレーンゲームのヌイグルミの如く持ち上げられるけれど、そこで神の助けか。
なのはの腹が夕食の時間を告げる。腹時計だな。
はっきりと聞こえるそれは、なのはを恥ずかしがらせ「ヴィ、ヴィータちゃんもお腹空いたよねー」と言わせた。
バスタオルをかけてもらい、ソファーに大人しく座らされる。
死で笑いを堪えている内に、夕飯の準備はあっという間に整った。

「昨日、冷凍食品の五割引があってホント助かっちゃった」
「んなこと言って今日で食べちまったら意味ねーじゃん」
「うぅ。私としてはヴィータちゃんが帰ってくるまでの繋ぎでしかなかったから、その」
「……まあ、アタシも帰ってきたらさ。そのつもりだったし」
「本当!? わーい、ヴィータちゃ~ん」
「こ、こら! 飯食ってるときは大人しくしろって何べんも言ってるだろ!」
「だって~。やっぱり私のこと想ってくれてたんだーって」
「むぐぐ……!」
「楽しみに待ってるねー」
「ちぇっ。帰ってきてまで人の世話なんて。どうして周りにはこういう奴ばっか集まってくんのかなぁ」
「人徳だよ、ヴィータちゃん♪」
「一回辞書引いて来い、なのは」

 任務に続いて出来合いの既製品を食べてる。
家に帰ったらこういうのから抜け出そうと思ってたのにさ。この身体のダルさは何ともならない。
なのはも楽しみに待ってたろうし、アタシも久しぶりに、その……なのはの顔見たかったしさ。
仕方ないか。
今日のところはこれで済ませて、明日。朝からなのはに飯を作ってやろう。
いや、その前に買い物行かなきゃな。なのはの口ぶりからすると何にもないみたいだ。
一緒に買い物、か。これも久しぶりだ。
下手を打たないように気をつけなきゃいけないな。

「なぁ、なのは」
「うん? どうかしたの」
「この冷凍食品、そんなに美味いか?」
「う~ん……美味しいと思うけど。ヴィータちゃんは好きじゃない?」
「いや、そういう意味じゃなくてだな。そんなに美味いかって言うか、その」
「ふふーん、そういう意味」
「一人だけ納得するのって気持ち悪ぃな。おい、ちゃんと言えって」

 いつもは向かい正面にテーブルに着くけど、今日はおかずも少ないから並んで食べることにした。
真ん中に置いた、おかずを載せた皿に同時に箸を突っ込んだり、何かと距離が近いせいで気も漫ろ。
そしたら案の定抱きついてくるし、横をチラチラ盗み見るようにしてる内に皿は片付いていく。

「それはねー。ヴィータちゃんと一緒に食べられるからだよー」
「ぶっ! バ、バカ言ってんじゃねー!」
「バカって言わないで。あのね、一緒に食べてくれる人。一人で食べるより二人。二人より三人」
「…………」
「益してや、それが好きな人なら何倍も美味しくなるの。ヴィータちゃんはどう?」
「むむむ……」

 突拍子もないこと言いやがって。
思わず噴出してしまってバカなんて言っちまったけど、なのはの言葉に思い当たる節があった。
それは、アタシ達がこの時代に出てくる前のはやてのことだ。
病院と家、たまの図書館が全てのはやて。
家族の居なかったはやては、アタシ達との食事を凄く楽しみにしてた。
本人に聞いたわけじゃないし、状況から察しただけでアタシ達の勘違いって可能性も多分にある。
だけど、管理局に入ってからも食事を同じくすることに重きを置いたのは確か。
一人より二人。二人より三人。
これは、実感を伴って学んだことだった。

「一人で食べるご飯は……美味しくないもん」
「……ああ、そうだな。全くだ」
「そう思うでしょ! だから、今日のご飯は昨日までの二倍も三倍も十倍も美味しいんだもーん!」
「だ、だから! 抱きつくなって言うだろ!」
「えー。さっきは好きにして良いって言ったのに~」
「そ、そんなに言うなら明日からまた元の位置だかんな!」
「!? は、はーい。自重しまーす」
「ふぅ。全く、どうしようもないヤツだな」
「えへへー」
「コイツ、一回ぐらい注意されて凹んで見せろよ……」
「えー、だって。大人しくすれば明日からも隣に座っていいってことでしょ?」
「? そんなこと言ってねーぞ、おい」
「ふふーん。レイジングハート、お願い」

 得意げな表情に指揮者がタクトをそうするように人差し指を振るえば、どこからかレイジングハートが飛んでくる。
相変わらず優秀なデバイスだ。そのお陰か、なのははどんどんなまかわになってる。
そんで、その被害を一番に被ってるのはアタシだ。
一回膝をつき合わせて話し合う必要がありそうだな。
アタシがどういう気持ちで見ているかも知らず、左手の平に音もなく降り立てば、二,三光ってなのはと打ち合わせ。
一体全体何をしようと言うのか。今の場面でレイジングハートになにさせるつもりなんだ。
訝しげに見つめるアタシを他所に、なのはは表情を崩さない。
チラリと横目で見やれば、遅れてレイジングハートが点滅する。

<<そ、そんなに言うなら明日からまた元の位置だかんな!>>
「ありがとう、レイジングハート。で。どうかな、ヴィータちゃん」
「どうかも何も。アタシの声じゃねーか。それがどうしたよ」
「分かんないかな~。じゃあ、もう一回」
<<そ、そんなに言うなら明日からまた元の位置だかんな!>>
「流石に分かったでしょ」
「―――あ、あーっ!」
「そういうこと。言わないなら元の位置に戻らなくて良いんだよね?」