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新婚なの! 11-3 (3)

 その日の業務はつつがなく終わったけれど、午後の訓練で疲れた身体に、デスクワークはこの上なく眠りの淵へ誘ってくれる。
 のんびり片付けていたら、帰宅の時間はどんどん遅くなるばかりだし、眠気に鈍る頭に活を入れながら、何とか終えて家に帰ることが出来た。
 すっかり――いつもに比べては、だけど――遅くなった自分を迎えてくれたのは、明かりの点いた、暖かな家だった。
 玄関を開けたことによって空気が動き、エアコンのものとは違う暖められた空気と共に良い香りが漂ってくる。
 きちんと並べられた、伴侶の靴に目を落とし「また片付けてないな」と思いながら靴を脱いでいると、奥からその靴の持ち主の顔が覗いた。

「おっかえりー。今日はちょっと遅かったね」

 エプロン姿のなのはは、ニコニコと上機嫌。
 なにか良いことでもあったんだろう。
 まだ靴を脱ぎかけのアタシの鞄をもって、早く上がれと言わんばかりに急かしてくる。
 こっちは疲れてるんだし、そう簡単に脱げないんだから、そう急かされては逆に脱げるものも脱げなくなっちまう。
 行儀悪く爪先で靴を放り出し、揃えることなく、楽しげななのはの手に引っ張られてしまった。

「ふうん」
「え、なあに? 驚いてくれないの?」

 ダイニングに通されれば、想像通りの光景。
 空調によるものではない火を使ったことによる熱気と、動く空気に乗って漂う匂い。珍しい――制服の上に着た――エプロン姿。
 三つだけだけど、三つもあれば充分に分かる。
 寧ろ、それ以外になにが必要かしら、とすら思う。
 そんな、想像通りで驚くこともない温かな光景が、テーブルの上に広がっていた。

「玄関開けたときに分かったからな。驚くというか気になるとすれば、明日の天気ぐらいだろ」
「明日は晴れだよ」

 さも当然。何を言ってるんだろう、と言わんばかり。
 一応に揶揄のつもりで口にしたわけだけど、さっぱり伝わらなかったらしい。
 コレでは意味がないけれど、かといって説明するのは惨めだ。
 けれどなのはは、こっちが何の意味で言ったのか気になる、という顔で待っているものだから、なんとか誤魔化さなきゃいけないんだけど……
 コレは骨が折れそうだ。

「天気予報気にするなんてよ、なんかあったのか?」
「ううん、別に。ただニュースでやってたのを偶然覚えてただけ」

 素直に答えてくれる。
 さて。ここからどうやって話を逸らそうかと考えていれば、なのはの話題はニュースでやっていた内容に移っていった。
 いくつか流れた中で、自分に興味のあるものだけ、意味もなく並べ立てる。
 その中で知っているものもあれば、知らないものもあったけど、うんうんと、相槌を繰り返しておいた。
 特に気になった物事については喋り足りないらしかったけど、これ以上付き合うと話題を戻されるかもしれないし、そうならない内にさっさと自室に引っ込むに限る。
 背中で、なにやら文句を言っているなのはを放っては、着替えを先に済ますことにした。

「しっかし。最近は無かったよなあ」

 制服をハンガーに掛け、皴を取りながら考える。
 普段からあんなニュースなんかを積極的に見るようなタイプだったろうかと。
 家にいるときはテレビを見る時間がそもそも無いんだけど、それにしたって殆んどニュースの類は見ない。
 聞き流してはいたけれど、流し見していたわりには内容をしっかり覚えていたようだったし、妙な違和感が纏わりつく。
 そんなことを考えはしたけれど、なのは(の作った料理)を待たしちゃいけないと、さっさと戻ることにした。

