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新婚なの! 9-5 (2)

 
「なあ、なのは。そういやさっき"相変わらず~"っつったけど、この家に来て泊まったことあったっけ?」
「うん、あるよ。ねぇ~、はやてちゃん」
「そうや。こっちに越してきて、えっと~……いや、その前やったかな。あ、それで思い出したんやけど、あんときは大変やったな~」
「大変? なんかあったのか?」
「あれよ、あれ。空港火災事件。丁度遊びに来てくれてた時やったんよ。そんでその後お泊りしたんや。な~、なのはちゃん?」
「そうそう。あの日は大変だったよね。遊びに来たのにいきなりあんなことになって」
「へー。あの日だったのか。アタシはこっちにいなかったから全然知らなかったや」
「うん。ヴィータにもなのはちゃんが遊びに来ること教えるかどうか迷ってな? まあ結局教えずじまいやったんやけど」
「なんで教えてくんなかったのさ。あ、べ、別になのはに会いたいとかそんなんじゃねーから」
「え~、ショックだな~」
「あんな? 教えても仕事とかで会えへんのなら逆に寂しがるやろと思って……私なりに悩んだんよ?」
「べ、べべ別にそんなこと思ったりしねーです」

 ヴィータは上を向いたまま、なのはとはやては身体を横にしてヴィータの横顔を見つめています。

「もう。嘘でも少しは寂しいとか残念だったとか言ってよ~」
「アタシは嘘吐くの苦手なんだ。それに、嘘言われて嬉しいか? 嬉しかないだろ」
「そうやろか。例え嘘やとしても最後まで騙し通してくれるんなら、言われた人の中では本当なんやし? 私はそれでも別にエエと思うけどね」
「……そだね。やっぱりヴィータちゃんがいつも正直に私のことを好きだーって言ってくれる方が嬉しいよ」
「……ふん。嘘でも言わねーよ」
「ああん、照れない照れない~。もう、可愛いんだから~」
「ギギギ……! あんま引っ付くんじゃねーよ」

 なのはがくっ付いたのを合図にはやても腕を伸ばし、挟まれて照れるヴィータを見つめてニコニコ。
真ん中のヴィータはどちらを向くわけにもいかず、仕方なく天井を見つめるまま。
その為か、二人の――特になのはの――ニコニコ顔がいつもと少し違うことに気付かなかったのでした。

「ねぇ、はやてちゃん。ヴィータちゃんには言ったの? あの時の話」
「うん、一応ね。あんときは協力するーって言うてくれたけど、今はどうやろ?」
「あん時の? その時なに話したのさ」
「はやてちゃんの指揮する新設部隊の話。私は勿論って返事したんだよ」
「な、なに言ってんだよ、はやて! そんなの賛成に決まってんじゃん! はやての夢なんだからさ! 聞くまでないって!」
「そうやけど、ヴィータはヴィータでここ幾らかで立場も変わったんやろ? それに自分のしたいこととか。ほれ、教官資格のこと」
「あ、それは……で、でも! それでもアタシははやてについて行くんだ!」

 相変わらず天井を見つめたままで。
はやての言うとおり、確かに立場も変わり当時のように簡単に口に出来るはずもありません。
そうであっても、ヴィータは改めてはやてに対して自分の意思を強く伝えます。
これが普段、二人きりのときに言われたのであれば少し違ったのかもしれませんが、今はそうしないといけないような気がしたのです。
はやてはそこまで言ってくれたヴィータの為に、コネでも何でも使って可能な限り思い同じくする人を集めようと思うのでした。

「ありがとな、ヴィータ。まあ、ヴィータが引っ張れんでも、なのはちゃん呼べばセットやからなぁ」
「セ、セットって。アタシはそういう扱いなのか……?」
「逆にヴィータ引っ張ればなのはちゃんがセットなんやけどね」
「うんもー。はやてちゃんったら~。私のヴィータちゃんへの愛を試してるの?」
「オホホホ。まあそんなとこかな? と言うのは冗談。夫婦なんやからその辺の申請通りやすいやん。近いとこで休暇届とか」
「へ~、そういうシステムあるn…………ちょっと待ってはやて」
「はい、なんじゃらほい」
「夫婦なら申請通りやすいってのも初耳なんだけどさ。それで休暇届とかどういうの?」

