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新婚なの! 9-3 (1)

 
「ただいま帰りましたー」
「ただいま帰りました。主」

 夕ご飯の準備も目処がつき、後は二人の帰りを待つばかりというところで、図ったようにシャマルから連絡がありました。
あと三十分で帰宅するということでしたので、続きは帰ってきてからすることにし、また三人でのんびりすることにしました。
まずはヴィータを座らせ、左にはやて。右になのは。
ガッチリ両脇を固められ、居心地が良いのか悪いのか判断に困るヴィータ。
お菓子を食べたり弄られたり。
好き勝手してー、と一応文句は言うのですが二人に挟まれるこの事態をある程度楽しむことにしたようです。
はやてに会うのは久しぶり。なのはとくっ付いているのは満更でもない。
だから、これと言って断る理由が見つからない。だったら――という消極的なモノですが。
ヴィータとしては仕方ないというのを全面に押し出しているつもりでしょうが、これを口に出そうものなら、はやての格好の餌食です。
それを本能的に悟ったのか、ヴィータは表情にこそ出すものの、決して口にはしませんでした。
しかし、黙っていればこちらのモノ。
調子に乗ってなのはとはやては、二人が帰ってくるまでたっぷりとヴィータ分を補給するのでした。

「お帰りさん、二人とも。寒かったやろ? なんか温かいもんでも作ろか」
「今日はそれほどでも。それにザフィーラが風除けになってくれましたから」
「風除け? 久しぶりに人間モードになったんか」
「ええ。少し風が出てきましたので」
「ふぅん。ザフィーラのそういうとこ。私好きやなぁ。ああ、そうそう。ヴィータが旦那様連れて里帰りしてるんや。早う会ったって?」
「この靴、ヴィータちゃんとなのはちゃんのだったんだー。あぁ~ん、それならそうと早く言って下さいよ、はやてちゃ~ん」
「落ち着けシャマル。今日帰ってくることは予め伝えてあったはずだぞ」
「昨日の夜言うたやろ? 今日はヴィータが帰ってくるって」

 玄関口でザフィーラの足拭きマットを準備し、シャマルからコートを受け取るはやては、早くヴィータに顔を見せるように勧めます。
俄かにテンションが上がり、まるで里帰りの話を初めて聞いたかのような反応ですが、うっかり忘れていたのか、全く聞いていなかったのか。
ザフィーラとはやては同時に突っ込まざるを得ませんでした。

「そ、そうだったかしら? オホ、オホホホ……さ、さぁ、久しぶりにヴィータちゃんの顔を見てきますね~」
「シャマル。少し待て」
「もう、なによザフィーラ~。あ、若しかして自分より先にされちゃうのが嫌なの? そうならそうといってくれれば良いのにぃ~」
「――手洗い、うがいが先だ」
「……あら、そう」

 拍子抜けしたシャマルは足を拭いているザフィーラに見送られ、スキップしながら洗面所に消えていくのでした。

「ホント、うっかり屋さんが治らん子やね。シャマルは。まあ、今のがうっかりかどうかは議論の余地を残すところやけど」
「これが本来の気性だったのでしょう。シャマルは一番に馴染みましたから」
「なるほどね。ところでザフィーラ」
「なんでしょうか、主」
「犬って手洗いは兎も角、うがいはどうなってんのやろう?」
「……今まで風邪をひいたことも、伝染したこともありません」
「それもそやね。よし! そんならヴィータに会いに行こうかね、ザフィーラ」
「分かりました」

 はやてが二度、頭をポンポン撫ぜたのを合図にザフィーラは爪を鳴らしながらリビングへ向かいました。


 


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