「いただきます」

 着替えを済ませて戻ると、なのはも準備万端整ったようで、一足先にテーブルに着いていた。
 テーブルに並べられた料理からは、美味しさを演出する湯気が立ち上り、それとともに、醤油を油で炒めたときの、あの香ばしい匂いが鼻をくすぐる。
 玄関を開けたときよりも、それが一層強く感じられる。
 これは美味しそうだ。
 思わず、喉が鳴る。
 訓練後に、軽くスナックをお腹に入れたとはいえ、今ではすっかり空腹感がお腹を満たしていたものだから、それも後押ししてたんだろう。
 空腹は最高のスパイス――なんて言葉が頭を過ぎったけれど、それは口にしないでおいた。
 なのはが「お腹空いたでしょ? 私もペコペコだよ」というから「ああ。アタシもだ」と話を合わせるだけ。
 ……意味のない気遣いかもしんないけど。

「ねーねー。美味しい?」

 箸をつけた途端に、美味しいでしょう? なんて顔に書いて聞いてくる。
 それ以外に言わせる気ねーだろ、なんて思ったけれど、それより口に入れたばかりの熱々の炒めモノでは、味が分からない。
 もぐもぐと咀嚼している間も、こっちをじいっと見つめている。
 食べづらくて仕方ねーや、ということで、おいひい――口の中が熱くて仕方ないんだ――と答えた。

「んも~。そんな熱いの我慢してまで言ってくれなくても良いのに~」

 どの口がそれを言うのか、と思ったアタシに、言われなくたって分かってたけど~、なんて続けやがる。
 なんて自信過剰なヤツだ。
 正直を言えば、疲れているのに頑張って作ってくれたんだから、美味しいと言ってやりたい。
 まあ、それとは関係なく、今まで口にしたもので不味かったモノなんて一つもなかったけれど、それにしたって……と思うのは間違ってないはずだ。
 かと言って、おべっかを使うつもりも無い。不味く仕上がったモノを、感謝の気持ちからそれを指摘できずに我慢して食べるのは、双方にとって何のプラスにもならない。
 そうやって。
 一応、こっちとしても考えることはあるんだけど……どうも、こちらの努力を水泡に帰そうとするのが困りモノだ。
 そんなこんなと考えながら、一口。もう一口と、箸を進める。

「あ、そうそう。今日のお昼の続きだけどね?」

 ある程度晩ご飯も進み、一休みとお茶を一口含んだところで、なのはが切り出した。
 昼の続き、とはなんだろうと一瞬考えをめぐらせては、今日知り合ったばかりの美人な先輩のことを思い出す。
 話の途中だったのは確かだし、なのはにも言いたいことはあるんだろうけど――とまで考えて、黙って聞いてやることにした。
 アタシが聞く体勢になったのを確認したのか――普段は、構わず喋り始めるくせに――、珍しく真面目な顔になってる。
 内緒だよ――と前置きをして、ゆっくりと口を開いた。

「プリムさんの言ってたこと。……どう思った?」

 話を聞いているときに顔に出ていたんだろうか。疑問を抱いていたことが。
 それを是正してくれるというなら有難い。
 別に、教導隊云々は関係ないけどさ。旦那に近しい人を誤解したままってのは避けたい。
 そんな理由で気になると言えば、気にはなるけれど、かと言ってどうしても知りたいとは思わない。
 人にはそれぞれ事情があるんだし、何かその秘密とでも言うべき部分を、興味本位で暴き立てるような気がするから。
 今日、何度か本人を前にして覚えた"下世話な興味"というヤツだ。
 今までの自分たちの境遇と重ね合わせて、そう省みたのか、と言われれば否定しない。その通りだから。
 他人の奇異の視線というのは、ひどく人を傷つけるものなんだ。

「んー。まあ、なんというか……特には」

 疑問を抱くその根源が、アタシの否定したい感情から来るものならば、なのははアタシに捕捉をしなかったろうと思う。
 なのはとしては、アタシに必要だと思っているから、説明してくれるんだろう。
 だから、自分自身のことは分からないけれど、ここはなのはを信用して黙って聞くことにした。

「あのね。管理局に入ってからずっと、酷い人見知りみたいな感じだったんだって。
 だけど今は、旦那様のティーノさんや他の親友さんのお陰で、少しずつ良くなっていったんだけど……
 未だに本人の中で、自分は昔のままで、人に対して感情が上手く伝わらないし、人と上手く付き合えないって、思ってるみたいなんだって」

