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 なのはが爪を割った。

 

 割った、と言ってもそんな大したことじゃない。ちょっと洋服が引っかかるとか、そんな程度。仕事柄珍しいことでもないし、割ったこと自体も全然大したことじゃない。ホント、全然。
 仕事柄珍しくない―――だからって、気をつけてなかったわけじゃない。一昨日ぐらいから割るんじゃないかな、という予感はあった。半ば確信めいたものだった。だのに、それを伝えることは躊躇われた。むしろ、このまま割れてくれたほうが良かったから、というか……

「痛い~」

 涙目になってる。じぃっと割れた爪を見つめている。滅多にないことだから心配されてる。そんな酷くもないし、泣くほどのことじゃないだろ……とは口にはしなかった。
 黙ったまま心配もせずにいると、アタシがとんでもなく人でなしに見えるかもしれない。大丈夫、アタシなりに考えがあってのことなんだ。それは――フェイトに連絡を入れてやることだった。

 

 画面の向こうのフェイトは、目をまん丸にして口をパクパクしてた。全く想定していなかったらしい。
 漏れそうになるため息をぐっと飲み込んで、

「今日は帰ってこられるんだろうな?」

 どこのロックバンドのドラムだ、だと言わんばかりに首を縦に振っている。
 これなら大丈夫そうだ。安心して通信を終えた。

 

 朝から機嫌が良かった。もちろん、なのはのことだ。
 爪も綺麗になってる。元々大したことなかったし、一晩もあれば充分だろ。
 それにしても面倒なやつだ。頻繁にあるわけじゃないけどあって堪るか。たまーにこういう面倒なことをするときがあるんだ。最近は分かるようになってきたけど、前はホントに大変だった。アタシじゃ機嫌取れないしさ。
 若しかして、ヴィヴィオも大変なんじゃないか。フェイトみたいなことはないだろうけど、なにかしら――

「……今度はヴィヴィオにも教えてやるか」

 気づいてるかもしれないけど、今度からは教えといてやろう。


 

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