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2008年5月31日 (土)

素直じゃないね

 
 ありがちなお話。
 
「ヴィータちゃん、お待たせ~」
「お待たせ~、じゃねーよ。どんだけ遅れたと思ってんだ」
「ごめんごめん。ちょっと急用が入っちゃって」
「常套句だな。次からは道中でまともな言い訳考えとけよ」
「んもー。そんなにむくれないの~。せっかくの可愛い顔が台無しなの」
「ケッ。台無しにしてんのは何処のどいつだってんだ」
「ごめんったら。あ、ほら。ほっぺも冷たくなってるよ」
「うひゃ!? だ、大体! 冷たくなったのは誰のせいだと思ってんだよ!」
「じゃあお詫びに温かくしてあげるね~」
「んぎゅ。……お前なぁ、ホントに反省してんのか? ただ抱きつきたいだけだろ。うん?」
「ああ。ヴィータちゃん、冷たいなぁ」
「ああ。こんな寒空の下でお前を待ってたからな」
「うう……そういう意味じゃなくて~」
「なんのために携帯持たせてんだ。ちゃんと連絡してこい」
「……は~い」

 
「あ、そうそう。この間ね、テレビで言ってたんだけど」
「またテレビの話か。お前はそれ以外に喋ることないのか?」
「いいの。それでね、手が冷たい人は心が温かいんだってー。そう言ってたの」
「なんだそりゃ。なんの根拠もないんだろ、どうせ」
「うん。でね? ヴィータちゃんの手は……冷たいね」
「――! あ、アホ。そりゃこんなとこで立ってたからだろ。関係ねーよ」
「そうかな。私はヴィータちゃんに限っては当たってるんじゃないかな~って」
「だ、だから……もう良い。勝手にしろ」
「そうするね。あ~、ヴィータちゃんの手は冷たいなぁ。あ、ねぇねぇ。じゃあ、私はどうかな?」
「お前か? そりゃ……温かいだろ」
「えー。この前振りでその答えなの~?」
「うっせーよ。そうでなきゃ、アタシの手を温められないだろ。アタシの手は……冷たいんだからさ」
「……うん。そうだね」
「……あー、温けーなー。お前の手は温けーなー」
「じゃあ、これから寒い日はずっと私が温めてあげるね。ヴィータちゃん」
 

 
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