 さらっと一口に言ってしまう。
 プリムさんの年齢も分からないし、入局の時期も分からない。
 今までどんな人生を歩んできたのかなんて、全く知らない。
 なのはの話はひどく簡単に終わってしまって、本当に要点しか喋っていないんだろう。

「へえ。そうなのか」

 美人さんの内心も分からなくはない。
 上手く――それは以前と比べて、という意味だと思う――出来ているのに、ふとした時に、自分を振り返ることで、萎縮してしまう。
 今のは上手く伝わっただろうか。失敗したんじゃないだろうか、と。途端に以前の自分に戻ってしまうんだろうと、そう思えた。
 表情にも出ているし、素直に笑ったりも出来る。
 ただそれが、上手く出来ているんだという、認識が出来ないし、自信もない。
 周りから見るとちゃんとしているのに、本人が疑問を持ってしまって中途半端になってるから、その辺りの差というかギャップが、アタシの違和感の正体だったんだろう。

「だからね。その辺りをヴィータちゃんに知っておいて貰おうと思ったんだけど、それを説明しようとしたところで、プリムさんが戻ってきちゃったから……うん。そういうこと」
「ふうん」
「あ、あのね。ヴィータちゃん」

 途端に声の張りが変わる。
 本人は言わないけど、これはアタシとしては聞いても聞かなくてもいい話しだよ、若しくはさっきのお話は終わり、という合図。
 大概、なのははこちらに構うことなく、自分が言うべきだと思うことは言ってしまうたちなので、そんな合図は気にすることはないんだろうけど。
 案の定、なのはは、ええっとーと前置きをして、意味もなく身振り手振りを加えて喋りだす。
 家でする分には良いけれど、いざというときに外で出てしまっては、なにか不都合はないんだろうか。
 だから一応注意というか、自覚を促すんだけど「家なんだから良いじゃないー」なんて言うものだから、そんなの許さずに注意することにしてる。
 テンションが上がっていたなのはは、少しだけ、しゅんとした。
 ……ちょっと言い過ぎた、というか的外れな指摘だったんだろうか。

「え、ええっと」
「別に喋りながら食べても良いけどな。今日の昼にも注意したばっかりだろ?」

 痛いところを突かれたのか、はぁ~い、と済まなそうにしながらも、今一納得しかねるといったニュアンスで返事をする。
 全く、仕方のないヤツだ。
 こうなってくると、やはりというか、普段のなのはがどうしてるのか気になってくる。
 上司の前では大人しくしてるか。
 部下の前では偉そうに出来てるか。
 ちゃんと躾されているのか疑われてないか……気にしだすとキリがない。
 ああ! これじゃいつか誰かに言われた通りになっちまうじゃないか!
 思わず頭を抱えて、転げまわりたくなる。
 くそぅ……
 知らずの内に下唇を噛み締めてしまう。

「なあに、ヴィータちゃん。そんな難しい顔して」
「う、うっせーよ。お前は黙って続きを喋ってりゃ良いんだ……」
「ふうん」

 ニタニタと、なにか人の上に立ったように笑う。
 若しかして気付かれたんだろうか。何を考えていたか……いいや、まさかな。
 こんなことバレたんじゃ、次からどんな顔すりゃ良いんだ。
 こっちはまだ言いたいことがあるって言うのに、下手に動くとバレそうで、一度優位に立ったなのはを引き摺り降ろすのは難しそうだ。
 間が持たないので、なのはが作ってくれた夕ご飯を口に運ぶ。
 ああ。こんな風に食べたんじゃ、味もへったくれもあったもんじゃない……

「あのね。プリムさんが、やっぱりヴィータちゃんに教導隊きて欲しいって」
「ん? んぐ。アタシの気が進んだらって話じゃなかったのか? あ、いや。誘ってもらえるのは勿論嬉しいけどさ」
「うん。そうやって伝えておくね」
「お、おい。勘違いするなよ? 嬉しいってのと教導隊に入りたいってのは別の問題だかんな」
「はいはーい」
「はい、は一回だって言ってるだろ」