 堪らずはやての方へ寝返りを打つヴィータ。
窓から漏れるミッドの月明かりを受けたヴィータの顔は、なんとも訳が分からぬといった顔をし、その後ろでなのはも同様にしています。
二人の態度に説明を求めずとも大体の事態を飲み込めたはやてでしたが、一応にと確認を取ってみることにしました。

「あんな? 夫婦で揃って休暇が取りやすくなるんよ。絶対という訳やないけど結構融通してくれるって聞いてるけどね」
「ほ、ほぇ~。全っ然、知らなかったや……」
「あれま。そうやったん。てっきり申請が通るか通らんかで大変なんやと思ってたわ」
「わ、私も知らなかった……うん、そっか。今から思えばあのご夫婦はそれで同じ教導隊にいるんだね……」
「これが分かってりゃあの時あんな苦労しなくて済んだのによ。なんで誰も教えてくんねーんだ」

 目をまん丸に驚いてみせるヴィータに、その向こうではう~んと納得顔のなのは。
はやては、なのはならまだしもヴィータなら福利厚生もしっかりと把握しているだろうと思っていた手前、面には出さない物の驚いていました。

「あのとき? なんや、今日と違って他にもあったんか?」
「あのね? 結婚してから――むぐむぐ!」
「う、うっさい! 寝しなにそんな話しなくても良いだろうが~」
「えー、なんやの! そんなとこで話切らんといてー! 余計気になって眠れへんやないの~!」
「ま、また今度! 機会があったら話すから!」
「むぐむぐ――!」
「なのはちゃんも死んでまいそうやし、うん。また今度でエエわ。でもや。これで次からはもうちょっと楽に来られそうやし」
「分かったよぉ。今度からはもっと頻繁に顔出すからさぁ」
「ん~……プハッ! えへへー。いいこと聞いちゃったね、ヴィータちゃん」
「まあ、な」

 息を吹き返したなのはが後ろから手を回せば、ヴィータは邪魔そうにしつつも手を外そうとする素振りはみせません。
何だかんだと二人のやり取りに、自分の知らない時間を垣間見たはやては嬉しくもあり寂しくもあるのでした。

「さて。せっかく早くベッドインしたのにこのままやと意味のうなってまうね」
「あ、ホントだ。でも、日付が変わる前に寝れるなんてどれぐらい振りだろ……」
「結婚する前からなかったから随分になるよねー」
「……お前がその台詞を吐くのかよ。うん?」
「えへ、えへへ~。分かってますよー」

 基本帰りが遅い仕事ですが、その上でも何やらと立て込んで中々就寝出来ないであろうことは手に取るように分かります。
それでもガツンと怒ったりしないだろう新妻の態度に、そうやって甘やかすからダメなんじゃないかと。
しかし、そんな二人――特にヴィータ――を見るのは新鮮で、寂しいばかりでもないモノやな、と思うはやてでした。

「それじゃ、はやてちゃん。お休み~」
「はいはい、そいじゃお休みね。お二人さん」
「うん。お休み、はやて。なのはもな」

 ヴィータを中心に向き合うはやてとなのは。
挟まれて眠るどころではないヴィータなど放って、さっさと目を瞑ってしまうのでした。
寝なきゃ寝なきゃと思うほど眠れなくなるもの。
しかも、左には可愛く寝息を立てるはやて、右には抱きついたまま聞きなれた寝息を立てるなのは。
段々と眠れぬ焦りが苛立ちに変わってきますが、ぶつける相手が居るはずもなく、ただただ眠れぬ夜を一人過ごすのでした。


 


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