キミの手
今日の日記は、すっかり元気になったような吹雪です。
昨日の海晴姉さんの日記で「寒い日が続いたけど」なんて言ってましたが、吹雪は大丈夫だったのかしら。
どちらかと言うと、アッツイ日の方が過ごしにくい子かもしれませんけど。
なにかこう――浸食されそうな気がするのです。
ああ、虫(バグ)ってそういう……じゃなくて。
小さくて、ざわざわしている類の虫は、そういう感覚に捉われるのも分からなくはありません。
表現自体は、吹雪らしい独特のものですが。
吹雪は虫に対して苦手意識があり、それ以上ではないのでしょうか。
興味あることは、はっきりさせたがる性格のように思える吹雪が「虫にはあまり詳しくないのです。」とだけ。
何かのきっかけで詳しくなる可能性もありますけれど。
特に小さな子たち――青空や虹子やマリーなどは
青空とマリーは、分からなくはありませんが、虹子までとは。
多分、天道虫に蝶々。見た目がカラフルで可愛らしい虫が好きで、毛虫や芋虫。ムカデは絶対駄目でしょう。
私だってキライです。特に足のたくさん動く類の虫は。
しかし、言葉としても「しんだアリ」と、自分なりに理解している青空は流石と言わずには。
その内、潰してしまったアリの本当の意味が分かる時が来ると思います。そう遠くない未来に。
反対に虫が苦手なのはさくらや春風姉や氷柱姉などです。
これは予想通りの布陣。
さくらは泣き出し、春風さんは卒倒。氷柱はぎゃーぎゃー騒ぎながら大暴れしそうです。
冬に、青空が冬着のポケットに山ほどダンゴ虫を詰めたまま家に帰ってきて、それを気付かず春風さんが片付けようとして――
こう言うとき、ホタが一番頼りになりそうです。
幼少のみぎりから、雷など全く怖がりもしない子だったようですし。
件の虫が出たとしても、冷静に広告か新聞を丸めてバシバシ!と叩いてくれそう。
名前は挙がっていませんが、ヒカルや麗も、涼しい顔をしながら心中穏やかでない感じかも。
!!
きゃっ。
……!
か、可愛い! あの普段クール(というには語弊がありますが)な吹雪が!
なんて可愛らしい。やっぱり、どう振舞おうと女の子は女の子なようですね。
虫も普通程度以上には苦手そうですし。
ふとした時に現れる、こういった意外な一面というのは可愛く感じられるモノですね。
それが予想外なモノであれば。
キミの手でしたか――
突然何かが触れたので、一瞬例の虫が止まったのかと――
あれ。
随分と近くにいるようです。
こうなると、「きゃっ」といったときに上着の裾ぐらいは掴んでいそうな勢いです。
以前は眩暈がするといって、体温の高い姉妹にすら触れなかったと言うのに。
吹雪が変わったのか、それとも全くの無自覚であるのか。
最後。
「本当――ですか?」なんて、兄の手をまじまじと見つめ、そう思ったのでしょう。
今一信じがたいのか、そう信じたくて、本人から確認を取りたいのか。
ただ純粋に、兄に対して接しているようにも思えますが、どうにも頼りになる、それ以上を求めているようにも思えます。
吹雪としては当然、肯定してほしい問いかけでしょう。
そして、その"頼りになる手"に対して、触れていたいし、触れて欲しいと思っているのかもしれません。
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