 一転。嬉しそうに、ニコニコと笑う。
 裏はなさそうだ。
 何がそんなに嬉しいのか――自分で言うのもなんだし、負けたようで言ってやらない。
 話を聞くときぐらい、箸を休めた方が良いんだろうけど、じっと身構えて聞くのもなんだし、食べながら聞くことにした。
 随分なのはの話にも付き合ったからな。
 このまま冷めてしまうんじゃ、せっかく作った夕ご飯がもったいない。
 無駄にならないよう、美味しいうちに食べるってのも思いやりというか感謝の気持ちの一つだろうと思う。

「それでね。何でかって言うと。あの後ね、ティーノさんに会ったの」
「へえ」
「それでね。プリムさんったら、ヴィータちゃんの話をするの。私の言ったとおりの良い子だったって」
「何でお前が嬉しそうなんだよ?」
「誰だって自分のお嫁さんが褒められたら悪い気はしないよ? ヴィータちゃんは私が褒められて嬉しくない?」
「……良いから話を続けろって」
「えー。ちゃんと答えてくれなきゃ~」

 ぶーぶー文句を言うけれど、炒め物を口に運ぶことで、その意思はないと示した。
 直ぐには納得してくれなかったけど、三口ほど黙っていたので、流石に諦めたようだった。
 そ、そんな面と向かって褒められっかよ。恥ずかしい。

「んもう。あ、それでね? 私がティーノさんも誘ってくださいよーって言ってたら」
「言ってたら?」

 一度、呼吸を挟むのか、一区切りおくために思わず語尾を重ねてしまった。
 別に、それほど話の先が気になったわけじゃない、と自分に言い訳をしておく。

「プリムさんに"そうだな。その子が来てくれれば、お前も産休を取りやすくなるだろう?"なんて、急に言ってたの」

 思わず噴出してしまったのを、誰も責められやしないだろう。
 なのはは、何てことない表情で続けるけれど、こっちとしてはそうも言ってられなかった。
 なんだ?
 アタシを誘うのに同意したのは、嫁に産休を取りやすくさせるため?
 一体どういう繋がりなんだ。全く分かんねーや。
 しかし、今の話で美人さんの旦那さんという人がどういう人なのか、さっぱり判らなくなった。
 そりゃ夫婦だし、そういう家族計画を話すのは判るんだけれども、普通、人の居るところで堂々と口にするだろうか。
 勝手に想像してただけで、こんなことを言うのは失礼だろうけど、美人さんの旦那になるぐらいだから、それ相応の人物だったってことなのか……

「今でも教官とか育てる側の人間は少ないから、教導隊なんかだと、ちょっとやそっとじゃ取らせてくれないの」
「へ、へえ。まあ、分かる気もするけど」
「だから、代わりに一人入ってくれればそういう申請も通りやすくなるかなーって。そういう話みたい」
「あ、そう」
「直ぐにプリムさんに怒られてたけどね」

 こんな感じで、と拳を固めながら、えへへ、と笑う。
 殴られたってことだろう。
 幾らなんでも後輩の前で話すような内容じゃないし当然だとは思うけど、なのはの態度からして、そういう二人のやり取りってのは日常なんだろう。
 もし、このやり取りを何の前置きもなしに聞いていれば、その先輩夫婦は一体どういう人間なんだ? と思ったかもしれない。
 けれど、自分はその人――夫婦の一方を、だけど――のことを知っているし、短い時間とはいえ、言葉も交わした。
 決して悪気がないことも分かる。
 若しかしたら、その旦那さんこそがなのはと同じタイプ――認めるのは非常に癪だけど――なのかもしれない、とそう思った。
 何というか。この夫婦は一緒にいて人を退屈させないんだろう。

