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新婚なの! 8-2 (2)

「今日はヴィータちゃんの晩ご飯が食べられると思ったのにな~」
「だーかーら。悪かったって言ってるだろ」
「じゃあーねー。えへへ~」
「……ヤな顔だな、それ」
「お願い。一つ聞いてくれる?」
「却下だ」
「え、えー! まだ何にも言ってないよ?」
「じゃあどういう話なんだよ。言うからには返事が変わるような内容なんだろうな?」

 帰りになのはがコンビにへ寄り、二人分の弁当やらを買ってきた。
仕方なく夕飯はそれと数少ない冷蔵庫と冷凍庫の残り物で用意し、その間になのはが風呂やらを片付けた。
今は全て終わり、ソファーでのんびりテレビを眺めている。
そんな折、どうせ下らないお願いを思いついたなのはを、バッサリ切り捨てる。
むーっとむくれるのだが、無視してテレビを眺め続ける。

「ぜーったい変わっちゃうよ。首を縦に振っちゃうから」
「分かったから早く言えって」
「酷い。あんまり筋肉痛だっていうからお風呂、手伝ってあげようと思っただけなのに……」
「お、お前なんかの手を借りるほどじゃねーよ」
「あ、あー。ふんだ。良いんだもん。そうやって意地張って、後で困っても助けてあげないんだから」

 ぷいっと背を向け寝転んでしまう。
何をそこまで機嫌損ねることかと思わないでもないが、借りないと言った手前、そうしなければならない。
筋肉痛でギシギシと音を立てていそうな手足を引きずって風呂へ向かう。
明日は仕事なのだ。今日は早めに寝なくちゃいけないんだ。
 
 
 
 
 
「お、風呂でたか」
「つーん」
「ふぅ。そんなこと言ってると、デザートなしだかんな」
「……デザート?」
「昼間に買っておいたんだ。いらないんなら良いんだぞ。アタシ一人で食うからさ」
「あ、ちょっと、ちょっと待って!」

 物音で分かるが、一応確認を取る。しかし、未だに機嫌は直ってないようだ。
むくれるなのはに言い聞かせるように、冷蔵庫の前でデザートの一言を口にする。
もう一押しとばかりに冷蔵庫を開けプリンを取り出し、続いて冷凍庫からアイスを取り出した。
流石に態度を変え、ちゃっかりテーブルに着く。
こういうところ。アタシは嫌いじゃない。
ニコニコ顔のなのはにプリンアラモードを渡し、アイスを持って席に着いた。

「どうする。食べるか食べないのか」
「……食べる食べる!」
「なら黙って食べてろ」

 嬉しそうに一口目を頬張る。美味しいーと一言。また一口。
確かに美味いのは認められる商品だろうが、それほど美味いだろうか。
若しかすると自分が食べなくなってから味が変わったのかもしれない。そう思うと俄然興味が沸いてきた。

「どうしたの、ヴィータちゃん」
「べ、別に。なんでもねーよ」
「ふぅん。ねぇねぇ、そのアイス美味しい?」
「これか? ああ、まあな。いつも通りだ」
「じゃあ美味しいね。一口ちょうだい」
「あっ! ったく、返事する前に食べんなよ。ならお返しだ!」
「ああっ! ヴィータちゃんも返事聞かずに食べた!」
「だから仕返しだって言ってるだろ。どうしてこっちだけ返事待たなきゃいけないんだよ」
「意地悪」
「へへーん。意地悪なのは相変わらずだろ」
「……えへへ。そういえばそうだね」

 またニコニコ顔に戻ってプリンアラモードを食べ始める。
その美味そうに食べるプリン。正直なところ以前となんら変わりのないように思えた。
しかし、横に座るなのはは美味そうに食べている。ならば何の問題もない。美味いならそれで良い。
なのはがこちらの様子をチラチラと伺っている。早く食べないと取られちまうかもしれない。
なのはに遅れを取らぬよう、スプーンを口に運んだ。
こんな夜を過ごすのは久しぶり。
容器の残り少なくなったアイス。なのはのプリンは殆ど空になっている。
あと数口でなくなってしまう。
それでこの時間もお終い。
久しぶりではあるにしろ、そんな特別に思うほどでもない。だけど、何ていうか……
もう一つずつデザートを買っておけば良かったと思った。
 
 
 
 
 
「ヴィータちゃん。お休みは今日まで?」
「ああ。明日からまたいつも通りだ」
「そっか。ところで首の調子はどう? まだ痛い?」
「首……あ、ああ。そういえばそうだった。もう全然、なんてことないぞ」
「良かった」

 ベッドに腰掛け、髪を整えてもらっている。
自分でやるから構うなといっても聞かず、時間が惜しかったこともあり折れざるを得なかったから。
根元から髪先にかけて丁寧にブラシをかける。
家にいるときはブラシをかけるけれど、一週間に渡る任務で疎かにしていたせいもあり、酷く球を作っていた。
たった一週間とも思ったけど、思ったより動いてたんだろう。
あの日にべったり髪を汚して、しっかりケアをしなかったのも手伝ってたのかも。
その球が一々櫛に引っかかり、首が後ろへひっぱられる。
何度か引っかかった後、なのはが切り出し首の様子を聞いてきた。

「確かに痛くねーや。身体はこんだけ痛いのに何でだろうなぁ」
「なんでだろうね」
「朝の分じゃシャマルんとこに行けなかったろうから助かったけどさ」
「痛くないなら良いじゃない」
「この分なら筋肉痛も明日になりゃ治りそうだな」
「そうだね」

 櫛通りも段々とよくなり、後ろに引っ張られることもなくなってきた。
しかしそれよりも気になるのが、なのはの態度だ。なんだ、この興味なさそうな相槌は。
早く次の話題に移って欲しいとでも言いたげだ。
いや待てよ、もしや逆に興味を惹かせるためにわざとそうしてるのか?
う~ん。あ、そうだ。朝、なにか聞かなきゃいけないことがあったんだ。なにか引っかかることがあって。
なのはの手はサイドの髪に移っている。
思い出せ。まだ時間はある。
もやもやと胸のうちにわだかまり、喉奥に魚の骨が引っかかったような不快感。
何だ、なんだ、なんだ……

「昨日のうちにやっておけば良かった。結構大変だよ」
「……ああ。向こうにいるとき、ほったらかしだったからな。失敗だ」
「髪は大切にしなきゃいけないよ、ヴィータちゃん」
「わ、分かってるよ」
「はやてちゃんが見たら卒倒しちゃうよ?」
「む~。はやての名前出すなよ」

 朝起きた。違う。
ベッドから降りる。違う。
テーブルの上を見る。違う。
部屋を出て台所に向かい……
あ~! あともう一歩。直ぐそこまで出てきてるのに!


 


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