「あ~あ。でも、子供かぁって思っちゃうな~」

 さらっと何やら喋りながら、遅れを取り戻すように、なのはは夕ご飯を口に運び始めた。
 普段なら「喋ってばかりいるからだぞ」と注意したところだけど、今日は必要な話だったし――だったら食事後にしろ、と言うべきだろうけど――何も言わないでおいた。
 急ぎながらもよく噛んでるな、と安心していたら、もぐもぐと口を動かしながら、なにか考えているからだったようだ。
 ……不穏な空気だ。いや~な感じがする。
 人に触発されて、やる気になるってのは悪いことじゃないけど、時と場合による。
 それで今回といえば……きっと、悪い方向だ。

「ねえ。ヴィータちゃん」
「……なんだよ」
「ウチは……どうしよっか?」
「別に。どうもしねーよ」

 えー、と不満そうな声。
 お前は、アタシがその提案を素直に呑むと思ってるのか。
 大体ドッチがどうすんだって話だ。
 駄目だぞ。そんな一時のノリでそうするなんてのはな。
 もっとちゃんと見据えてだ。
 まず、どのくらいお金がかかると思ってるんだ。 
 そりゃ色々援助の制度はあるんだろうけど――エイミィさんの話を小耳に挟んだりしてるから、少しだけ知ってる――、貯金はほとんどないんだぞ。お前のせいでな。
 まだ、なのはは何も言ってないけれど、先制攻撃とばかりに、どんどん言ってやった。
 それは見事になのはの急所を突いたようで、見る見るテンションが下がっていった。
 口をへの字に曲げて、茶碗をテーブルにおいてしまった。

「ふ、ふーん……」
「一応立場は安定してるけどさ。それでもしっかり準備するに越したことはないんだぞ」
「う、うん」
「後一番心配なのがだ……やっぱり怖いだろ。"もしも"のことを考えたら」

 意識したわけでなく、自然に口から滑り落ちた、それ。
 なのはは俯いて、完全に黙ってしまった。眉も下げ、すっかり肩も落ちてしまっている。
 ……流石に言い過ぎただろうか。いや、これは失言だ。
 別に、なのはの言うことを否定する気はないんだけど、それだけの気構えがあるのか気になっただけなんだ。
 そうは思ったけれど、やはり頭ごなしに否定するような態度は――良くなかったよな。
 違う。そんな問題じゃない。
 仕事柄、確かにそれは意識しておかなくちゃいけないことなんだろうけど……
 ああ、ちくしょう。これは明らかに失敗だ。

「だ、だからだ。ちゃんと準備は怠らないようにしなくちゃいけないって話でな。うん。別に駄目とかそう言うんじゃなくて、なんつーか、その……」

 このまま黙ってちゃ、せっかくの、なのはが作ってくれた夕ご飯も冷めちまうし――何の足しにもならないような言い訳をするんだけど。
 アタシは、早速その気使いを後悔することになった。

「じゃあ、ヴィータちゃん。子供が欲しいってこと自体は反対じゃないんだね!?」
「――あ、ああ」
「そっかー。心配して損しちゃった。えへへ、ヴィータちゃんも賛成してくれて嬉しいなー」

 さっきまでの顔はなんだったんだ。
 アタシの心配を返せ、返せ! 返してくれ!
 しかしアタシのそんな願いは届くことなく、なのはは、すっかり家族計画に思いを馳せているようだった。
 もう、駄目だ。こうなったらアタシの話なんざ梃子でも聞き入れりゃしねえ。

「はあ……まあ、いいけどな。その代わり、ちゃんとするんだぞ。アタシを頼るなよ」
「えー? 夫婦なのに?」
「ばーか。アタシとしちゃ子供を二人も抱えるのと一緒だからだ」

 言った意味が分からなかったのか、きょとんとした顔をするけど、直ぐに理解したようで、むーっと頬を膨らませる。
 そんな顔したって、今度は騙されないからな。
 こっちの動きを引き出そうとするのか、はたまた、ただ自分の要求に素直に従っているだけなのか。
 どちらにしろ。
 アタシは無視をして、なのはの作ってくれた夕ご飯を平らげることにした。


 


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